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本当に効果ある? オーディオブックで脳は本当に変わるのか検証
みなさん、通勤時間や忙しい仕事の合間に本を読みたくなることはよくあると思います。
でもなかなか時間を取れずにいらいらすることも多いのではないでしょうか。
この記事では、科学的見地からオーディオブックの効果を検証します。ぜひ最後までご覧いただき、オーディオブックの可能性を知ってください。きっと疑問は払われ忙しい毎日の中での癒しのひとときが増えるはずです。
目次
オーディオブックとは
オーディオブックとは、書籍の内容をナレーターや声優が朗読した音声コンテンツを指しています。紙の本をそのまま音声化した魅力的なメディアです。
オーディオブック業界はAmazonが運営するAudibleと株式会社オトバンクが運営するaudiobook.jpが主流です。これら2つはよく聞くジャンルによっておすすめが分かれます。
- ビジネス書目的……細かく買うことができ、より多くの冊数を保有しているaudiobook.jp
- 小説・エンタメ目的……特集が組まれており、特定の声優の朗読をより楽しめるAudible
- 特に目的を定めていない……キャンペーンを利用するとAudibleの方が長く体験できる。とはいえ数冊の体験ならばどちらも試す価値がある。
オーディオブックのメリット
スマートフォンやタブレット、専用機器を使えば、電車の中や散歩がてら、食事や掃除をしながらでも気軽に楽しむことができます。豊富なラインナップの中から好きな本をダウンロードし、移動時間やスキマの時間を有意義に活用できます。
移動時間などの一例
- 電車・運転中などの移動時間
- ランニング・トレーニングといった運動時間
- 朝の身支度や単純作業といったルーティン時間
- 夜行バスの消灯後や睡眠直前など消灯時間
一日の中には、電子書籍は読めなくてもオーディオブックなら聞ける時間が案外あるのです。
現在日本のオーディオブック市場規模は拡大傾向にあり、2024年には260億円規模1に成長すると予測されています。また株式会社インプレスの調査では2022年度の電子書籍の市場規模は6026億円、2027年度には8000億円への成長が見込まれており2、オーディオブックも同時に電子化の波に乗っているという見方もあります。著名人のSNSでのオススメや口コミなどで認知度も右肩上がりで、更なる活用が期待されている次世代コンテンツです。
証拠としてaudiobook.jpの会員数は250万人を突破3し、更なる拡大を狙っています。
オーディオブックのデメリット
オーディオブックは紙の本を上回る価格設定のものがあり、コスト面での負担が生じることが課題としてあげられます。加えて、文字を追いながら読むことができない分、内容の理解が難しくなりがちです。聞き逃した部分の確認もしづらく、音声のトーンやテンポの好みが個人差があることもネックになります。
このほかにも、専用アプリの習得や機器の操作習熟が必要になるケースがあるほか、海賊版が出回り著作権法の適用が難しくなるなどの課題も抱えているのが現状です。
紙の書籍にはないデメリットがある半面、メリットも大きな魅力的なメディアであることに変わりありません。自分にあった使い方を見出すことが大切だと言えそうです。
デメリットに対する詳細と各社の対策方法
- オーディオブックが高い……ナレーターや声優への人件費が含まれるためです。audiobook.jpやAudibleでは対策として、各種割引や月額定額サービスを実施しています。
- 聞き逃した部分の確認……Audibleでは30秒、audiobookでは10秒単位の巻き戻しができます。
- テンポの好みについて……2社ともに0.5倍速から3倍速以上にまで調整できます。使った限り、後々研究で指摘されたように1.5倍速程度がおすすめです。
- 専用アプリの習得……機能は電子書籍ほど複雑ではなくヘルプは充実していました。
オーディオブックで脳は本当に変わるのか データから探る
オーディオブックの継続的使用による英語リスニング能力の向上
Cafer ÇARKIT ”Evaluation of Audiobook Listening Experiences of 8th Grade Students: An Action Research”
この研究は、2018年度に、タラス地区のカイセリ州(トルコ中央部)にある中等学校で、24人の生徒がいる8年生の教室で実施されました。11週間のオーディオブックの使用前後によってテスト結果χ値が下がっています。リスニング能力の個人差を減らすことを示唆していました。
これはオーディオブックが持ち運びしやすく、使用頻度が増したことが原因だとされています。彼らは小説や詩集を好きなタイミングで何度も聞いていました。一方で書籍の速読には貢献しない点、試験勉強に影響しない点などが問題として挙げられています。
Anna Ching-Shyang CHANG “The Effect of Reading While Listening to Audiobooks: Listening Fluency and Vocabulary Gain”
15~16歳の英語リスニングコースに在籍する台湾人19名を対象とした調査です。オーディオブックを使用した7名(5名が脱落したため)と未使用の12名で13週間の講義前後のスコアを比較しました。
オーディオブックを聴きながら読むこと(RWL群)がディクテーションのスコアを100%以上向上させ、リスニングスピードを向上させたことを示唆しています。また語彙力もRWL群が平均566単語覚えたのに対し、従来の方法をとった対照群は123個しか覚えられませんでした。
Time 1 pre-test | Time 2 post-test | |||
