【完結済】ライトノベルとは_人生観を変えたおすすめライトノベル7選

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ライトノベルとはLight(軽い)とNovel(小説)を組み合わせた和製英語です。補足するように個々人によって範囲は変わっており、一貫していません。ここでは『青少年向けの書籍またはネット小説』として扱っていきます。

本ブログは『ライトノベルの心の旅路を紐解くブログ』と名付けて、ネット小説やライトノベルの感想記事を中心に投稿しています。

しかし、個人的な思い出がこもっている作品であるほど、一昔に完結していて記事を出しにくく感じていました。ライトノベルの定義に軽く触れた後、個人的に思い入れのあるライトノベルを紹介していきます

目次

補足:ライトノベルとは

Wikipediaより

『中学生/高校生という主なターゲットにおいて読みやすく書かれた娯楽小説』(榎本秋『ライトノベル文学論』2008年10月、NTT出版)

「青年期の読者を対象とし、作中人物を漫画やアニメーションを想起させる『キャラクター』として構築したうえで、それに合わせたイラストを添えて刊行される小説群」(一柳廣孝、久米依子編著「ライトノベル・スタディーズ」青弓社)

  • 青少年をターゲットとしてキャラクターを作られている
  • 理解しやすいよう、平易な文章でイラストが付いている

『オズの魔法使い』『ライ麦畑でつかまえて』を始めとする児童文学、『ビブリア古書堂の事件手帖』から急増したライト文芸とは、ほぼ同じ特徴でも明確に区別されています。

またネット小説やボカロ小説をKADOKAWAは新文芸と名付けていました。小さなディスプレイのガラケーで読むことを前提としたケータイ小説が消えたように、今後も分類は流行と共に変化し続けると推測されます。

Pixivより

元々は『青少年向けに、漫画やアニメを想起させるようなキャラクター造形を中心に書かれた小説』と逆説的に定義されていました。しかし、

  • 性別差を区別しないような配慮、ユニセックス作品の出現
  • 初期ライトノベル読者の加齢、対象年齢の加算
  • ネット小説の発展による、参入障壁の低下
  • 単行本で新文芸を販売する、新レーベルの出現

上で挙げたように定義にそぐわない反例が現れています。元々一般文芸と児童文芸のあいまいな中間地点(ジュブナイル)だったこともあり、点ではなく二次元でとらえるべきです。

とはいえ『一人称の会話調文体で展開が速い』テンプレートを作り上げた神坂一『スレイヤーズ』の功績(1990)は大きく、周辺分野のほとんどに引き継がれました。

おすすめ完結ライトノベル7選

最初に、今回の7作+1は独断と偏見で決めています

また、週1~3冊くらいのペースなので知らないライトノベルもたくさんあります。2000年代のシリーズでもとある魔術の禁書目録、灼眼のシャナ、涼宮ハルヒなどは1冊も読んだことがありません。

おすすめのライトノベルがあれば、コメントで教えていただけると幸いです。

先駆者(ぶんちりーメモランダム様)にならって、今回はネタバレをなるべく自重します。また個人的な出会いと魅力的なポイントを、アコーディオンボックスに隠しています。

ここをクリックすると開けます

アコーディオンボックスとは記事内でクリックすると文章を開閉できる機能付きのボタンです。主にネタバレや残酷な描写など読者を限る情報を中に入れておくことができます。

一方で空白行を差し込めず、読みにくいのが難点です。
(return+Shiftで空白行を差し込めるようにみえるが、更新すると追い出される)

追記:Cocoonから別テーマに変更したことで可能になりました。

コメディ系ライトノベル3選

バカとテストと召喚獣

「こんな教室は嫌じゃああっ!!」 アホの明久は叫んだ。ここ文月学園では、進級テストの成績で厳しくクラス分けされる。秀才が集まるAクラスはリクライニングシートに冷暖房完備だが、彼のいる最低Fクラスの備品はボロい卓袱台と腐った畳だけ。 明久は密かに憧れる健気な少女・瑞希の為、クラス代表の雄二をたきつけて戦争を始める。それは、学園が開発した試験召喚獣を使い上位組の教室を奪うという危険な賭けだった!?

