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【あらすじと使い勝手】ダンガン文庫_セカンドムーン(試し読み)を読んで
新レーベルで独自スタートしたとき、最初にぶち当たる問題は小説の質と使い勝手です。
本記事では2024年1月末にスタートしたダンガン文庫について、処女作『セカンドムーン1 少女と掃除機のルンバ』の試し読みを通して小説の質および読み心地を確かめていきます。
結論として、小説は他レーベルと比較して独自性があり面白いと感じました。一方で読み心地には個人的な癖を含め3つの使いにくさを覚えました。
ライトノベル業界の衰退やダンガン文庫の詳細については下記事を見てください。
目次
『セカンドムーン1 少女と掃除機のルンバ』小説紹介
あらすじ
戦いの中で死んだはずの魔法戦士ヴァンクロウは……目を覚ますと掃除機となっていた! 周囲全てを知らないものに囲まれて混乱していた彼は、護送されていく少女を騒動からたすけた。その少女ーーシェヘラによって自身の復活の謎を追うことができたヴァンクロウは、彼女の自由を得るための戦いに協力していくこととなる。そしてそれは、この世界の変容と自身の過去、そして失われた未来に繋がっていくこととなるのだった。『鋼殻のレギオス』作者、雨木シュウスケが贈るマジックパンク&バトルアクション!開幕ーー!
セカンドムーン1 少女と掃除機のルンバ|BookBase
世界観:魂や魔術の要素が混じったSF
冒頭は魔術やワイバーンといったファンタジーな要素が現れています。一方で、宇宙に進出したコロニーや掃除ロボット、人類の不死化といった未来科学の要素もあり魔術と複雑に混ざっています。
急に掃除機が現実に干渉できる幻想体を作り、ヒロインの少女を取り込んで戦う。外で戦う半ば、少女が言語能を調整して声を届くように調整する。
子供はレアものに過ぎず、知識は基礎教養さえあればいくらでも博識になれる。少女の達観した雰囲気に理由付けされていました。
感想:最初数ページの印象と比べて面白い
最初に設定の比重が大きく、複雑に絡み合っている点が特徴でしょう。試し読みの部分(約40ページ)でようやく設定がまとまるのは、ここ10年の背景設定よりもキャラクター設定を重視する風潮に逆行しています。ネット小説や電子書籍が流行り、数パーセントの試し読みで読者の心をつかむ必要があるからです。しかし、ダンガン文庫は他社で出せないプロットを面白さ重視で認めると謳っています。第一作としてセカンドムーンは方向性を確かに示しているでしょう。
次に性格の対比です。主人公ヴァンクロウは電子機器を知らない過去の人物であり、魂を込めた魔術書から復元された存在です。過去に兵隊をやっていた経験から未来のある子供を守るという仁義が主の感情です。一方ヒロインのシェヘラは目のハイライトが消えかかっています。子供というレアものとして奴隷のような立場にあり、大きな目的を叶えるため心を繋いで思考を回している状態です。ヴァンクロウの突然の登場に少女は驚かず、むしろ活かす術を模索する姿が印象的でした。
設定で独自性を出している分、自然と2人が組むような性格設定を成していて序章の王道を選んできました。
設定の海にもまれただけの最初と比べて、読んでいくにつれて魅力が出てくる遅咲きの試し読み部分でした。
BookBaseの改善して欲しい読み心地
BookBaseはデジタル出版ツール Romancerで書かれており、Bibiという電子書籍リーダで読む仕組みです。なのでBookBaseに文句を言うのもお門違いなのですが……正直他社の専門リーダと比べて読みにくいです。
そう感じた理由を3つ紹介します。
5段階の文字サイズが調整しにくい
どこぞのサイトのように100以上の段階を設けて欲しいとは思えません。しかし、5段階が極端で最適な大きさに調整しにくい点が問題です。
拡大縮小機能も使いにくいため、スマホやタブレットの場合は特に困る点でした。試し読み版を読み切ったあたりで初期値に慣れたとはいえ、もう少し段階があると助かります。
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栞に名前などの判別要素が欲しい
BookBaseのリーダにも基本機能として栞が付いています。ページ数とパーセンテージだけが表示されるシンプルな形式です。もちろんクリックすれば栞のページに戻ることができます。
しかし、栞に他の要素がないというのも問題です。栞をメモ代わりに複数置けたとして、どれがどの要素を理由に登録したものか判断できません。色分けかできればメモか。何らかの手段で判別する方法を実装されると、メモの要素も兼ね備えられより便利になるでしょう。
中央をクリックする度に画面が切り替わる
他2つの要素と違って、これは個人的な都合です。私はブラウザで電子書籍を読むとき、中央部分をクリックしながら読んでいます。文字を読むスピードの調整だったり大切な所を探していたり、没頭しがちかつ手持無沙汰なときによく出るくせです。
BookBaseが使っている電子リーダでは、クリックする度に下のページ表記の部分が消えるため文字サイズが一々変わってしまいます。設定にページ機能の有無を格納するだけで良いので、対応してくれると個人的に助かります。
まとめ:作品の面白さは確かだけど、リーダを変える術が欲しい
本記事では2024年1月末にスタートしたダンガン文庫について、処女作『セカンドムーン1 少女と掃除機のルンバ』の試し読みを通して小説の質および読み心地を確かめていきます。
結論として、小説は他レーベルと比較して独自性があり面白いと感じました。試し読みの部分(約40ページ)でようやく設定がまとまるのは、ここ10年の背景設定よりもキャラクター設定を重視する風潮に逆行しています。一方で設定で独自性を出している分、自然と2人が組むような性格設定を成していて序章の王道を選んできました。
一方で読み心地には個人的な癖を含め3つの使いにくさを覚えました。特に文字サイズの調整機能は文章の読みにくさに直結するため改善を求めます。
以上より、作品の面白さは確かだけどリーダを変える術が欲しい、と判断しました。
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