選択問題 | ディクテーション | 選択問題 | ディクテーション | |
RWL群(n=7) | 26.14 | 12.14 | 32.71 | 24.86 |
対照群(n=12) | 26.50 | 9.33 | 29.25 | 16.42 |
オーディオブックによる理解力への効果
久保田達也『モバイル環境への機器と脳の適応』
2010年に日本で行われた、モバイルの通信環境特性と学習効果の関連性を解明する目的でオーディオブック による音声学習の学習効果を調べた実験です。反復学習により授業内容を構造的に理解する「気づき」の学習効果が、オーディオブックにも適応できると確認されました。
磯野春雄『電子書籍の読取りおよび聴き取りをした場合の脳活性化と 内容理解度』
同じ電子書籍を読んだときと聞いたとき、脳はどちらの方が活性化しているか。男子大学生12名をサンプルに調査した研究です。上の図から分かるように読み取りの方がオーディオブックより大脳前頭前野の活性度が高いことが分かりました。また読書終了後に内容理解テストを実施した際も、読み取りの方が高い成果となっています。
オーディオブックで血流が低下した要因として、プロが朗読していたため心地よく、リラックス効果が働いてしまったと筆者らは推測していました。
欠点の中で特徴的だったのが、漢字が読み取れないという意見です。英語のリスニングが従来群より好成績だったのに、日本語の小説(特に文語調)になると理解度が下がってしまった理由として同音異義が考えられます。
オーディオブックの倍速視聴による効果
オーディオブックの最大の魅力の1つは再生速度を自由に調整できることです。通常の1.0倍の速度ではなく、1.5倍や2倍と速めに設定する「倍速視聴」ができます。倍速視聴で、同じ時間内に2倍の内容を効率よく理解することができます。学習効率や生産性が大きく向上するわけです。
しかし一方で、速すぎる再生では頭が追いつかずに内容理解に悪影響を及ぼすのではと心配する向きもあります。
果たして倍速視聴は脳にプラスなのか、それともマイナスな影響なのか。過去記事で長濱澄『変則再生の影響調査(博士論文)』を始めとした論文を取り上げ調査しました。その結果が下になります。
- 時間効率を考えた場合、学習教材であれば1.5倍速程度が望ましい
- 2倍速以上で明らかに負荷がかかり、コンテンツの魅力も阻害し得る
- ただし、等速が標準だからこその倍速機能であり、倍速に対応できるようナレーターへ促すのは間違っている
- 1.5倍速以下によってコンテンツの魅力が下がるかは不明。認識面では有意差はないが、味わい方の違いという感情面にズレが生じていると推察
倍速視聴は記憶に残るのか? メリット・デメリットと学習への弊害まとめ
昔から人々はより便利に、より短くできるように発展してきました。服を洗うための手段が手荒いから洗濯機に代わったように、温める手段が火種を燃やすことからガスの引...
まとめ:科学的にもオーディオブックは効果あり
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Audible | audiobook (聴き放題会員) | audiobook (月額会員) | |
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タイトル数 | (日本語書籍約2万冊) | 約12万冊日本語書籍約1,5000冊 | 日本語書籍約40,000冊 |
追加料金、割引制度 | 対象外でも30%オフ | なし | 全て30%オフで購入 |
ジャンル | 大半の分野に対応 文学・ビジネスの比率が高め | ビジネス書中心 | |
最新作品 | 一部対応 | 非対応 | 対応 |
倍速機能 | 0.5~3.5倍速、30秒刻み | 0.5~4.0倍速、10秒刻み | |
ストリーミング再生 | 対応 | 非対応 | |
ビジネス書作品数 (2023/12/20) | 1,679~1,723冊[1] | 約1.350冊 | 約3,150冊 |
その他特長 | レビュー機能 | 聴く日経 | |
月額料金(税込) | 1,500円 | 833円(年額プラン) | 1,330円(月額プラン)おすすめは2.200円 | 1,100~33,000円
無料体験期間 | キャンペーン時2,3ヶ月 | 通常1ヶ月14日間 | 非対応 |
これまで見てきた通り、オーディオブックが継続的に使用することで、脳内で様々なポジティブな変化がもたらされることがデータ上明らかになりました。
簡単に始められて長期的な活用がしやすいため、脳内の神経伝達効率の向上や記憶力アップなどの効果が期待できるのです。
初心者でも運動や家事と並行しやすいので、脳への効果を実感しやすいでしょう。ぜひ始めやすさを生かして、継続的なオーディオブックとのコミュニケーションをおすすめします。
- 株式会社 日本能率協会総合研究所『オーディオブック市場 2024年に260億円規模に』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000035568.html(2023年12月24日アクセス)
↩︎ - インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2023』 ↩︎
- 株式会社オトバンク『5年で13倍!「audiobook․jp」の会員数が250万人を突破』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000238.000034798.html(2023年12月24日アクセス) ↩︎
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