【感想記事まとめ】ライアー・ライアー アニメは本当に面白いのか徹底検証

久追遥希著「ライアー・ライアー」は望みを叶えるために嘘を押し通そうとする高校生を描いた学園系ライトノベルです。ルールの穴を突いた嘘とハッタリで切り抜けていく主人公やヒロインの可愛さが魅力となっています。

2021年のエイプリルフールに突然アニメ化が告知されました。名前に相応しい日程ですが、嘘の可能性も否定できません。幸いなことに嘘ではなく、2023年夏にアニメ化されました。

しかし、SNS、ブログによるアニメの評価は散々なものとなっています。

果たしてこの評価は適正なものか。何よりも原作の魅力が伝わる構成をしていたのか。原作を片手に補完しながら各話ごとに見ていきました。

ライアー・ライアー小説情報

あらすじ

学生同士がランクを決めるゲームを繰り広げる学園島。篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させた。結果学園島史上最速で頂点に１人だけ君臨する７ツ星に成り上がった。

そんなものは全て嘘だ。大切な人に会うために外部からやってきただけの一般人で、本当の星はたった１つしかない。しかし、学園島に残るためには嘘でもトップにいなければならない。姫路白雪のイカサマも、偽物だった彩園寺更紗との共犯関係だって活用する。

じゃあ、世界を騙す嘘を始めよう。

主要登場人物

この項目内の挿絵は全て、©2023 久追遥希/KADOKAWA/ライアー・ライアー製作委員会のものを使用しています。

篠原緋呂斗

英明学園２年の７つ星（偽）。ポーカーフェイスと機転で学力を補っている。番外戦術は得意分野であり、イカサマとハッタリを以て本物の秀才たちに抗っていく。

彩園寺更紗

桜花学園２年の６つ星。実は影武者で本名は朱羽莉奈。１話段階ではポンコツだが、後半になるにつれて真の実力が発揮されていく。というより１話で負けたのが相当のイレギュラー。

姫路白雪

桜花学園⇒英明学園２年の４つ星。支援組織《カンパニー》のリーダーを務め、護衛件イカサマの司令塔を担当する。正直彼女のイカサマがないときの方が篠原は輝いている。

秋月乃愛

英明学園３年の６つ星の一角。見た目と性格から”小悪魔”という通称を持つ。特別な存在に憧れ、篠原の７つ星を嘘だと証明するため対峙する。その後は頼られる先輩となれて満足している。

榎本えのもと進司

英明学園３年の６つ星の一角。瞬間記憶の高さから”千里眼”の異名を持つ。浅宮の純粋さを守ろうと常々意識しているが、行動の１つ１つが不器用で浅宮を怒らせる。指示が多いのも全てこなしてくれるという信頼故のもの。

浅宮七瀬

英明学園３年の６つ星の一角。身体能力・反応力の高さから”金色の夜叉”の異名を持つ。説明するよりも体が動くタイプ。榎本を守る意思は常に備えているが、説明するのは恥ずかしい。

椎名紬

中学三年生の引きこもり。天才的な実力を有しているが、極度の人見知り。篠原とは夜中までゲームをする関係。

久我崎晴嵐

音羽学園の５つ星で、非公式組織で最大級の《我流聖騎士団》を率いる。唯一無二の彩園寺を信仰しており、負けては舞い戻るさまは”不死鳥”と呼ばれている。

倉橋御門

12番区聖城学園の学園長。偽りの７つ星が気に入らず、秋月乃愛や《百面相》を篠原たちへ差し向けた犯人。アニメ版の範囲ではだいたいこいつが悪いで何とかなる。

霧谷きりがや凍夜

森羅学園の6つ星。完膚なきまでに相手を破壊するスタンスから”絶対君主”の異名を持つ。黒の色付き星によってアビリティを融合できる。倉橋御門の協力者で《百面相》の代わりに篠原を討伐しに赴く。キリトの二刀流

ライアー・ライアー　各話感想記事まとめ

第１話「王と嘘」

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アニメ１話はライアー・ライアー１巻のプロローグから第１章の範囲となっています。一般的なライトノベル原作アニメの展開速度ですが、所々に情報不足を感じさせる出来でした。また作画の怪しさが既に出始めています。