井上堅二「バカとテストと召喚獣」、ファミ通文庫(2007)

井上堅二作『バカとテストと召喚獣』は、大馬鹿者たちがバカげた争いをしながら願いを叶えようとするコメディライトノベルです。本作はテストの点数もしくは点数を武器にした戦争によって、教室に格差が付けられた学園を舞台としています。

主人公たちは最底辺のFクラスから、最上位のAクラスの教室を奪うため猪突猛進……ではなく紆余曲折うよきょくせつしてしまっていました。何せFクラスの男子(47/50、主人公たち含む)は男女恋愛をした男子へ拷問をしかけ、Fクラスの女子(2/50)+Aクラス首席が嫉妬で好きな人に拷問をしているのです。時折上がる成績とほとんど進まない恋愛模様。コメディが詰まった文章と大馬鹿者だからためらわなかった行動が見事に重ね合わさっていました。

ギャグ漫画やアニメを普段見ていて初めて小説に触れる人へ特におすすめします。

『バカとテストと召喚獣』への個人的な思い出

私が『バカとテストと召喚獣』に触れたきっかけは、ヒロインが主人公に振舞った肉じゃが(王水入り)でした。危険物(濃硫酸[急性毒性]、クロロ酢酸[劇物])をそれっぽい理由で投入していき、主人公が机を貫通する肉じゃがを実食する。深夜アニメを知らず、科学好きの中学生には衝撃的な出来事でした。


読んでいくと節々のセンスの良さ、やっていることはえげつないのに楽しく読めてしまうテンポの良さ、裏表のなさすぎる主人公たちに惹かれていきました。

ライトノベルに触れたきっかけ、ギャグの金字塔として思い出に残っています。

生徒会の一存(碧陽学園生徒会議事録)

エロゲとギャルゲが大好きで「世界のハーレム王」を目指す高校生・杉崎鍵を主人公とする小説。彼が副会長を務める私立碧陽学園生徒会は、鍵以外は全員美少女という至上の楽園であり、全少女の攻略を目指している(※最近はそうでもない)が、まったく相手にされていない(※最近はそうでもない)

生徒会の一存|特設ページ|ファンタジア文庫

葵せきな『生徒会の一存』は、一癖ある美少女だらけの生徒会で主人公が「ハーレム王」を築き上げるまでを描いたコメディライトノベルです。かつての主人公:杉崎鍵は恋のトラブルで不登校になった少年でした。

  • 春にギャルゲーをすすめられ『前を向くこと』を思い出す
  • 夏に憧れを否定され『腑抜けた精神を鍛えられ』、学年トップになる決意を固める
  • 秋に思いを告白することで『潰れかけた心を癒され』努力の継続を誓う
  • 冬に人間嫌いの少女に救われ『強さを履き違える』ことなく願いを完遂した

後の生徒会メンバー4人との出会いが杉崎を変えました。学年下位からバイトと両立して全教科満点を取るのは至難の業です。彼の努力は女子4人も認めています。しかし、ノリでハーレムを目指しているようにみえるスタイルから下種のごとく扱われていました

本作の特徴を端的に表すならば、メタ要素の多さと会話文比率の高さです。前者は著作権にケンカを売る勢いのパロディが散りばめられており、豊かなリアクションを一層彩っています。後者は生徒会室という閉じられた空間ゆえの要素です。1話(十数ページ)まるごと会話文の回(ラジオ形式)もありました。

総じて笑える要素が多く、日常系のアニメや漫画が好きな人に特におすすめできるライトノベルといえます。ただし、注意点として『バカとテストと召喚獣』や『ゲーマーズ!』と比べて重い設定や黒い笑いが含まれています。

『生徒会の一存』への個人的な思い出

本作を手に取ったときには、深いきっかけがあるわけではありませんでした。

しかし、軽いノリで読めるテンポの良さ、周りに認められているのに敢えて信用を壊すような動きをする主人公、個性的すぎるヒロインたち。リズム良く読めて楽しい気持ちになれることから、初めて全巻(当時は21、現在は23)をそろえたライトノベルです。

短時間で読めることから修学旅行に持って行って、冷たい視線を向けられたことは忘れていません。

ゲーマーズ!

趣味はゲーム。それ以外には目立った特徴もなく、かといって平凡な日常を愛して居たりもしない、真の意味でのモブキャラぼっち高校生、雨野景太。
そんな彼が突然、生徒会でハーレムを宣言したり、ゲームであっても遊びではないMMO世界に閉じ込められたりするわけもなかったのだが……。
「……私に付き合って、ゲーム部に、入ってみない?」
学園一の美少女でゲーム部の部長、天道花憐に声を掛けられるという驚くほどのラブコメテンプレ展開に遭遇。ゲーム好きな美少女たちとのラブコメの始まり化と思いきや!?
こじらせゲーマーたちによるすれ違い錯綜恋愛ラブコメスタート!

