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アニメ「ライアー・ライアー9話」の謎解きとキャラクター分析:《影武者》改め《百面相》の暗躍
ライトノベル出身のアニメ『ライアー・ライアー』を、補足しつつ感想を書いていくシリーズの9回目です。
第8話「グッドナイト」は原作3巻の第三章までであり、嵐の前の静けさといえる部分です。ドッペルゲンガー陣営は静観し、強敵と相対することもありませんでした。
第9話「闘争と掃討」から刺客たちが動き始めます。英明学園の弱点を付く者、己の覇道を歩む者、挑戦してくれるよう場を整える者。個性豊かな面々が、7つ星の行く道を阻もうとしてきます。
篠原たちはどんなイカサマで立ち向かうのでしょうか。衝撃的な最後からは目が離せません。
目次
『ライアー・ライアー』のあらすじ
学生同士がランクを決めるゲームを繰り広げる学園島。篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させた。結果学園島史上最速で頂点に1人だけ君臨する7ツ星に成り上がった。
そんなものは全て嘘だ。大切な人に会うために外部からやってきただけの一般人で、本当の星はたった1つしかない。しかし、学園島に残るためには嘘でもトップにいなければならない。姫路白雪のイカサマも、偽物だった彩園寺更紗との共犯関係だって活用する。
じゃあ、世界を騙す嘘を始めよう。
キャラクター紹介
- 篠原緋呂斗:英明学園2年の7つ星(偽)。ポーカーフェイスと機転で学力を補っている。イカサマ使いにとっては味方も敵になり得る。
- 彩園寺更紗:桜花学園2年の6つ星。影武者で本名は朱羽莉奈。何故か偽物2が現れた。
- 姫路白雪:桜花学園⇒英明学園2年の4つ星。支援組織《カンパニー》のリーダーを務める。
- 秋月乃愛:英明学園3年の6つ星の一角。見た目と性格から”小悪魔”という通称を持つ。特別な存在になれた。
- 榎本進司:英明学園3年の6つ星の一角。瞬間記憶の高さから”千里眼”の異名を持つ。腐れ縁の浅宮を心配している。
- 浅宮七瀬:英明学園3年の6つ星の一角。身体能力・反応力の高さから”金色の夜叉”の異名を持つ。悪意に弱いとされる。
- 椎名紬:中学三年生の引きこもり。天才的な実力を有しているが、極度の人見知り。篠原は例外。
ライアー・ライアー9話「闘争と掃討」の展開と6つの補足
アニメで描写されていなかった背景、疑問視される展開を中心に補足していきます。
この項目内の挿絵は全て、©2023 久追遥希/KADOKAWA/ライアー・ライアー製作委員会のものを使用しています。
また彩園寺更紗(朱羽莉奈)については、アニメ化する範囲で本物の彩園寺更紗は登場しないため、彩園寺表記で統一します。
嵐の始まり
2日目午後まで《影武者》に大きな動きはありません。彩園寺も勝利条件の篠原を狙わず、陣地を伸ばし続けていました。
異常事態は2日目午後の最中に起きました。序列13位、18番区の常世学園が《影武者》にだまされ一網打尽にされます。このイベントには視聴者数も急上昇し、実況の《ライブラ》も困惑していました。
一方、振り返り放送の《ライブラ》は《影武者》の作戦だと分かっていたように報じました。印象が悪い《影武者》に代わり、誰にでもなれるという意味の《百面相》の二つ名を与えられています。
どうして《ライブラ》の反応が変わったのか、実況者風見鈴蘭の声色が悪かったのか。本格的な波が始まりました。
食事を届けるついでに
篠原は椎名に食事を届ける役目を任されています。夕食を届けたついでに誘われ、午前3時台まで格闘ゲームに付き合うことになりました。
普段はハッタリとハッキングを中心に戦っていますが、椎名には勝っています。
- エフェクトにはしゃいでワンテンポ遅れる
- リアルタイムで詠唱して、次の手を教えてしまっている
勝因は誰かの隣で遊ぶ経験が椎名に足りていなかったことでした。椎名は通信制ではなく、一般の中学校に通っています。しかし、およそ半年前から一度も学校に行っていません。極度の人見知りと天才的な頭脳が、学校生活を妨げていました。
ネットゲームで遊ぶ日々の中、隣で遊んでくれる篠原は貴重な対戦相手です。もっと遊ぶため、少女は頭を回していました。
《百面相》の誘い
3日目午前、2時間の間に3つのチームが脱落しています。1つは《百面相》が直接手を下し、1つは勝手に仲間割れして、1つは《擬態》アビリティを使った便乗によってです。
手を下すまでもない。《百面相》は疑心の種だけまいて、次の手に移っていました。
傘下に入れば、聖城学園が優勝して同率2位を約束する。
2位になれば星を失うこともなく、たくさんの報酬を得ることができます。5位以内に入れそうもない弱小チームにとって、《連合軍》への誘いは天恵でした。
聖城学園にいくつかのチームが吸収合併し、聖城学園がトップに立ちます。
