【異世界恋愛小説　紹介】まさきたま『TS転生してまさかのサブヒロインに。』

まさきたま（サンキューカッス）作『TS転生してまさかのサブヒロインに。』はひょんとしたことからヒロインになってしまったTSF転生少女を描くコメディです。

主人公フィオは最高峰のヒーラーにして、異世界転生組で組まれた勇者アルト一行の５人目の少女です。アルトの周りには４人の少女が囲っており、日々ヒロインの座を争っています。ある日チーム仲の悪さから分断されてしまった主人公たち。精力剤の副作用を治療するため、自らの身体を捧げました。

本作の本質はカップルを中心に描くあふれんばかりのコメディ要素と豊富な下ネタ要素です。物語初期は男性メンバーといかがわしいお店に観光に行くような少女でした。徐々にオチていきますが、チームメンバーにバレたら殺される事実と性欲豊富な勇者に振り回されていきます。TS要素としては性的嗜好の変化描写が中心です。

漫画化されるそうですが、媚薬街の秘儀”大車輪”やフィオの故郷の秘儀”大天空”がどうなるのか個人的に物凄く気になっています。

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『TS転生してまさかのサブヒロインに。』小説情報

基本情報

あらすじ

────引きニートが死んだ時、物語は始まる。ハーレムを作りたい童貞は、異世界でどう生き抜くのか。

主要登場人物

フィオ

本作の主人公で幼げな金髪少女。初期はハーレムに加わらないどころか、ハーレムを作れないうっぷんで女を買っている隠しヒロイン。

回復魔法の実力は世界屈指で、訓練の助けに入っている騎士団からはアイドルと扱われている……ことを本人は知らない。

　戦場で潰れ死にかけた人間はその瞬間に蘇生しないと間に合わない。肉片が地面にばらまかれ血肉と混じりきってしまうと、蘇生の対象が地面に居る虫だの植物等と混ざり合い回復魔法がエラーを起こすのだ。そもそも、回復魔術は何故か死後数秒間で使用できなくなる。死人は蘇らないモノらしい。

　そう、次々致命傷を負っていく周りの仲間の蘇生でオレは手一杯であり、辺りを見渡して攻撃を躱す余裕なんぞ無かったのだ。動けないオレを庇い仲間が次々と肉片になっていく。

 「決断。」

【挿絵表示】（『てんせー』よりとりまる様）

アルト

寡黙で黙って仕事をこなすタイプの色男で、旅の中で何度も仲間の危機を救い続けてきた。

パーティー最強の勇者だが、前世のせいで声を掛けられずにいるだけだった。

バーディ

厳つい、髭、顔に斬り傷と盗賊よりの男。槍を用いた近接戦闘はこの国屈指だがアルトが強すぎる。

色街巡りが趣味だが、周囲の女性に恵まれない。前世も女絡みでトラブルになって刺殺された。

ルート

中世的な見た目の男性。風読みや星読みの達人で精霊使い。チームのナビゲートの役割を果たしてくれる。

幼いことに村を滅ぼされており、救ってくれた同年代の少女に恋をしている。

『TS転生してまさかのサブヒロインに。』ストーリーPickup

以下ネタバレ注意です。

ハーレムによって崩壊したパーティー仲

フィオたちが所属しているのはアルト率いる8人組のパーティーですが、チームの仲は良くありません。半数の女性4名がアルトの恋人枠を競い合っているからです。

例として、パーティーの資金を失った原因は、色町以上の価格の高級な香水を買ってアピールしたからでした。顔を合わせれば自分が出し抜こうとけんかする。

実力は世界屈指のパーティーなのに、4人の連携の悪さが問題を要していました。

　油断をした相手にこそ奇襲と言うのは効果を発揮する。連携が完全に取れていないオレ達のパーティには、まさに 効果覿面だった。

　

