【神は遊戯に飢えている。 感想】隠されたルールを攻略して

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細音啓/智瀬 といろ「神は遊戯に飢えている。」は暇を持て余した神々が作ったゲームを、攻略しようと頭を捻る人間たちのハイファンタジーです。

人類は生存圏を増やすため、神々は暇をつぶすため、双方の利益を以て神々の遊戯が行われます。

主人公は近年最強のルーキー、相方のヒロインは神に返り咲きたい元竜神。

ゲームなのにルールを明かさない、理不尽ともいえるスタイルが特徴です。

どんなルールなのか謎解きしたい方、独特なゲームの設定が好きな人に本作をおすすめします。

目次

「神は遊戯に飢えている。」小説情報

あらすじ

暇を持て余した至高の神々が作った究極の頭脳ゲーム「神々の遊び」。永き眠りより目覚めた元神様の少女レーシェは、開口一番にこう宣言した。
「この時代で一番遊戯の上手い人間を連れてきて!」
指名されたのは“近年最高のルーキー”と注目される少年フェイ。二人が挑む「神々の遊び」は難易度高過ぎで完全攻略者はいまだ人類史上ゼロ。なぜなら神様は気まぐれで、とっても理不尽で、たまに理解不能だから。だけどそんなゲームだからこそ、心から楽しんで遊ばなきゃもったいない! 
ここに、天才ゲーム少年と元神様の少女と仲間たちによる、至高の神々との究極頭脳戦が幕を開ける!

(C)Kei Sazane 2021

主要登場人物

フェイ・テオ・フィルス

神々の遊びで3連勝無敗を成し遂げた期待のルーキー。

神の寵愛を授かりしメイ・ユア・ゴッド』という致命傷を復元する神呪を授かった。

かつて勝てなかった謎の少女と再会するのが目的。

レオレーシュ

元炎と龍を司る神様。一方通行で人間側になり、遊びで3,000年間氷漬けになっていた。

わがままかつうっかりが激しい性格で、一番ゲームに強い人とチームを組みたかった。

10連勝することで神の座に戻るのが目的。

神々の遊びを貶す発言や胸の話は禁句。

パール・ダイアモンド

リーダーを守るゲームなのに、リーダーと位置変換して庇わせてしまった少女。

責任を取って1勝1敗なのに引退しようとしているところを、フェイたちに拾われた。

気まぐれな旅人ザ・ワンダリング」は転移能力と有用だが、思い込みが激しくミスにつながることもある。『全自動思い込みガール』

胸はレオレーシュが嫉妬するくらいには大きい。

「神は遊戯に飢えている。」ストーリーPickup

以下ネタバレが含まれます。

神々の遊びと神呪(アライズ)

  • 神々から神呪アライズを受けた人間は、使徒となる。
  • 神呪アライズを授かった者は超人型・魔法士型どちらかの力を得て、神々との頭脳戦ゲームに挑むことができる。
  • 神々の遊びは、すべて霊的上位世界「神々の遊び場エレメンツ」で行われる。
  • 神呪アライズの力は、「神々の遊び場エレメンツ」でしか発揮できない。
  • ただし神々の遊びで勝利したご褒美に、神呪アライズの力の一部を現実世界で使えるようになる。
  • 勝利すればするほど、現実世界で開放できる力も増大する。
  • 合計3回の敗北で挑戦権を失う。
  • 神に10回勝利することでクリアとなり、「神の栄光セレブレイヨン」が与えられる
  • 年1,000人以上が神呪アライズを受けるが、無敗で3連勝したルーキーは10年に1人以下
  • 平均勝率は13%(人数が多いほど勝率が上がる)