英明学園のケンカップルは《百面相》の思惑通り疑心暗鬼に囚われていました。チームのために午後の戦いに参加しない。3人だけで午後を戦い抜くことを求められました。
枢木千梨は結局真剣
「いや、問題ない。何せ、その二人が参加できないように仕向けたのは私だからな」
『ライアー・ライアー3「第四章 一撃必殺の鬼」』より引用
「……せっかく伏せてやったのに暴露しちまうのかよ。真面目なのは見た目だけか?」
「よく言われる。けれど、ルールの範囲内で試行錯誤を繰り返すのは《決闘》の醍醐味だろう? 故に、真面目は真面目でも、勝利に対して真面目なのだと思ってもらいたい」
「はいはい、そうかよ」
(落ち着いた口調でとんでもないこと言ってんな……清楚な戦闘狂かよ、ったく)
枢木は見た目通り、真剣な性格をしています。
煙幕を用いて先輩を離脱させたことを、わざわざ相手に白状しています。原作では篠原のハッタリに答えてくれ、時間稼ぎを許してくれました。
枢木が求めるのは自分ではなくチームの勝利です。《連合軍》に下ったのも仲間を犠牲にしないためでした。
とはいえ、
- 必殺技《一射一殺》の発動条件を伝える
- 篠原のスロット不足の指摘(補足参照)
など相手に有利な情報まで教えてくれています。全てをさらしたうえで7つ星へ勝ちたかったのか、それとも《連合軍》を指揮する霧谷への不満だったのか。
少なくとも、枢木がチームの勝利を至上にしていることは間違いありません。
個人スロットの上限は拠点数×3となっています。また、交戦中はスロットの修正はできません。枢木戦時、英明の拠点は12でした。
故に枢木は初手の《魔砲》+《中和》×35=12×3で弾切れだと判断しました。
枢木千梨が英明を追いかけた理由
枢木が英明を追いかけていた理由は2つありました。
1つは《連合軍》からの指示です。目立ちたい霧谷にとって英明の7つ星は邪魔でした。第三者が篠原を倒せば彩園寺に勝てる。霧谷の指示は《百面相》にとっても都合の良い条件です。尖兵として送られた枢木は、3年生2人が復帰する前に処理することが求められました。
アニメでは省かれていますが、もう1つ追いかけていた理由があります。それは《一射一殺》の発動条件です。アストラルでは《一射一殺》に2つの条件を設けていました。
- 交戦に参加している自チームのメンバー数が、相手チームのメンバー数以上であること
- アビリティ使用者の行動値が3以上であること
英明の陣地だと行動値が上がってしまい、後者の条件が満たせなくなります。篠原は手当たり次第に《中和》をばらまき、英明の陣地を増やしているようにみえました。
悟られないために英明のマスを踏むことができず、交戦中を維持するために逃がすわけにはいけません。
篠原の知らないところで、枢木たちの移動経路は削られていました。
腐れ縁への本音
榎本と浅宮の仲直りの光景は原作に準拠しています。それでも腐れ縁の2人が真意を知る大切な場面なので、抜粋しました。
榎本は純粋過ぎる浅宮を心配していました。モデル業界から遠ざけたときと同様に、《百面相》や黒幕の悪意から逃がしたいと考えます。最も怒らせる方法を考え、煙幕を利用し挑発しました。
浅宮は榎本と別方向に見え過ぎていました。榎本であれば動きに付いて来てくれる、守るためにとっさに行動しています。説明を後回しにしたのも理解してくれると信じていたからでしょう。
得意な分野が正反対な2人が、ようやく手を結んでくれました。
まとめ:もう一つのプロローグ
- 《影武者》改め、《百面相》の行動開始 ライブラの姿勢が変わる
- 椎名紬、誰かの隣で遊ぶ経験が足りていなかった
- 《百面相》傘下に入れば、同率2位を約束するという契約
- 枢木千梨、チームの勝利を至上として《百面相》に屈する
- 手当たり次第の《中和》ブラフが必殺技の条件を妨げていた
- 榎本と浅宮、原作通りの仲直りをする
- 《百面相》率いる聖城学園連合軍が過半数を支配
7つ星が自滅によるアストラルからの脱落。3日目午後は衝撃の結末を迎えました。遺された4人にアストラルを託し、篠原は逆転の策に打って出ます。
参加者が接触を禁じられている組織、《ライブラ》との接触が第一歩になっていきます。
第9話「闘争と掃討」は原作3巻の三章から終章までを取り扱っていました。椎名の表情や秋月の罠が映像になり、9話は久方ぶりに表情差分に満足できました。
自決した時点で3巻が終わり、逆転の布石のためライブラに接触を試みます。原作4巻ではご都合主義にも感じられる決着が続きます。果たしてアニメ全体としてご都合主義のレッテルが剥がせるか、残り3話も引き続き見ていきます。
アニメ「ライアー・ライアー10話」の謎解きとキャラクター分析:《百面相》対策同盟の第一歩
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