この記事には広告が含まれます。
【ライトノベルで見る新たな一面】VTuberが活躍するライトノベル:2024年版
VTuberを元ネタとした小説は読者へ新鮮な体験を与えられる点から、注目を集めています。Youtubeではもはや1ジャンルとして成立していますが、ネット小説・ライトノベルの業界ではまだまだ発展途上です。
本記事ではVTuberの説明を挟んだうえで、読み放題で1巻を読める作品6作について紹介していきます。
目次
VTuberとは
VTuber(バーチャルユーチューバー)は、3Dキャラクターや2Dアニメーションを使用してYouTubeなどのプラットフォームで活動するインターネットのパーソナリティです。
ゲームの実況や歌唱、アートの作成、雑談など、さまざまなエンターテイメントを提供しています。視聴者との直接的な対話を通じてコミュニティを形成し、ファンとの強い絆を築いていきます。
また、VTuberは一部の企業によって商業化され、ブランドの拡大やマーケティング戦略の一部として活用されていました。VTuberは日本を中心に世界中で急速に広がっており、新たなデジタル文化の一環となっています。
Vtuberを元ネタとした小説の魅力
VTuberを元ネタとした小説には次のような魅力が考えられます。
- リアルとバーチャルの融合:VTuberはリアルとバーチャルの境界をあいまいにします。小説ではこの特性を利用して、リアルとバーチャルを交差する独特のストーリーを展開できます。
- 多様なキャラクター設定:VTuberであれば現実の設定であっても多種多様なキャラクター設定を描けます。パーソナリティの独自性によって新鮮な物語の掛け合いを楽しめます。
- 新しい視点の創造:VTuberの特徴として、視聴者との対話を通じたコミュニティが挙げられます。これを小説に取り入れると視聴者視点という新たな視点が追加されます。ネット小説で感想のやり取りをするような、VTuberと視聴者の双方向の反応を楽しめるのが新鮮です。
以上より読者へ新鮮な体験が与えられる点から、VTuber原作の小説が流行したと推測されます。
VTuberをモデルとしたライトノベル作品
本項目ではVTuberをモデルとした中で、1巻がBOOK☆WALKERの読み放題対象の作品を詳しく取り上げています。
妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない
妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない(1)
posted with ヨメレバ
芦屋 六月/うらたあさお KADOKAWA 2020年11月10日
「爽坂くんは、私の王子様です……」
第一章より引用、爽坂=主人公のVネーム ひおり=主人公の妹
「そ、そうなのか……ひおりにとって爽坂は王子様なのか……」
友人にパパとなると頼まれて生まれたVTuberの主人公が、妹の友人に身バレしながらも熱狂的ファンの妹の夢を壊さないようにするコメディです。主人公こと庵原玲仁は冴えない陰キャと自嘲しており、中の人を映さないよう意識しています。妹から毛嫌いされていると感じている点、受験戦争から逃げた点が彼の自己評価の低さに拍車をかけているのでしょう。発売前のアクリルキーホルダーを持っていたことから疑いをかけられ、親友だと嘘を吐いてなあなあにしていました。
本作の世界観として、VTuberについて公に話せるほど広まっていません。一方でファンネームが付けられるくらい熱狂的な人もいます。ひおりもその中の一人であり、初手で数十人規模のオフ会に兄(本人の親友)を誘っています。特に重度なひおりに至っては直近一ヶ月で爽坂しか話していない状態です。
前半は身バレを恐れる少年のコメディ、後半は疎遠になっていた妹との距離感を取り戻すドラマ。VTuberというもう1つの人格を活用した作品となっていました。
好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい
好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい(1)
posted with ヨメレバ
久慈 マサムネ/Aちき KADOKAWA 2022年04月28日
『はいっ! これが初めての共同作業ですね!』
第六章 「これが初めての共同作業ですね!」より
