【至上命題は同じ】ラノベと大衆小説:違いと共通点を探る

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ライトノベル(ラノベ)と大衆小説はいずれもエンターテインメント性を重視した小説です。キャラクターやストーリーの描写を文体描写より大切にしており、レーベルは流行に沿ったユーザーへ作品を提供しています。

では、ラノベと大衆小説はどうやって区別するべきなのでしょうか。
ラノベだからと一概に軽蔑して良いものなのでしょうか。

本記事の調査結果として、ライトノベル黎明期であった2000年代までと比較して大衆小説との差は縮まりつつあることが分かりました。

  • 対象年齢:ライトノベルと大衆小説の差は縮まりつつある
  • 挿絵:ライトノベルの特徴になる一方、ライト文芸など挿絵のないラノベチックな作品を区別できない
  • テーマ:至上命題はどちらも『読者を楽しませること』。分岐した要因はWEB媒体に関係したか否かの要素が強い
  • 文体:誰を主軸とした作品かによって変化するモノであり、ライトノベルか否かは関係ない

そもそも現代の書籍で隆盛なのは漫画媒体です。ライトノベルも大衆小説も読者を楽しませることを目的としている以上、同じ方向に進んでいくのは必然ともいえます。

したがってライトノベルだからとジャンル単位で軽蔑せず、レーベル・作品単位で分けていく必要があると結論付けています。

目次

ライトノベル(ラノベ)と(大衆)小説の違いとは

黎明期にはもっと特徴的な差があり、他サイトの記述によると以下のような違いを紹介しています。

総じて小説という大ジャンルの中でも、ライトノベルが娯楽性を重視したものであり、純文学が文学性を追求する傾向にあるといえます。

大衆小説もまた娯楽性や通俗性を重視する分野であり、両者の中間的立場にあるとされました。

  • 対象読者: ラノベは主に若者や若年層を対象としています。一方、小説は年齢層を問わず、幅広い読者を対象としています。
  • 挿絵: ラノベは挿絵が頻繁に使用され、物語を視覚的に補完します。一方、小説はほとんどの場合、テキストのみで構成されています。
  • テーマ: ラノベは通常、ファンタジーやSFなどのジャンルに焦点を当て、独自のスラングや口語表現を多用します。一方、小説は多様なテーマを扱い、より正式な文体が用いられることが多いです。
  • スタイル:ライトノベルは会話や描写が多く、ストーリー展開が速いスタイルが一般的です。小説ではより文学的なスタイルのものが多く見られます。
  • 文体: ラノベは一般的に言葉遣いが簡単で、ストーリーは直線的でわかりやすい傾向があります。一方、小説はより複雑なプロットや深いテーマを探求し、文体も豊かで多様です。

果たしてこの認識は正しいのでしょうか? 

元々ライトノベルという分野が曖昧な定義で成り立っています。ライトノベル市場が10年間で半減したというデータも、新文芸や電子書籍業界の売上高を含んでいなかったという疑念もあります。

中には電子書籍業界で漫画の次にライトノベルが売れているのではないかという論評もありました。

HON.jp News Blog
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対象年齢

対象読者も晩年化が進んでいます。1990年代後半~2000年代の黎明期に少年だった年代は、既に40代に差し掛かっています。

ターゲットも新規に学生となった人より、元々の層に刺さる作品にした方が簡単です。そのため最近ではサラリーマンを主人公とする、即ち20代以上をターゲットとする作品が出現し始めています。

黎明期に流行った異世界転生は『自分の活躍できるところに行きたい』『人生逆転の機会が欲しい』といったような願望が感じられ、限界を知った思春期の悩みに刺さるものでした。

悪役令嬢は『光の当たらない立場から願いを叶えたい』、追放系は『自分の価値を理解できない集団から、真の価値を見つけてくれる場所に移りたい』、悲哀青春の恋愛モノは『自分が味わえなかった青春を感じ取りたい』……2020年代になって流行ったジャンルはいずれも社会の荒波にのまれる社会人が共感できる感情が含まれています。

特にざまあ系と呼ばれるものは、日ごろ口答えできない上司・同僚への怒りがこもっているように思えてしまいました。

挿絵

現代においてライトノベルと大衆小説を分けるポイントがあるとすれば、これだという方が多いでしょう。

しかしこの解釈も最善とは言えません。

確かにライトノベルや新文芸を抽出できる一方、ライト文芸と大衆小説を切り離すことができないからです。

ライトノベルと小説の比較ではなく、もしライトノベルとはと問われたならば、挿絵の有無が大きな要因となり得ます

テーマ・スタイル

ライトノベルや大衆小説のテーマは果たして偏っているのでしょうか。

少なくともライトノベルの流行は大衆小説の流行と異なる動きをしています。

例として小説投稿サイト『小説家になろう』から発したなろう系(異世界転移をスタートとする王道展開)が代表例です。

ライトノベル・新文芸の短い時間で展開を盛り上げていくスタイルは、1話切りしやすいWEB小説の形式に起因しています。

大衆小説の歴史は少なくとも明治にまで遡ります。新聞による通俗小説の流行、昭和の吉川英治などの作家流行、そして平成令和では自由なジャンルが認められていることにより、流行はいくつも分岐して変化していっています。

また、WEB媒体とは無縁なので衝撃のどんでん返し、伏線貼りが容易な点も強みでしょう。

ビジネス・経済の風刺をかけた小説、時代小説やホラー等がライトノベルの潮流から外れていると考えられます。

しかし、至上命題が『読者を楽しませること』である点は変わりません

文体

文体の軽さがライトノベルの特色として挙げる人もいます。

これについては一部事実で、青年の一人称を描くと軽快な文章となりがちです。

一方で文体の軽さは青少年を主軸とする作品全般にみられるものであり、ライト文芸や大衆小説でも当てはまるからです。

またサラリーマンを主人公としたり、SFに寄ったライトノベルでは文体がかしこまったものになっていました。

以上より、純文学と比べるならばともかく大衆小説とライトノベルを文体で分けるのは困難でしょう

個人的、大衆小説好きに刺さるおすすめライトノベル

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デスゲームを生業にする、異質のテーマと主人公像が特徴です。デスゲームを舞台としたライトノベルの中で、本作はドキュメンタリーに近い、新たなリアリティを読者に見せつけました。

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本作は世間への風刺的な要素も多々あります。毒舌気味な視点から繰り広げられるほのぼのファンタジーを好む人におすすめのライトノベルです。

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まとめ:ライトノベルと大衆小説の差は

  • 対象年齢:ライトノベルと大衆小説の差は縮まりつつある
  • 挿絵:ライトノベルの特徴になる一方、ライト文芸など挿絵のないラノベチックな作品を区別できない
  • テーマ:至上命題はどちらも『読者を楽しませること』。分岐した要因はWEB媒体に関係したか否かの要素が強い
  • 文体:誰を主軸とした作品かによって変化するモノであり、ライトノベルか否かは関係ない

以上より、ライトノベル黎明期であった2000年代までと比較して大衆小説との差は縮まりつつあります。

そもそも現代の書籍で隆盛なのは漫画媒体です。ライトノベルも大衆小説も読者を楽しませることを目的としている以上、同じ方向に進んでいくのは必然ともいえます。

更にAIの発展によって挿絵の予算が減っていけば、いずれ大衆小説にも挿絵が付くかもしれません。

したがってライトノベルだからとジャンル単位で軽蔑せず、レーベル・作品単位で分けていく必要があると結論付けます。

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