ゲーマーズ!|特設ページ|ファンタジア文庫

葵せきな『ゲーマーズ!』は、ゲーム好きの主人公を中心に勘違いが勘違いを呼びまくる青春ラブコメです。ゲームエンジョイ勢の主人公雨野景太がガチ勢ゲーム部の誘いを断るところから物語は始まります。

運命の人が目の前にいるのに気づかない少女、妙に馬の合う親友の彼女、彼女が親友に寝取られることを恐れる親友、恋心が芽生えたとたん残念感が目立ってくるゲーム部部長メインヒロイン。勘違いに勘違いが重なったうえに、雨野景太は更なる爆弾を投げつけました

「天道さん、僕と付き合ってください」
「はい、よろこんで」
……………………。
………………………………………………………………………………。
………………………………あっ、僕ちょっと台詞間違え――――。


葵せきな『ゲーマーズ!2 天道花憐と不意打ちハッピーエンド「ゲーマーズとフライングゲット」』より 友達になろうとしたときにギャルゲーの走馬灯が流れた雨野否定から入ることを辞めようとした天道の2重のやらかし

友達申請の予定が告白に繰り上がっても、彼らにハッピーエンドは訪れません。勘違いによって疑いは増していき、思わぬところで因縁がバレてしまう。絶妙に上手くいかない5人組+αに、青春の初々しさを感じました

ゲーム好き、勘違い・すれ違い系のラブコメが好きな人へ特におすすめするライトノベルです。

『ゲーマーズ!』への個人的な思い出

きっかけは前々作『生徒会の一存』です。カクヨムでおよそ2巻分無料公開されており、2023年12月現在でも引用したシーン直後まで読むことができます。ただ、それ以降ネット小説にハマってしまい続きを読んでいませんでした。


BOOKWALKERの文庫・ラノベ読み放題コース(現在は読み放題 MAXコース)に加入したとき、全巻が対象作品になっていたのです。期間も定まっていないのに慌てて読み進め、私が元々勘違い系コメディが好きなのだと実感させられました。センスも『生徒会の一存』から衰えておらず、舞台の変化から活動的な描写が増えています。かつてのヒロインたちの面影も残っており、世界観が継続されているところも嬉しいポイントでした。


『勘違い』という要素が他作品より突出している点、楽しくゲームする主人公たちに惹かれた点から選出しています。

(現代)ファンタジー系ライトノベル4+1選

ココロコネクト

文研部の八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文は、奇妙な現象に直面していた。突然青木と唯に起こった“人格入れ替わり”。それは次々と部員全員へ襲いかかり、彼らを異常な日常に放り込む。戸惑いつつも、どこかその状況を楽しむ太一たちだったが、心の連鎖は彼らの心の傷をも浮かび上がらせ……。平穏が崩れる時、5人の関係は形を変える!

庵田定夏「ココロコネクト ヒトランダム」、ファミ通文庫(2010)

庵田定夏『ココロコネクト』は、心を知りたい超常者に目を付けられた主人公らが、現象をきっかけに成長していくヒューマンドラマです。秋からの半年間で4つの現象が彼らを襲っています。

  • ヒトランダム:一定時間5人組の中で入れ替わる
  • キズランダム:欲望が不定期に抑えられなくなる
  • カコランダム:一定時間ランダムに年齢退行する
  • ミチランダム:不定期に誰かの心の声が届く

誰にも明かさず超常者が飽きるまで耐えなければならない。しかし、危機的状況が烏合の衆であった5人の関係を深めてくれました。相手の視点に立つからこそ本当の自分を求められる。本心があふれるから素直な気持ちをぶつけられる。心の声が届くからこそ真意を知って円満に別れられる。現象を利用して絆を深めていく描写が見事でした

現象を通じて心を交わす描写に興味のある人、超常者に反逆する主人公たちが好きな人におすすめのライトノベルです。

入れ替わり作品として紹介されることがあるココロコネクトですが、描写があるのは1巻「ヒトランダム」と最終巻「アスランダム」だけです。

『ココロコネクト』への個人的な思い出

私は入れ替わり作品として『ココロコネクト』を知りました。全巻を読んでなお1巻が最も素晴らしい巻だと考えています。言って欲しいことを話す、写真撮影などネタ的な要素が3割、心の底にメスを指すようなシリアスな要素が7割の印象です。

『他人へ罪をなすり付けられる懐疑心へ潔白を証明する』『体のトラウマを取り除くために他人が自分へ荒療治を仕掛ける』『5人の姿として演じているうちに本来の自分を見失ってしまった少女へ価値を示す』といった女子勢の心に踏み込むシーンは現象がなければあり得ませんでした

