アニメ『ライアー・ライアー6話』の謎解きとキャラクター分析:イカサマvs違法

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ライトノベル出身のアニメ『ライアー・ライアー』を、補足しつつ感想を書いていくシリーズの6回目です。

アニメ第6話「宝と闇」は、協力者を選ぶ重要性を教えてくれる原作2巻の終盤です。実は原作の情報だと既に決着が付いています。伏線がカットされている中、第6話は無事にご都合主義のレッテルから逃げられるのでしょうか

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『ライアー・ライアー』のあらすじ

学生同士がランクを決めるゲームを繰り広げる学園島。篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させた。結果学園島史上最速で頂点に1人だけ君臨する7ツ星に成り上がった。

そんなものは全て嘘だ。大切な人に会うために外部からやってきただけの一般人で、本当の星はたった1つしかない。しかし、学園島に残るためには嘘でもトップにいなければならない。姫路白雪のイカサマも、偽物だった彩園寺更紗との共犯関係だって活用する。

じゃあ、世界を騙す嘘を始めよう。

キャラクター紹介

  • 篠原緋呂斗:英明学園2年の7つ星(偽)。ポーカーフェイスと機転で学力を補っている。今回は手札を忘れなかったことが勝因。
  • 彩園寺更紗:桜花学園2年の6つ星。影武者で本名は朱羽莉奈。篠原に負けられると詰むので、篠原の協力者として男装で参戦する。
  • 姫路白雪:桜花学園⇒英明学園2年の4つ星。支援組織《カンパニー》のリーダーを務める。囚われの身でも篠原に協力できる。
  • 秋月乃愛:英明学園3年の6つ星で学園内最強候補。見た目と性格から”小悪魔”という通称を持つ。篠原を蹴落とすために黒幕に協力する
  • 倉橋御門:あらすじで正体が流出してしまった黒幕。12番区の学園長なのだが、下種で有名。乃愛以外にも手駒は構えている。

ライアー・ライアー6話「宝と闇」の展開と7つの補足

アニメで描写されていなかった背景、疑問視される展開を中心に補足していきます。

この項目内の挿絵は全て、©2023 久追遥希/KADOKAWA/ライアー・ライアー製作委員会のものを使用しています。また彩園寺更紗(朱羽莉奈)については、アニメ化する範囲で本物の彩園寺更紗は登場しないため、彩園寺表記で統一します。

盤上宝探し

視聴者を置いていったまま、秋月乃愛は篠原へ質問しています。

『緋呂斗くんのパートナーは3階以下に隠れてる?』

実は原作でもルールが分かっていないところから始まっています。” 相手の隠したパートナーがいる教室を当てる ”という宝探し系ということしか伝えていません。そのうえ、秋月乃愛の発言によると、協力者がいなかったら不戦勝に出来たらしいです。

盤上宝探しのルールは次のようになっています。ルール説明より先にアビリティを選ばせていました。どう見ても《決闘》のルール違反ですが、秋月のなりふり構わずさが出た演出だと思っておきます。

  • 【質問】と【移動】を繰り返すターン交代制
  • 【質問】フェイズでは相手にはい、いいえで答えられる質問をすることができる
  • 【移動】フェイズでは3マスまで移動できる
  • マスは教室で区切られており、縦6、横8の48マスを使用する
  • 階段は端部屋からしか使用できない
  • 【回答】コマンドは1ゲーム中に3回使用することができる。相手のパートナーの配置を正答した時点で《決闘》は終了する。ただしプレイヤーが教室前にいなければならない
  • 【退避】コマンドはパートナーの配置を自由に変えることができる。ただし回答権を1つ消費する

秋月の違法アビリティ

秋月乃愛が使用したアビリティは以下の3つです。

  • 二回行動:1ターンに2回行動する強力なアビリティ。本来は回数制限があると思われる。黒幕によって無制限に改造されている
  • 広域結界:校舎全体に対する防御系アビリティ。《決闘》外に干渉する改造アビリティ
  • ○○○○:《決闘》の根幹を壊すアビリティ一応6つ星以上の合法

