【感想・紹介記事】TS衛生兵さんの戦場日記(TS衛生兵さんの成り上がり」)の特徴5選

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まさきたま/クレタ『TS衛生兵さんの戦場日記』(WEB版:TS衛生兵さんの成り上がり)は理不尽な戦場を生き抜いていき、周囲を見送りながら頭角を出していってしまう転生少女を描いた異世界ファンタジーです。

FPSのトッププレイヤーとしての知恵と稀な回復魔法の適性。無双できる要素があっても、大勢を変えることはできません。絶望的な状況で戦友はいなくなり、家族も失いました。

本作は憎めないキャラクター造形の素晴らしさ、大切なものが零れていく戦争のリアリティに秀でています

次にくるライトノベル大賞2023の単行本部門を受賞した作品ですが、
筆者はWEB版を1話から見ていた経験を中心に執筆しています。

なお作者の描くキャラクター像は好きだけど、グロテスクな描写が苦手な人は過去作(異世界コメディ)がおすすめです。

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目次

小説情報

基本情報

あらすじ

ファンタジーの世界でも戦争は泥臭く醜いものでした


トウリ・ノエル二等衛生兵。彼女は回復魔法への適性を見出され、生まれ育った孤児院への資金援助のため軍に志願した。しかし魔法の訓練も受けないまま、トウリは最も過酷な戦闘が繰り広げられている「西部戦線」の突撃部隊へと配属されてしまう。彼女に与えられた任務は戦線のエースであるガーバックの専属衛生兵となり、絶対に彼を死なせないようにすること。けれど最強の兵士と名高いガーバックは部下を見殺しにしてでも戦果を上げる最低の指揮官でもあった! 理不尽な命令と暴力の前にトウリは日々疲弊していく。それでも彼女はただ生き残るために奮闘するのだが――。

「TS衛生兵さんの戦場日記」まさきたま【新文芸】ーKADOKAWA

TSしたFPS廃人が、異世界ファンタジーな戦争に巻き込まれる話です。
残念ながらチートとかは貰えなかったので、雑兵としてコツコツ努力していきます。

TS衛生兵さんの成り上がり―ハーメルン

「TS衛生兵さんの戦場日記」特徴5選

以下ネタバレ注意です。

舞台:第一次世界大戦前後の西洋

初期状態では主人公たちのいるオースティンと元ネタがロシア連邦のサバトにて、10年間の戦争を行っている真っ只中です。

隣国にフランスモチーフのフラメールがあり、他にもイギリスが元のエイリスが後々参戦してきます。

序盤は泥臭い塹壕戦で数メートルの領土を進める、戻すの戦いが続きます。

後々の毒ガス兵器やサバト革命、塹壕戦で戦車が登場しない点などから1900年前半、第一次世界大戦前だと推測されました。

世界観:魔法と武器が共存しており、傷つけることに特化

この世界では魔法と武器が共存しています。近距離では銃弾を盾の魔法で弾き、遠距離では魔力で狙撃する。

似たような世界線に『幼女戦記』が挙げられますが、あちらと違い航空戦力はなく地上の近距離戦が主流です。

他の特徴として、魔法の適性は性格に依存することが挙げられます。10年間も戦争が続いていたこともあり、近親者が殺されている人もたくさんいます。

そんな中で『他人を傷つけたくない』想いから芽生える回復魔法は希少で、治せる幅も魔力に寄りますが現代の致命傷は治せません。

以上より、武器も魔法も他人を傷つける方向に偏っているといえます。

主人公トウリ:FPSランカーが転生した志願孤児

前世はFPSの界隈で神と呼ばれる人材でした。

しかし、二次元と三次元は違います。戦のあとに笑いあって過ごせる二次元と違って、手を取り合う相手はいないのです。

トウリには狙撃の才能はあっても、人を撃ちぬく勇気に欠けています

故に回復魔法の適性が現れ、医療班の孤児ならという計らいによってガーバック隊長の最前線に送られました。

WEB版のタイトル『TS衛生兵さんの成り上がり』の名前通り、トウリは大切なものを失いながらエースのスキルを身に付けていきます。

WEB版最新では強化版ガーバック隊長といえる動きをしており、敵軍にとって恐怖の対象となっていました。

一言特徴:いい所を見せると容赦なく死んでいく

本記事に珍しく主要登場人物の項目がなかった理由があります。

本作、戦場が舞台で蘇生魔法なんてものはないので、名が有る登場人物の9割以上が死にます

単行本化されている段階(2巻時点)から生きている人物は片手で数えられてしまいます。

また作者は良くも悪くも人の心を分かっており、死ぬ直前にあまり負の印象を抱かせないように気を配っています。

したがってネット小説の感想では、良い人描写が出た時点で追悼されるなんて事件もありました

大半の読者の予想通り、その数話後に殺されています。

死後評価が上がった人物

とある人物は生前と死後で評価が一変しています。

生前は時代錯誤な暴力描写で、女子供に対しても容赦のない姿から低い評価を受けていました。

しかし、彼の亡くなった後トウリと読者が世界を知ることで状況が一変します。

  • 暴力描写は部隊を統率し死者を出さないための手段として
  • 過酷な訓練は体験をもとに必要なスキルを磨かせるため
  • 女子供に容赦の無い姿は、戦場の現実を体感させるため
  • 上層部への愚痴は、現場視点で最善の策を提示していただけ

現場に10年間いて立場にいただけあり、トウリに全てを伝授した師として語り継がれています

まとめ:読む前に覚悟を決めておくタイプ

  • 舞台:第一次世界大戦前後の西洋
  • 世界観:魔法と武器が共存しており、傷つけることに特化
  • 主人公トウリ:FPSランカーが転生した志願孤児
  • 一言特徴:いい所を見せると容赦なく死んでいく
  • 死後評価が上がった人物

まさきたま/クレタ『TS衛生兵さんの戦場日記』(WEB版:TS衛生兵さんの成り上がり)は理不尽な戦場を生き抜いていき、周囲を見送りながら頭角を出していってしまう転生少女を描いた異世界ファンタジーです。

どの特徴をとっても本作は読むのに覚悟がいるタイプの作品です。

誰が死んでもおかしくない戦場で、天涯孤独のトウリは国を移動しながらも生き足掻く。

感情描写の落差とキャラクター像が魅力的だと考えています。

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