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【沢村光彦「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」】”助けられなかった”を乗り越えて
誰かの願い事を叶えるため、願った人が忘れていたとしても目的へ満身する人がいました。そんなものを叶えたとしても誰からも祝福されず虚しさに囚われるだけではないか、と笑うもいるのでしょうか。だとしても彼は突き進むことを選びました。 脚本:林宏司... -
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【dele2_感想】あなたは死者をどう覚えていたいか
亡くなった人の印象は生きた人に委ねられています。死者として蘇らないように封じ込めるのも1つの手であり、尊ぶことも権威のために利用することも許されます。自由な世間で、あなたは大切な故人をどう覚えていたいでしょうか。 本多孝好「dele2」は生と死... -
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【佐野徹夜「君は月夜に光り輝く」_感想】君からの最後のお願い
「私のかわりに生きて、教えてください。この世界の隅々まで、たくさんのことを見て聞いて体験してください。そして、あなたの中に生き続ける私に、生きる意味を教え続けてください」 283ページより 死の間際にいる人との出会いをきっかけにして、主人公が... -
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【柚月裕子「盤上の向日葵」_感想】将棋に生きた天才の最期
「歩が打てりゃァなァ。人生と将棋は、ほんと、ままならねえ」(p.554) 将棋とともに生きた棋士の失敗と答えを記した、柚月裕子「盤上の向日葵」の紹介記事です。上条桂介の追憶と警官の捜索がリンクすることで、読者に疑問への解答が示されていく流れに... -
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【森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」】不思議の中で君を追う
知らないことからくる『不思議』という感情は色々な所にあります。いつの間にか忘れていることも多いのですが、ふと心に残っていたことはありませんか。 森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」の紹介記事です。先輩が超常現象に好かれた後輩を追う一年を描いて... -
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【三浦しをん「舟を編む」感想】 言葉の海を渡る旅人たち
三浦しおん『舟を編む』は何かに打ち込む熱意が詰まった作品と言える。言葉の海を渡る舟になるように、国語辞典『大渡海』へ情熱を捧げた男たちが描かれていた。本書は何をしたいか分からない、何かに打ち込んでいる人を参考にしたいという人にオス... -
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【辻村深月「島はぼくらと」感想】小さい島の深いつながり
辻村深月作「島はぼくらと」の感想記事です。古くからの住民と新たな住民が共存した離島、冴島を舞台としています。島に帰るために部活が出来ず、大学に行けば冴島にいられなくなる。 本作の特長は新旧入り混じった土地に特有の人間関係の複雑さで... -
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今村夏子「星の子」感想 ふしぎな宗教に魅入られた両親の下で
今村夏子の「星の子」は2017年に発行され、本屋大賞にノミネートされた作品です。奇跡の水『金星のめぐみ』に救われた家族が宗教に傾倒するさまと、離れてく子供たちの心を描いていました。 宗教へ敬意を示し続けた両親と、宗教が嫌いなまま終わった子供。... -
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【湊かなえ「告白」_感想】教師として、生徒の殺人を許せるか
『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(2010)を始め、立場による人の倫理観を問う書籍は数多くある。堅苦しい言葉を並べた哲学書から、子どもや児童に向けた絵本まで、それは多くの人に向けて売られている。 今回はそういった... -
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【本多孝好「dele」_感想】 故人が消すことを望んだデータを前にして
たとえ人が死んだとしても、ネットワーク上のデータは残り続ける。一方で消えてほしくない故人との思い出は、時間の流れと共に薄れ揺らいでしまう。 本多孝好作「dele」は生と死をテーマにした小説の1つである。依頼主が死んだときに指定されたデータを消...