【転生王女と天才令嬢の魔法革命 2巻 感想】アルガルドの願い×アニスフィアの独走

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鴉ぴえろによる『転生王女と転生令嬢の魔法革命』は魔法が宗教として根付いた国を舞台としています。第2巻は第1章の後半として、なぜアルガルドはユフィリアとの婚約を破棄したのかというところに注目されました。

本記事では”人でなし”になることを選んだ、パレッティア姉弟の悲哀を中心に取り上げていきます。

オススメポイント3選

  • ”魔法”へ込める思いの違い
  • 進んで”人でなし”になることを選んだ、似た者同士の姉弟
  • すれ違い続けたアニスフィアとアルガルドの想い
目次

小説情報

あらすじ

天才令嬢・ユフィリアとともに、王国を襲うドラゴンを討伐したアニスフィア。次なる脅威・ヴァンパイアの謎に迫っていく二人の前に、因縁の弟・アルガルドが立ちはだかる――王宮百合ファンタジー、激動の第二幕。

ファンタジア文庫の紹介文

主要人物

アニスフィアおよびユフィリアの紹介は前回の記事に載せています。

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レイニ・シアン

シアン男爵にとって忘れ形見。元平民にも関わらず、魔法を使うことができる。

アルガルドが婚約破棄したとき、レイニは彼の横で怯えていた。

ティルティ・クラーレット

クラーレット公爵家の引きこもり。残虐無比な性格といううわさが建てられている。本質は解読できない呪いを解き明かすことに心血を注ぐ変人。

魔薬の共同研究者で、イリアに『姫様の同類です』と切り捨てられている。

アルガルド・ボナ・パレッティア

アニスフィアの弟で、王位継承権第一位。氷属性の魔法を多用する。

プロローグにてユフィリアとの婚約を破棄した。そのため王宮に軟禁され、レイニとの接触を禁じられている。

名前の由来はall+Regarde(全てを見る)だと推測している。

「転生王女と天才令嬢の魔法革命 2巻」ストーリーPickup

以下、ネタバレ注意です。


魔法をどう捉えるか

アニスフィアは魔法について笑顔にできる憧れだと思っています。1巻では魔法省や伝統と考え方が対立していました。2巻では他の人との考え方の違いに注目します。

ティルティにとって魔法は忌み嫌う存在でした。

彼女は魔法を使い過ぎると魂内部の魔力バランスが崩れて、精神に異常をきたす体質でした。闇属性に優れた素養があっても、宝の持ち腐れでしかありません。ティルティは自分の性質に諦めを付け、解決できない呪いに熱中しています。

レイニにとって魔法は迷惑なものでした。

レイニの心臓部には、魔物にしかない魔石が埋め込まれていました。ヴァンパイアに由来しており、無意識に魅了をばらまいています。故に幼い頃から人間関係に難を抱えていました。

アルガルドにとって魔法は国を変えるための兵器でした。

優れた成績は出せても、突出したものがない。アルガルドは凡人だと自覚していました。しかし、世界を変えたい欲望を秘めています。

祖父は平民からの貴族登用を推進して、反乱に遭いました。
姉は魔学という画期的な技術を打ち出すも、陰口をたたかれています。全てを聞いて、アルガルドはあり方を変える必要に迫られました。

ステータス、治療手段、宗教……国中を見渡してもアニスフィアほど魔法を純粋に見られる人はいません。アニスフィアは世の病から目を背け、目の前へ注力していました

ユフィリアの願い

ティルティはアニスフィアと同類だと思っています。アニスフィアの異常性を分かっていました。ユフィリアはまだ引き返せます。

故にこのまま助手でいる覚悟はあるのか、ユフィリアに問いました。

「厳しいことを言うけれど……貴方にはアニス様の助手以外にもやっていける道があるのよ。アニス様の味方になりそうな貴族と婚姻を結んで、アルガルド王子が即位した後にアニス様を支援するとか、そういう方向の道もあるじゃない?」


『第3章 御伽噺の怪物』よりティルティの進言

アニス様と共に歩みたい。背を支えたいし、見守っていたい。助手としてはティルティに分があり、公爵家の娘としての責務からは逃れられない。ユフィリアには自分の将来を決める経験が足りていませんでした。

ユフィリアは魔法への解釈を見いだせていません

婚約者時代のように演じるのではなく、自分自身で決めなければいけない。自由と責任。両方を叶えるために、ユフィリアは役割を探し始めました。

”人でなし”に込めるもの

この腐った国は今すぐにでも変えなければならない。力を求めたアルガルドはレイニの魔石に着目します。協力者を用いて姉アニスフィアを拘束し、離宮にいるイリア・レイニを襲う計画を立てました。