２話「忠義と演技」

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原作１巻の第２章から第４章の中盤までとなっています。原作での大枠のイベントをこなしたうえで、一応の最終目標が示されました。また１巻のラスボスとなる５つ星久我崎晴嵐も登場して、ようやく本格的な決闘が期待されます。

３話「互角と覚悟」

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原作１巻の第４章の中盤からエピローグまでとなっています。第３話はストーリー面において、１期で最も問題の回だったと考えています。

原作と比べてアニメ版が削った伏線を下にまとめました。１クールで４巻を消費しなければならない尺の都合もありますが、明らかに削り過ぎです。初見の視点だと騙し合いというより、篠原のご都合主義にみえてしまうに違いありません。

４話「忠義と演技」

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範囲は１巻のエピローグから２巻の『第二章 闘争と闘争』までです。話の根幹を壊すような変化はなく、順当にアニメ化されていました。むしろ追加部分２か所は良い変更点だと思っています。

秋月乃愛はどうやって篠原の嘘を暴こうとしているのか。勝負らしい勝負になることを願っています。

５話「勝ち目と蒼い目」

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誰と組むべきなのか。原作２巻、秋月乃愛のエピソードは協力者の重要性を教えてくれています。両手に恵まれた人材の篠原と、○○に使われるしかなかった秋月。２人の違いはどこにあったのでしょうか。

この時点で秋月乃愛の末路を決するのに十分な情報が、原作では提供されています。それも原作１巻で用いたようなペテンではなく、協力者と探し出したアビリティによってです。

未だに《ピンチヒッター》の行方が出てないこと、作画が徐々に乱れている雰囲気が心配です。

６話「宝と闇」

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第６話は原作第４章、秋月vs篠原＆彩園寺《盤上宝探し》に全ての尺が割かれていました。参加者４人が救われる結末が描かれ、全てのヘイトが突然出てきた男倉橋へ向けられます。

伏線が抜かれてまたご都合主義にしか見えないと心配していました。《ピンチヒッター》の名前が分かりやすかったことが幸いだったのでしょう。大半が原作通りの心理戦なこともあり、比較的満足のいった回でした。

７話「静と改」

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最後、唐突に彩園寺から２人目の偽物が出現したと報告を受けます。20校中５位以内に入って味方から怪しまれなければいい。篠原の勝利条件に、『彩園寺更紗（朱羽）が彩園寺更紗（刺客）に勝つ』が追加されました。

７話はデートイベントと唐突なテコ入れのギャップがとにかく印象的でした。コピペ生徒、机消失事件など心配になる要素もありますが、次回以降の改善を期待しています。

８話「グッドナイト」

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原作３巻の第三章までで嵐の前の静けさといえる部分です。ドッペルゲンガー陣営は静観し、強敵と相対することもありませんでした。アニメ化に際して削られた部分も「サイバーチックな柱の正体」「女性陣の食事への個性」「篠原の特技：クレーンゲーム」「ライブラ女性スタッフとの取引」など数こそ多いものの話の大筋には影響しません。

しかし、椎名紬との出会いは今後を左右します。人見知りの少女は何を求めて舞台に立ったのか、戦いの末にどうありたいか。騙しながら少女を救っていくストーリーは、再び盛り上がっていきます。

９話「闘争と掃討」

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７つ星が自滅によるアストラルからの脱落。３日目午後は衝撃の結末を迎えました。遺された４人にアストラルを託し、篠原は逆転の策に打って出ます。

参加者が接触を禁じられている組織、《ライブラ》との接触が第一歩になっていきます。

原作３巻の三章から終章までを取り扱っていました。椎名の表情や秋月の罠が映像になっていて久方ぶりに表情差分に満足できました。

１０話「ヒーローとトリック」

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第10話「ヒーローとトリック」はASTRALの裏で行われていた、MTCGの攻略が中心の回でした。解かせる気のないパズルへ、主人公たちはイカサマを以て対抗していきます。最後のシーンはハッタリが得意な篠原らしい宣誓でした。

偽りの論理で理不尽な事象を覆す。

原作のこの部分を読んでいたとき、城平京作『虚構推理』を思い出しました。

だから、この場で重要なのは真実なんかじゃなくて、いかに彼らにとって魅力的な”嘘”を紡げるかどうか――そして、それをここにいる全員に信じさせられるかどうか、それだけだ。