　不意を突かれたオレ達にいつもの陣形を取る暇も無く、それぞれ個別に迫り来る魔族共を対処するハメになった。

「危機的！？」

だからこそ、いざ奇襲を受けたとき最も守らなければならない回復術師フィオをないがしろにしています。

アルトがボス戦を投げ出してまで駆け付けなければ、世界は滅んでいました。

初夜から始まる二人旅

初めては黒歴史でした。フィオを救って逃げるために、精力剤を多く飲んでドーピングしなければなりませんでした。フィオもアルトの苦しみに気づいていて、今日のことを墓場まで持っていくと宣言しています。結局彼女は耐えられず、気絶するまで使われました。

2回目は改善されました。初回のお礼をするために倍行為をすると発言しています。フィオもこれにはドン引きですが、激しくぶつけた最初と違って今度は優しく包んでくれました。この時点でフィオは堕ちかけています。

3回目は朝チュンです。フィオから告白しており、TS少女として完全に堕ちています。アルトも告白に応じており、近くに監視者がいることを忘れて楽しんでいました。

2人旅の中で3回の行為に及んでおり、フィオもアルトへ陥落しています。ここから先はハーレムを見つめる傍観者ではなく、あくまでハーレム要因の1人であると思っているフィオと、フィオ一筋でいつ捨てられるか焦っているアルトの勘違いコメディとなっていきました。

「花嫁に祝福を。」

フィオの父親の没する日、彼が村長を務める村では盛大な宴が行われました。フィオの窮地を再び救ったアルトも参加して、恋人としての実力を見せつけていました。

死にかけのリーダーより強い奴の方へ興味を持つ、実力半ばなものの『他者を守る戦闘民族』の特性は引き継がれています。

フィオには花嫁衣裳のヴェールを、アルトには卑猥な方向の奥義を。

いや、本音を言うと、昨日村長殿に教わった秘奥を試したくてウズウズしてはいた。必死で自分の欲望を押さえ、平静を保っていたが。

　

「なぁ、フィオ。何でもしていいんだな？」

「え、その。・・・うん。良いよ。」

「よし。なら今日のはすんごいからな、気合入れておけ。」

「わ、その。え、いつもより凄いの？　え、アレより上があるの？」

「あるさ。空を翔けよう、フィオ。」

　 「陥落！」

シリアスな雰囲気は次の話でより大きなコメディで吹き飛ばす。『大天空』は本作の特性を体現した存在でした。

ひき肉で始まり、ひき肉で終わる

フィオの前世の死因は銃弾です。ヤクザの構想に巻き込まれて親友の隣で倒れました。

傷で死なないように、願いを叶えるかのごとく傷を癒す力を身に付けました。騎士団を始めとする救済行為は（逆）ハーレムを作り上げており、ハーレムへの願いも不本意ながら満たされています。

そんなフィオが迎えた最終回は、過去を思い起こすようなひき肉でした。フィオの回復能力を信じているからかあらびきから細かいミンチへと進化しています。

それでもギャグ補正無しで生きているあたり、フィオの生存能力の高さが伺えたシーンでした。

『TS転生してまさかのサブヒロインに。』まとめ：苦難を乗り越えても学ばなかったもの

まさきたま（サンキューカッス）作『TS転生してまさかのサブヒロインに。』はひょんとしたことからヒロインになってしまったTSF転生少女を描くコメディです。

主人公フィオは最高峰のヒーラーにして、異世界転生組で組まれた勇者アルト一行の５人目の少女です。アルトの周りには４人の少女が囲っており、日々ヒロインの座を争っています。ある日チーム仲の悪さから分断されてしまった主人公たち。精力剤の副作用を治療するため、自らの身体を捧げました。

本作はカップルを中心に描くあふれんばかりのコメディ要素と豊富な下ネタ要素が魅力的だと考えています。今回のPickupがシリアス要素中心でしたが、実際は90%以上がコメディです。

自分の価値を見失う早とちりは前世でも今世でも変わりませんでした。結局親友の忠言をスルーしてミンチになったり、空気を読めずにミンチになったり。

それでもひたむきに生きていたからキャラクターが輝いて見える作品だと考えています。