計画は順調に進みます。追っ手を避けてアニスフィアがやってきたときには、”人でなし”へなり果てていました。

この後10ページ以上、アニスフィアとアルガルドの問答が行われます。互いの理想と信念のすれ違いが伝わってくる非常に重要なシーンです。国の発展を願っていても、進むべき方向が違う。相容れるには遅すぎました。

問答には感情が揺さぶられる描写がたくさんあります。本記事ではその中から2箇所を厳選して紹介していきます。

王道と覇道 2人が望む王様の姿

©2023 鴉ぴえろ・きさらぎゆり/KADOKAWA/転天製作委員会

「ただの人では化物には追い付けない。――ならば手にするしかないだろう。変わり果てるしかないだろう。そこにしか道がないのであれば」
「違う! アルくんが望まれたのはそんな王様じゃない。人と人との繋がりを大事にして、皆で手を取り合って和を以て国を治める王だ!」


『5章 狂乱の夜、来たりて』より

アニスフィアには治世の記憶があり、技術によって世界の進歩を促す策を取ってきました。平和な世の中にとって王は象徴としてあるべきとされます。適切な所で人材を使えるスキルが最も求められます。

アニスフィアはアルガルドが優しくて優秀だと分かっていました。だから異常者だと自覚しているアニスフィアはアルガルドから離れます。人々と協力して平和をもたらす王道の役割を期待していました。

アルガルドには腐敗した世間の記憶があり、実力によって世界の歪を正すことを迫られました。抜本的な改善を為そうとし、魔法の真理を見たい陣営と手を組むことを選びます。

無能な貴族が既得権益をむさぼり、姉のような天才が虐げられる世界が許せない。他の人に汚れ役を任せたくない。アルガルドなりの優しさが計画のスタートとなりました。

アルガルドはアニスフィアのような革命的な変化を求めています。武力によって腐った伝統を壊す覇道の役割を担う決意を固めました。

互いの素性を知って良さを知っているからこそ、相手のようになろうとしてすれ違ってしまったと考察できます。

魔法への捉え方

「あぁ、そうだ。呪いだ、魔法も、王家の血も、王子という身分も、与えられた理想像も、斯くあるべきという姿は俺にとって全て呪いだ。俺という人を空虚にするものだ。ならば全てを壊そう。失わなければ果ての先が見えぬというのなら、俺は全てを捨てても良い」

「そっか」

一度、空を仰いだ。月は眩しいまでに輝いている。その眩しさを瞼の裏に収めるように目をゆっくりと閉じた。

込み上げてくるこの思いに、どんな名を付ければ良いのだろう。わからないし、わかりたくなかった。名前のない感情を心の奥底に沈めて、私は目を開く。


『5章 狂乱の夜、来たりて』より

魔法への捉え方は第1章のテーマの1つです。引用箇所が姉弟の道を違える最後の機会でした。

アニスフィアも世界は病んでいると分かっていました。現状を変えるならば、伝統どころか国家すらも壊す必要があります。だから、アニスフィアは世界の治療を諦めました。自分の手が届く範囲で、1人でも多くの人が笑えるあり方を望みました。

アルガルドは世界の病を緊急の問題と考えました。周りからの陰口は日々続き、格差は未だに改善されない。飾りの王では現状を変えられるわけがありませんでした。アルガルドは治療のため、国を壊す覚悟を抱いています。生来の覚えの良さと我慢強さが積み重なって、1か0を求める過激な思想に至りました。

姉弟はそれぞれの思いがあって”人でなし”になりました。国家の命運を分けるほどの大事でありながら、ただの姉弟けんかに過ぎない。しかし、どちらかが果てるまで止める術を知りませんでした

2人を生かすチャンスは一度きり、隣にいた少女ユフィリアに委ねられます。

まとめ:すれ違い続けた姉弟

鴉ぴえろによる『転生王女と転生令嬢の魔法革命』は魔法が宗教として根付いた国を舞台としています。第2巻は第1章の後半として、なぜアルガルドはユフィリアとの婚約を破棄したのかに注目されました。

空を舞える者アニスフィア・ウィン・パレッティアには、地に足を付けることを選ぶ権利があった。

翼を持たぬ者アルガルド・ボナ・パレッティアには、何かを選ぶという選択肢がなかった。

作者によるアニスフィアとアルガルドの対比を記した文章です。相手を想っているのは確かなのに、どちらも決して永遠に幸せになれないことが決まっていました。

ユフィリアは2人のけんかをきっかけにやりたいことを見つけました。王家が後任者を失うほどの事件があっても、世界の差別は変わりませんでした。しかし、伝統が変化する兆しが見えたのは間違いありません

今後も”魔法革命”の名に恥じぬ活躍が見れることを楽しみにしています。

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