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アニメ「ライアー・ライアー10話」の謎解きとキャラクター分析:《百面相》対策同盟の第一歩
ライトノベル出身のアニメ『ライアー・ライアー』を、補足しつつ感想を書いていくシリーズの10回目です。
第9話「闘争と掃討」は原作3巻の三章から終章までを取り扱っていました。椎名の表情や秋月の罠が映像になり、9話は久方ぶりに表情差分に満足できました。
前回は篠原が自決したシーンで終わりました。
第10話「ヒーローとトリック」では逆転の布石のため、選手が接触できないライブラへ交渉を試みます。
原作4巻ではご都合主義にも感じられる決着が続きます。果たしてアニメ全体としてご都合主義のレッテルが剥がせるか、残り3話も引き続き見ていきます。
目次
『ライアー・ライアー』のあらすじ
学生同士がランクを決めるゲームを繰り広げる学園島。篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させた。結果学園島史上最速で頂点に1人だけ君臨する7ツ星に成り上がった。
そんなものは全て嘘だ。大切な人に会うために外部からやってきただけの一般人で、本当の星はたった1つしかない。しかし、学園島に残るためには嘘でもトップにいなければならない。姫路白雪のイカサマも、偽物だった彩園寺更紗との共犯関係だって活用する。
じゃあ、世界を騙す嘘を始めよう。
キャラクター紹介
- 篠原緋呂斗:英明学園2年の7つ星(偽)。ポーカーフェイスと機転で学力を補っている。番外戦術は得意分野。
- 彩園寺更紗:桜花学園2年の6つ星。影武者で本名は朱羽莉奈。何故か偽物2が現れた。
- 姫路白雪:桜花学園⇒英明学園2年の4つ星。支援組織《カンパニー》のリーダーを務める。
- 秋月乃愛:英明学園3年の6つ星の一角。見た目と性格から”小悪魔”という通称を持つ。特別な存在になれた。
- 榎本進司:英明学園3年の6つ星の一角。瞬間記憶の高さから”千里眼”の異名を持つ。浅宮のモデルを辞めさせたのもメディアの悪意を危惧してのこと。
- 浅宮七瀬:英明学園3年の6つ星の一角。身体能力・反応力の高さから”金色の夜叉”の異名を持つ。説明するよりも体が動くタイプ。
- 椎名紬:中学三年生の引きこもり。天才的な実力を有しているが、極度の人見知り。篠原とは夜中までゲームをする関係。
ライアー・ライアー10話「ヒーローとトリック」の展開と7つの補足
アニメで描写されていなかった背景、疑問視される展開を中心に補足していきます。
この項目内の挿絵は全て、©2023 久追遥希/KADOKAWA/ライアー・ライアー製作委員会のものを使用しています。
また彩園寺更紗(朱羽莉奈)については、アニメ化する範囲で本物の彩園寺更紗は登場しないため、彩園寺表記で統一します。
死亡フラグ
《百面相》事件の黒幕は、以前に秋月乃愛をけしかけた倉橋御門です。違法アビリティの使用と生徒への脅迫により、学園長の座を失っています。しかし、未だに学園島の理事会へ影響を与えられました。
五月期交流戦アストラルは理事会直下のイベント運営委員会が企画しています。倉橋は手駒を紛れ込ませ、《百面相》に関する数々の不正を働きました。
洗脳対象と書いてパートナーと読む。倉橋の性根は変わっていません。
倉橋の敗因は手駒を完全に制御できていなかったことです。学生だと侮って、言うことを聞いてくれるだけで満足してしまいました。倉橋の知らぬところで篠原と接点を作り、関係性を築いてしまっています。
篠原の離脱をワイン片手にあざ笑っている時点で、倉橋の敗北は決まっていました。
ルールは破るもの
運営側の《ライブラ》は、アストラル参加者と会話しないよう定められています。篠原が自決した理由の1つも、《ライブラ》と接触するためでした。
そのうえで画像を見てください。篠原の横で堂々としている彩園寺は、平然とルールを無視しているのです。原作では偶然出くわして、友達として相談に乗る流れでした。アニメ版では風見鈴蘭に会うため、事前に集合している点もツッコミどころです。
変更した割に、その後の移動手段は原作通りの荷台です。
ハプニングシーンを残したかったのか、それとも風見が特別な立場なのか。
原作時点では明らかになっていません。
その後の流れ
《連合軍》アビリティ
《百面相》が用いている《連合軍》アビリティは、0から作られたわけではありません。元々他チームをまとめて吸収し、《連合軍》を結成することができます。人数優位に戦える強みの代わり、《連合軍》を抜けた時点でゲームから退場させられるデメリットを負います。
倉橋が改造した点は1つ、傘下に入れられるチーム数でした。通常1チームだけの設定を、無制限にしています。その結果、3日目終了時点で《百面相》の下に7チームが付いています。
傘下のチームは同率で《連合軍》リーダーの次の順位です。したがって、《連合軍》を攻略しない限り残りのチームは必ず星を失ってしまいます。
理想論は全チームが《連合軍》の傘下に入り、2位以上を確定させることでしょう。アストラルを正常に終わらせるため、篠原たちは立ち向かうことを迫られるのでした。
彩園寺は不思議に思わなかったのか
中学生と夜中までゲーム三昧だった篠原へ向けられた、冷たい視線です。原作から姫路の表情も追加されています。