神呪アライズと神々の遊びの設定を見て、正直に授ける人数が少なすぎると思います。

人間の生存圏は観測範囲の7%程度に過ぎません。

数千年もの間、神々の遊びで得た力の一部を生存圏の拡大に費やしてこの数値となっています。

10勝必要なのに対し3回の敗北で挑戦権を失い現役引退となる制度も、長続きさせる術となってしまっていました。

総じて神々は「神の栄光セレブレイヨン」をヒトに与えたくなく、自分たちが飽きるまでできる限り遅延している印象を受けました。

初心者に優しくない勝率

上に書いてあるように神々の遊びでの平均勝率は13%です。9人以下のチームだと9%程度に低下するため、10人以上のチームが推奨されています。

ここで気になるのは、最初に3連勝するルーキーの出現確率です。

神呪アライズの出現頻度は年1,000人以上で少なく見積もっても1世紀あたり10万人現れます。

3敗以外に辞める手段はないため、勝率xの3乗が3連勝無敗の確率です。

3連勝無敗は数人らしいので計算するとx^3<9/10,0000、勝率4.5%以下です。

三次元神経衰弱

ゲームが好きなフェイとレオレーシュ(レーシェ)にとって自己紹介も遊戯によって行われました。

ただし、こいつらはダイス目を任意にでき、シャッフルの段階で神経衰弱の52か所を覚えてしまう連中です。

レオレーシュの力で三次元に速度バラバラで回転させなければ、ゲームにならない位に発展してしまっていました。

これは2人が信頼できるか見極めるための手段で、完遂されていません。

しかし、2人がチームとして組むきっかけとなったやり取りが魅力的でピックアップしました。

 レオレーシュという名の少女が小さく笑む。

 だがその笑顔以上にフェイがドキッとしたのは、自分への呼び名が突然に「お前」から「キミ」になったことだ。

「キミのことフェイって呼ぶ。あ、だからわたしのこともレーシェでいいよ。敬語もいらない。距離感があると楽しく遊べないもんね」

「……急に親近感が上がったっていうか。そんな馴れ馴れしくていいんです?」

「うん。キミはゲームの期待に応えてくれた」

『Player,1 かつて神様だった少女』

隠されたルールを探せ

  • 【勝利条件】ゲーム終了時点で、白が黒の駒数を上回ること
  • 【敗北条件1】全員が捕まること(黒をひっくり返す白がいなくなるため)
  • 【敗北条件2】ゲーム終了時点で、黒が白の駒数を上回った場合
  • 【隠しルール1】神の攻撃で行動不能になった者は、神の配下になる
  • 【隠しルール2】神の配下を逆にタッチすることで、ヒト側に復帰可能
  • 【隠しルール3】前項1・2の達成時、敵駒を「挟んで」いる場合には連鎖が起きる

ただし白陣営を使徒(ヒト)、黒陣営をタイタン(カミ)陣営とする

タイタン、ウロボロスと1巻で2回あったゲームの内、ルールが面白く色々と言いたいこちらをピックアップしました。

まず最初に、余りにも隠しルールが多すぎます

開始時点では敗北条件1しか示されておらず、神ごっこというタイトルから鬼ごっこの亜種としか思われていませんでした。

次にルールが示されていないせいで後出しじゃんけんが過ぎます

触られていないのに神の眷属とされた2人は、今後の伏線となる一方で突然過ぎる現象でした。

問題がある一方で面白い側面もありました。全てのルールが分かってしまえば面白いルールになっており、リバーシの要素が含まれている伏線も用意されていました。

  • ゲーム開始時点で正方形のステージだと明記されている
  • タイタンは碁盤上のビル街を一定間隔で崩していっている
  • 触られていないのに陣営が変わった人物がいる
  • 神の陣営の人は上半身だけ神の色に変質する

「ノーゲーム・ノーライフ」「ライアー・ライアー」など絶望的な状態から逆転する作品は数多くあります。

その中で本作は気まぐれな神によってルール説明が理不尽である、という要素を加えてきました。

「神は遊戯に飢えている。」まとめ:ルール作りの知恵比べ

細音啓/智瀬 といろ「神は遊戯に飢えている。」は暇を持て余した神々が作ったゲームを、攻略しようと頭を捻る人間たちのハイファンタジーです。

彼らにとって至高のルールを考えて攻略してもらいたい。けれど負けると悔しいし全力でやる。神様の意図は十分に伝わってきます。

一方で使徒の人数(現役がわずか1,200人)、遊戯の頻度、隠しルールの多さなど、ヒトにとって理不尽な点が多く他作品との差別化点になりつつ、不平等でゲームの原則に反しているとも感じてしまいました

どんなルールなのか謎解きしたい方、独特なゲームの設定が好きな人に本作をおすすめします。

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