心の変化に着目するきっかけとなった点、入れ替わりの拡張性を感じられた点から思い出に残っています。

入れ替わり作品の常ですが、ライトノベルよりアニメ版の方が伝わりやすく感じました。サジェストに『ココロコネクト_いじめ』が出てきたり打ち切りになっていたりと悪名高いアニメ版ですが、4話までのヒトランダム編はおすすめできます

空色パンデミック

「見つけたわよ、ピエロ・ザ・リッパー! ジャスティスの仇、とらせてもらうわ!」「……はい?」高校受験の日、駅のホームで、僕、仲西景は結衣さんと出逢った。彼女は“空想病”。発作を起こすと、正義の使者とかになりきってしまう。空想病にもいろいろあって、もし“劇場型”なら、他人に空想を感染させ、世界を滅ぼしかけたこともある危険な存在。だけど結衣さんは通常の“自己完結型”。そんな彼女に、なぜかつきまとわれる日々が始まった。発作を起こしていないときの彼女は、端的に言ってただのわがまま娘。空騒ぎに付き合ってられない。最初は、そう思っていた。――でも、それだけではなかった。

本田誠「空色パンデミック」、ファミ通文庫(2010)

本田誠『空色パンデミック』は、空想を現実だと思ってしまう空想病を通して、現実のあいまいさと理想とのギャップを突きつけてくる青春系ライトノベルです。

引用しているように初っ端から誰か分からないような発言をする少女。彼女にとっては脳が映す世界が現実のように映っています。専門のキャストが設定を汲み取って物語を収束させるように動く。風呂敷を広げるのはご法度。そんな独自の設定によって世界が回っていました。他人に感染させ得て、主人公に抗体がないことから1人称がほとんどあてになりません。現実のあいまいさを突きつけると同時に、思考が拡張されることから夢の広がる設定ともとれました。

予め忠告すると、本作は考察記事が出されるくらいには読み取りにくく感じます。設定を面白いと思った人、1人称のあてのならなさを実感したい人におすすめするライトノベルです。

『空色パンデミック』への個人的な思い出

『空色パンデミック』はライトノベルを読み始めたころから本棚にありました。簡潔にまとまっている1~2巻は分かりやすく劇場型(範囲内の人に感染させるタイプ、自己完結型と比較される)の危険性と、主人公の演じさせられながらも彼女の願いを叶えようとする姿勢を楽しく見てられました。当時流行っていたセカイ系の1作と数える人もいるでしょう。


しかし、3~4巻は2~3周しても理解できずにいました。1人称の主人公が電柱と会話するくらいに精神が崩れていたからです。ラスボスの思想の方が分かりやすい有様で、当時にはハードルが高過ぎました。


空想病という想像を働かせる設定、感染しながらも彼女のために動く真摯な姿、平易な文章なのに理解しきれない挫折の3点から思い出に残っています。

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人類は衰退しました

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は「妖精さん」のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の“調停官(ちょうていかん)”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。

人類は衰退しました(ガガガ文庫)

田中ロミオ『人類は衰退しました』は3投身の妖精さんが人類となった世界で、本名不明の少女が妖精のトラブルに振り回されるファンタジーです。ライトノベルの中でも戦闘描写や恋愛要素がほとんどない稀有な作品です。その分凝った世界観のほのぼのが繰り広げられました。

妖精さんは加工済み鶏肉(生きている)、知識を砂糖にするスプーン、皮で滑ると過去に戻れるバナナなど、不思議なアイテムを次々と開発します。主人公は旧人類と妖精さんの間を取り持つ調停官であり、妖精さん絡みのトラブルを解決しなければなりません。その度にとんでもない状況に追い詰められたり逆にトラブルのきっかけになったり。毒舌気味のわたしちゃん(主人公)、つんつんしているBL好きのY、お菓子のためなら何でも作れる妖精さんなどキャラクターも確立していました。

本作は世間への風刺的な要素も多々あります。毒舌気味な視点から繰り広げられるほのぼのファンタジーを好む人におすすめのライトノベルです。

『人類は衰退しました』への個人的な感想

『人類は衰退しました』は今回挙げた7作品で唯一アニメ版がきっかけとなっています。中原麻衣氏演じる主人公の諦観的な毒舌口調や妖精さんのファンタジーな見た目に反したリアリティ(いじめ、うつ、弱肉強食、電波障害など)に惹かれました。

小説としては1巻あたり2~3話構成になっていて、比較的読みやすい分量となっています。アニメで気づかなかった皮肉やこだわりが感じられ次々と読み進めていきました。妖精さんのアイテムも絶妙に欲しいか悩むような代物で、道具のてん末まで書いてくれるところも想像力をかき立てられました。