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久追遥希「ライアー・ライアー４巻『第二章 五月期交流戦オープンゲーム：《MTCG》』」より

一方で作画崩壊というより、整合性が取れていない類の作画ミスがみられます。ルールミスに見える行為はご都合主義に感じやすくなるでしょう。倉橋陣営のイカサマへイカサマで対抗しないでください。

同様の問題がこの話だけで済んでいたのがまだ幸いでした。

１１話「兵と友」

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《百面相》側の刺客、霧谷きりがや凍夜との戦いが中心に描かれました。彩園寺（朱羽）を敬う久我崎を味方につけ、秋月の些細な復讐と組み合わせて打ち取ります。しかし、ラスボスの《百面相》を倒す計画は失敗し、正攻法は失われました。

ここから始まるのは番外戦術です。

英明の６つ星のように技術力に特化した３年生たちも、森羅のように戦闘に特化したメンバーも、久我崎のように生存に特化した人もいません。偽りの７つ星と偽りのデータ。３年生の活躍を省略した以上、最後まで描き切ることが願われました。

１２話「ずっとみんなと」

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第12話「ずっとみんなと」はアストラルの後始末です。どうやって《百面相》騒動の全てを倉橋御門へ押し付けるか。たった３人だけの盤上戦が繰り広げられました。

嘘から始まった物語は一区切りを迎えました。大きなトラブルも今はなく、学園内での地位も確固たるものとしています。しかし、真の７つ星へはまだまだ続きます。今後の伏線も入っており、ラブコメ要素も少しずつ強くなっていきます。ただ原作が最終巻を迎えた以上、今後が語られるかは絶望的なように考えられました。

ライアー・ライアー　アニメ評価　結論

結論：所々に不備が目立つがクソアニメではない

はっきり言って原作以上の魅力を引きずり出せた作品とはいえません。元々説明文要素が多く、どうアニメで説明するか難しいとは思っていました。ルール映像はビジュアル化されており、できるだけ伝えようとした意志は感じられます。

それ以上の問題は原作の設定を壊しかねない作画ミス、省略した描写の多さです。

３話では伏線を削りに削った結果、初見が見たら間違いなくご都合主義に感じる仕上がりでした。

７話では５話のツケが回りつつ、水着で浴槽に入るテコ入れシーンが挿入されています。

８話の省略も場所自体はともかく、どうして彩園寺（女子部屋）、椎名（女子部屋）に入れたかの説明がありません。

10話の作画ミスはルール設定を壊し得るもので、その後の描写との整合性が取れなくなりました。

11話で先輩の活躍が消えたせいで森羅がモブ扱いされたり、12話で霧谷が謎の場所にいたり。よく分からない改変もみられます。

個人的には４話～６話の原作２巻地点が一番満足できました。

秋月の厄介さ、姫路の信頼に彩園寺の優しさ。それぞれのキャラクターの魅力的な部分が存分に出ていたと思います。最大の不満であった彩園寺とのデートもカットされつつ７話で行ってくれました。７巻初めの秋月の演技も堂に入っており、”小悪魔”と呼ぶのにふさわしい演技です。

総じて原作の魅力を超えてくる、覚醒する類のアニメではありません。一方で魅力的な部分も多く、明確な作画崩壊も少なかったです。宣伝として問題を起こしているわけでもないことから、私はクソアニメとも呼べないと考えています。

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アニメ

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ライアー・ライアーは有名ライトノベルのアニメなので、どのサイトでも全話対応しています。dアニメストアは14日間、Amazon primeとU-NEXTは30日間、初回限定の無料体験を実施していました（非キャンペーン時）。

どのサイトもおすすめできる、下にリンクをまとめて貼っておきます。

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ライトノベル（原作）

ライトノベルを複数巻読む場合、読み放題サービスの利用がおすすめです。ライアー・ライアーの場合、Kindle unlimited、BOOK☆WALKERともに４巻（アニメ範囲）まで読み放題となっています。

Kindleはビジネス書・教育本など対象作品の多さで、BOOK☆WALKERはライトノベル特化かつ無制限保存で優位に立っていました。正直ライアー・ライアー＋前作クロスコネクトを読む分にはどちらでも構いません。どちらも無料期間があるので、ホームページをのぞいてから判断するのも１つの手です。

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