コミュ障で二面性を持つオタク留学生エイヤ・ピッカライネンが、VTuberを通して『好き』を伝えようとするヒューマンドラマです。外では氷のエルフと言われるほどフィンランド人らしい陰気気質ですが、家では積極的にオタク活動を楽しんでいます。しかし、外見の良さからクラスメイトに性的に狙われて、外面の悪さから学校の裏掲示板で叩かれる。ヒロインの父親がオタク文化の反対過激派で、逃げるように日本にやってきていました。行き場のない中で、唯一趣味を認めてくれた主人公蒼井桜雅(通称:オーガ)に惹かれていきます。
エイヤが日本語のニュアンスを理解しておらず、コメディ要素のある前半部分には意味深な発言が散りばめられていました。また所々に謎のVTuber甘妻ガイアの動画コメントが差し込まれています。彼女を参考にしてエイヤに好きを広める場所を紹介しました。
蒼夜もいは登録者23名の零細VTuberです。主人公の名前が入っている、2人で作ったアバター名となっています。甘妻ガイアに紹介されてこれから盛り上がっていくところで物語は突然終わりを迎えました。
本作は典型的な出版後に部数が伸びず打ち切りになった作品です。しかし徐々に自分を認めていくエイヤとそれを支える桜雅の組み合わせは魅力的なものでした。
VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた
VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた(1)
posted with ヨメレバ
七斗 七/塩かずのこ KADOKAWA 2021年05月20日
「聖先輩、シオン先輩。ずっとずっと大好きでした。S〇Xを前提に結婚してください」
今の私は臨界どころか天元突破してるんですけどねー!!!
第6話ソロ配信2より
盛り上がらない配信をしていた元ブラック企業社員が、配信を切り忘れてストゼロに酔っている場面から伝説になったコメディです。彼女を採用したライブオンは彼女の特異性を見抜いていました。切り忘れとキャラ崩壊を謝る主人公心音淡雪ですが、ライブオンはキャラ崩壊をシナリオの内にとらえていました。吹っ切れた主人公は周囲の本性を覚醒させる、ライブオン屈指の戦術兵器へと進化していきます。
本作を一言でとらえると、性癖のるつぼです。同期だけでも下のような問題児揃いです。ここに原点にして頂点の1期生を始め10名を超えてきます。
- 淡雪のママかつ鼠径部に命を賭けるイラストレーター
- 耐久配信が大好きなドM候補
- 見た目ギャルの陰キャ声フェチ
他に大きな特徴として、小説投稿サイトで得たコメントやマシュマロが小説内に反映されている点でしょう。ハーメルンやカクヨムのものが次の話で出てくるのは、VTuberならではの双方向のやり取りを感じさせました。他作品と比べて小説投稿サイト出身である点、VTuberの強みを存分に出している点からVTuber小説界隈で最も刊行されています。
個性豊かなキャラクターを楽しみたい、とりあえず特殊な行動の数々を見て笑いたい人におすすめです。
VTuberのエンディング、買い取ります。
VTuberのエンディング、買い取ります。(1)
posted with ヨメレバ
朝依 しると/Tiv KADOKAWA 2023年01月20日
『そう、わたしというVTuberが生まれる記念日。カルゴさんが破滅する日でも、なこえるをお祝いする日でもありません。――新人VTuber『水闇ガーネット』がデビューする日です』
Case.3 -天使のはしご-より
人生を賭けるほど推していたVTuberが炎上で蒸発した。『VTuberのエンディング、買い取ります。』は炎上を促進するブログを運営するほど闇堕ちした主人公苅部業が荒羅斗カザンとして、誰かを探し求めるヒューマンドラマです。
本作は炎上によってVTuberを終わらせるという珍しい箇所に焦点を当てています。VTuberを辞めたいヒロインを登場させることで主人公に正義の役割を持たせた点、主人公の目的を最後まで隠しカタルシスを演出した点が見事でした。
VTuberへ思い入れの深い人、普通の人が人生を捧げて求めるものに憧れる人へおすすめのライトノベルです。
【VTuberのエンディング、買い取ります。 感想】Vの遺物を追い求め、Vを燃やす
人生を賭けるほど推していたVTuberが炎上で蒸発した。 朝依 しると/Tiv 『VTuberのエンディング、買い取ります。』は炎上を促進するブログを運営するほど闇堕ちし...
VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった
VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった(1)
posted with ヨメレバ
小路 燦/伍長 KADOKAWA 2022年06月01日
「切り抜きがもたらすのはバズか炎上か。この運否天賦が、私の一番好きなものです。では本日もまた一人前のメイドに……近づけた気は全くしませんが。恐らく加々宮エリンの大きな分岐点になったと思われます。そしてご主人様達に、溢れんばかりの愛と感謝を」
配信1『見習いメイドうさぎは大バズリの夢を見るか』
借金を返すために個人勢のVTuberとなったヒロインと、ファンかつマイクに意識を飛ばせる主人公が送るコメディです。ヒロインはVTuber界隈の作品では珍しく収益化ギリギリの状態からスタートします。新垣亜里紗は自分が萌える理想像(加々宮エリン)を3日間かけて創り、忠実に再現するよう心掛けていました。主人公はマイクの権限を持っており、彼女が借金取りに怯える始終を人気欲しさに放送してしまいます。
明かされたのはギャンブルに全てを賭ける破滅的な性格と、スパチャの分配を防ぐため個人勢であろうとする金への意地でした。それでも亜里紗がVTuberや視聴者を(金儲けの手段として)愛していることには変わりありません。
バイトとマイクの視点から彼女の傍に立って、双方向から加々宮エリンを支えています。VTuberの二面性を活かしたサポートと金への欲望に忠実な加々宮エリンが面白いライトノベルでした。
Vのガワの裏ガワ
金にしろ、企画書にしろ、マイクロビキニにしろ、これこそが海ヶ瀬なりの誠意、というやつなんだろうか? 勝手にモデルにして描いたのは、俺なのに。過失があるのだって、俺なのに。
「……私には、これくらいしか思いつかなかったの。どうしればアトリエ先生が仕事を請けてくれるか。それでいて、できるだけ私が納得できる選択肢は、なんなのか……」
【#2】神絵師を落とす方法
登録者10万人のVTuberになりたいヒロインAを、主人公たちがイラストやモデリングで助けていくヒューマンドラマです。
自称神絵師の主人公亜鳥千景が身バレして、海ヶ瀬果澪からVTuberのママになって欲しいと願われます。
身バレの原因は学内で仕事のデッサンをしていたという自爆です。同級生にデッサンのモデルになるよう頼むという彼の不審な行動はファンである果澪にとってはチャンスでした。自分を勝手にサキュバスのデッサンのモデルにしていた点と100万円を抱えて、『ガワ』を作れと要請します。
VTuber界隈の作品で珍しく、VTuberの制作プロセスに主軸が置かれています。キャラクターの製造工程の難しさは素人には分かりずらい要素で、コントで場を柔らかくしようと努力している姿が伝わってきました。
まとめ:リアルとバーチャルの2面性を活かして
本記事ではVTuberの説明を挟んだうえで、読み放題で1巻を読める作品6作について紹介していきました。
- 妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない……リアルとバーチャルの二面性を復縁のきっかけとして
- 好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい……現実と違った世界で本音を伝えるために
- VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた……読者との双方向のやり取りを取り込んでコメディへ
- VTuberのエンディング、買い取ります。……バーチャルだからこその一方的な終わりに抗議して
- VTuberのマイクに転身したら、推しが借金まみれのクズだった……意図的な放送事故と双方向によるサポートを
- Vのガワの裏ガワ
紹介した6作品は、それぞれ違った目的でVTuberの要素を活かしています。ポジティブな要素もネガティブな要素も、二面性に由来する新鮮な体験が大きいと考えています。
マンネリ化かつ縮小化が進むライトノベル業界ですが、VTuberは動画サイトだけでなく書籍業界でも新たな方向性を示す一要素になるのかもしれません。
コメント