違法手段に手を染めると言っただけあり、持ってきたアビリティが軒並み真っ黒です。

これだけやって勝っても、無効試合になって隠されたままになるでしょう。ただ、暴走した少女は相打ち覚悟で特攻してきました。

篠原の位置情報割り出しプログラム

《区内選抜戦》が始まってから、篠原たちは追手から逃げ続けてきました。そのときに使用した端末反応プログラムを使えば、姫路の居場所も分かります。

とはいえ、秋月が知っているのに対策しないわけがありません。外部からの違法な通信を打ち消すアビリティ《広域結界》を使用していました。

外壁が強固であれば内側から壊せばいい。そんな定石に則って、協力者が端末反応プログラムを制作することになりました

たった10分で。

彩園寺の疲労を犠牲に、1箇所目の特定に成功しました。

一応伏線は貼られています

「階段上がったり下がったりしてるだけでも意外に疲れるもんだし……っていうか、あんまり汗かいて身体冷やさないように気を付けろよ? 今日は十時過ぎから特に寒くなるって話だったから、部屋を暖かくしてないと普通に風邪ひく羽目になる。俺の方のパートナーもさっきからちょっと寒がってるみたいだしな」

『第四章 隠していたモノ』より引用

篠原は姫路へメッセージを原作通りに伝えています。不利益なことは話せないけど、会うことはできる。

描写されていませんが、このときに《ピンチヒッター》のアビリティカードを受け渡していたのでしょう。

彩園寺の心理戦

2回目の居場所を特定した方法は100%の理詰めです。

翠の色付き星の効果は行動予測です。篠原の行動を読んでいたから、今まで裏をかけていました。一方で姫路の思考を読めなかったため、前回の不等辺三角関係で引き分けに持ち込まれています。

故に篠原は何も考えず、彩園寺の予測を信じることとしました。

移動手段が古典的な徒歩なので、教室へ移動した音が全員に聞こえかねません。暴走中の秋月とはいえ、6つ星の彼女が敗北の可能性を気にしないわけがないのです。後は3の倍数+1という定石に従って3択まで絞られていました。

篠原の本質がペテン師だからこそ、定石通りの手が刺さったわけです。

敵のときはアレでしたが、味方になると彩園寺の有用性がよく分かります

秋月の《運命改変》

10時にエアコンを付ける。職員室で待機していた彩園寺によって、姫路の居場所は特定できました。

ここまでは心理戦、ここからは奥の手の出番です。

秋月の3つ目のアビリティは《運命改変》です。対戦相手の行動を打ち消し、行動権を戻さない。卑怯な手段ですが、一応合法アビリティです。

イカサマにはイカサマで。想定外な合法手段には、想定外な合法手段で。

秋月乃愛の最大のミスは、生粋のペテン師に嘘で挑んだことでした。

秋月は誰に勝ったのか

  • 《ピンチヒッター》は対象の代わりに負けることができる
  • 《密偵》《破壊衝動》は勝者に自動的に受け渡される

つまり《破壊衝動》のスイッチも爆弾も秋月の手元に集まってしまったのです。秋月は全てを悟りました。

秋月は初等部から英明学園に通っていた一般人の天才です。周りは財閥の令嬢や御曹司ばかり。常に劣等感を抱えて過ごしていました。特別になれば周りに見てもらえる。努力の源泉が篠原によって崩されたと彼女は語ります。

ここでようやく倉橋御門の名前が出てきます。あらすじで出落ちが確定している悲しき人です。

たとえ直前まで敵だった少女の演技力だとしても、持っている手札は何でも使う。一回目の襲撃が倉橋を待っています。

まとめ:もうちょっとだけ続きます

  • 視聴者置いてけぼりの『盤上宝探し』開始
  • 違法行為に手を染める発言通りの、改造・改造・ゲーム崩壊アビリティ
  • 10分で端末反応プログラムを作らされた彩園寺
  • 10時過ぎから寒くなるという伏線(アビリティカードを肩に張り付ける?)
  • 篠原の行動の裏を読んだ、定石通りの手段
  • イカサマにはイカサマで、想定外な合法手段《運命改変》には想定外な合法手段で
  • 秋月は姫路に勝ってしまった

第6話は原作第4章、盤上宝探しに全ての尺が割かれていました。参加者4人が救われる結末が描かれ、全てのヘイトが突然出てきた男倉橋へ向けられます

伏線が抜かれてまたご都合主義にしか見えないと心配していました。《ピンチヒッター》の名前が分かりやすかったことが幸いだったのでしょう。大半が原作通りの心理戦なこともあり、比較的満足のいった回でした。

第7話からおそらく最終回まで1つのイベント、対抗戦に使われます。新キャラが沢山出てくるはずで、果たして収拾がつくのでしょうか。次回以降も引き続き見ていきます。

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