篠原が彩園寺のところへ訪れたのは午前4時近くでした。同室の榎本の隙を計らなければならないにしても、遅すぎる時間です。
わざわざ就寝間際に来訪する理由はなんだったのか。彩園寺は勘繰る機会がありました。蔑んだ視線を向けていますが、もっと早く来て欲しかったという嫉妬も含んでいるのではないでしょうか。
数合わせゲーム_MTCG
自由参加のゲームMTCG(Mulch-Trading Card Game)は、数合わせゲームの発展版です。、3枚の数字カードの合計を対戦相手と同じにすることを目指します。
数字カードの値は次の3つの方法で変化させられます。
- 強化:専用のコインと時間を消費することで、値を1つ足す
- 交換:他のプレイヤーと任意の条件でカードを取り換える
- アビリティ:数合わせの最終段階で、値を1つ足すものがある
4日目午前中にクリアしないといけない篠原にとって、強化の選択肢は取れません。知り合いにサポートしてもらうにしても、適度な強さが求められます。
目に見える篠原のチートは、検索機能で相手の合計値が対戦前に把握できるというものです。クエストのレベルが定められているため、聞いて回る時間を削れるくらいの効果しかありません。
《ライブラ》の手を借りて、篠原は想定外の方向からルールを変えてきました。
カードが消えていない不具合
画像のツッコミどころに触れる前に、篠原たちが考えた攻略法についてみていきます。
最高難易度のクエストでは、難易度は順に6、13、21、5、27、不明となっています。ただカードの値を大きくするだけでは勝てません。
篠原は交換ショップの店員へ数値のカードとコインの交換を提示しました。3枚の合計値を競うゲーム上、4枚以上の所持は認められていません。また数値の最大が9なので、2枚で戦うのは無理筋でした。
10万コインというバカげた数値も、ルールを作った《ライブラ》が適当に当てはめたものです。事実3日間で店員へカードを売りつけようとした奴はいませんでした。店員も数値カードを売れることを知らず、レートを慌てて検索しています。
誰にも気づかれない裏道で稼ぐ。ペテン師らしい手段に反して、5戦目までのクエスト攻略は王道でした。
- 【難易度:6】栗花落女子の選抜メンバーとの取引による交換
- 【難易度:13】7万コインを使って周りのプレイヤーと交換
- 【難易度:21】交戦直後に3万コインをわいろして、数値を下げてもらう
- 【難易度:5】ルール通り交換を活用
- 【難易度:27】多々良楓花、辻祐樹、水上真由に協力してもらい、【9】を3枚取得
本題のツッコミどころです。カードを売った後にもかかわらず、数値カードが3枚残っています。せっかく如何にペテン師したかを驚かせる場面で、無償でコインを貰ってしまっているようにみえます。
《ライブラ》にとってもバレバレのイカサマは望ましくないため、明らかな作画ミスといえるでしょう。
純度100%のイカサマ
篠原たちはシステムの裏側を調整して早道を辿ろうとしています。
一方の倉橋はイカサマを隠すつもりが全くありません。本来の最高難易度は【難易度:30】、すなわち《限界突破》で9+1にするだけで勝てるクエストでした。この攻略方法には他校の生徒も気づいており、できる限り大きな数値になるように画策しています。
ラスボス椎名紬の難易度は-99に変更されていました。1~9のカード3枚では決して攻略できません。
もはや『イカサマをハッキングで上書きする』ことが正攻法になっています。ゲームとしては茶番でしかなく、椎名がどこに楽しみを見出していたのかは分かりません。
ただひとつ言えることは、椎名紬=《百面相》は篠原に戻って来てほしかったということです。結果的に倉橋の思惑を崩しており、倉橋が《百面相》を制御できていないという一端を見せてくれました。
まとめ:《百面相》を討伐する第一歩
- 倉橋御門、駒を制御しきれていない
- 彩園寺更紗、体裁を保たなくなる
- 《百面相》のチート能力~ステータスやアビリティの限界突破~
- 2時過ぎまで中学生とゲームして、女子部屋を訪れる主人公
- MTCGは数を合わせれれば勝利という単純なゲーム
- 原作で消えたカードが残っているバグ
- 無敵にするハッキング vs. 上下限を元に戻すハッキング
第10話「ヒーローとトリック」はASTRALの裏で行われていた、MTCGの攻略が中心の回でした。解かせる気のないパズルへ、主人公たちはイカサマを以て対抗していきます。最後のシーンはハッタリが得意な篠原らしい宣誓でした。
偽りの論理で理不尽な事象を覆す。
原作のこの部分を読んでいたとき、城平京作『虚構推理』を思い出しました。
だから、この場で重要なのは真実なんかじゃなくて、いかに彼らにとって魅力的な”嘘”を紡げるかどうか――そして、それをここにいる全員に信じさせられるかどうか、それだけだ。
久追遥希「ライアー・ライアー4巻『第二章 五月期交流戦オープンゲーム:《MTCG》』」より
原作4巻の前半が終わり、この後に直接対決が描かれます。果たしてどんなイカサマを用いるのか、映像のツッコミポイントはなくなるのか。残り2話も引き続き見ていきます。
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