幻想的な世界と現実味あふれる描写を上手くまとめ上げた作品として、本作をおすすめに挙げました。

クロス・コネクト

陰キャで人間嫌い、だがかつて開催された『伝説の裏ゲーム』を全世界で唯一クリアした少年・垂水夕凪(たるみゆうなぎ)。平凡な高校生になった彼だったが、あるきっかけから「100人の凄腕プレイヤーが『姫』を殺す」新たな裏ゲームに強制的に招待された――『姫』として。しかも本来のゲーム内の『姫』である電脳神姫・春風(はるかぜ)は、夕凪と身体を入れ替えて現実世界へ。次々とトンデモな出来事を起こし、夕凪の人生(リアル)を激変させていく。
そしてゲーム内の『姫』の死=春風の死だと知った夕凪は、『約束された敗北』を覆すため、一つのミスも許されない究極のゲームクリアに挑む。
『入れ替わり』から始まる超本格ゲーム――「俺たちはこれから、このゲームを完膚なきまでに攻略する!」

クロス・コネクト|書籍|MF文庫Jオフィシャルウェブサイト

久追遥希『クロス・コネクト』は最強クラスのゲームプレイヤーが、抜け道を使って突破不可能だと思われるVRゲームを攻略していくサイエンスファンタジー作品です。

裏ゲームに勝利すれば世界的な企業が叶えられる限りなんでも貰える。過去にクリアしたことのある青年が、ある日唐突に裏ゲームに招待されました。どうしてか表紙に映っている容姿の人工知能『春風』と入れ替わって。 誰よりも虚弱なステータスでゲームクリアのターゲットにされる。絶望的な状況の中で主人公はどうにかクリアを目指します。

『春風』はただゲーム用に作られた存在ではありません。意志を持った1人として素直になれない主人公の代わりに現実を彩っていきました。最初は拒絶していた主人公も次第に絆されていきます。

一見不可能なように見えて抜け道のある物語設計、主人公が人に頼ることを再び覚える成長。両面において高く評価しています。

VRゲーム系の小説が好きな人、可逆的な入れ替わり・TSFに抵抗のない人へおすすめしたいライトノベルでした。

『クロス・コネクト』への個人的な思い出

『クロス・コネクト』を知ったきっかけは『ココロコネクト』と同じく、入れ替わり作品のまとめ記事からでした。ゲーム×入れ替わりという好きを掛け合わせたものだったため、迷わず購入し想像以上の仕上がりに驚きました。

ゲームの要素からは、絶望的な状況から言葉の抜け道を使って攻略していく盛り上げ方。入れ替わりの要素からは、主人公の周囲の変化と疑心暗鬼の主人公が頼れるようになった成長。期待していたものから本作は更に一段上をいきました。

人工知能である『春風』をどう見て、どのように取り扱うか。絶望的な状況からハッピーエンドまでもっていくカタルシスまで提供してくれています。総じて、物語の設定を気に入るならば是非手を取って欲しい本だと考えています

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1巻で茅場(ゲームマスター)がSAOをデスゲームにしてまで願っていた『異世界』が実現し、世界を見たいと願う人が現実では叶えられない夢を果たす。1万人とその関連者を地獄に叩き落した電子レンジ(ナーブギア)が、危機的な人を救う可能性になった変化が描かれました。ストーリーとしても前半は少女たちが夢を叶える王道な成長を、後半は叶えた先の姿を映し出しています。

死ぬ間際に夢を叶えていく姿に惹かれる人、王道な冒険譚を読みたい方へおすすめです。個人的には1巻ののち設定に興味を持った人はぜひ先に手を取って欲しいと思っています。

まとめ:おすすめの完結ライトノベル7+1

ライトノベルとは、以下のような特徴を持っています。流行によって年々特徴が変わってきており、一般書籍との境界線もあいまいになりつつあります。それでも風景描写よりも感情描写を中心とするスタンスは当分変わらない、と考えました。

  • 青少年をターゲットとしてキャラクターを作られている(ジュブナイル由来)
  • 理解しやすいよう、平易な文章が心掛けられる(ジュブナイル+ケータイ小説由来)
  • サイト由来のテンプレートに則った作品(ネット小説の出現による影響)
  • 対象年齢の引き上げ(読者層の加齢による影響)

おすすめのライトノベルについては、私が十年近くにかけて読んだ結果に過ぎません。各々にとって思い出のライトノベルがあるはずですが、この記事をきっかけに新たな扉が開ければ幸いです。

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