この記事には広告が含まれます。
アニメ『ライアー・ライアー5話』の謎解きとキャラクター分析:負けてはならない決闘
ライトノベル出身のアニメ『ライアー・ライアー』を、補足しつつ感想を書いていくシリーズの5回目です。
前回は原作を忠実に再現しつつ、2か所の追加部分によってキャラクターの魅力が増していました。
秋月乃愛はどんな策略をもって篠原たちを追い詰めていくか。
姫路白雪の『勝ちを目指さないでください』にはどんな意味が込められているか。
このまま適切な編集で物語が進んでいくことを願っています。
前回の感想記事
目次
『ライアー・ライアー』のあらすじ
学生同士がランクを決めるゲームを繰り広げる学園島。篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させた。結果学園島史上最速で頂点に1人だけ君臨する7ツ星に成り上がった。
そんなものは全て嘘だ。大切な人に会うために外部からやってきただけの一般人で、本当の星はたった1つしかない。しかし、学園島に残るためには嘘でもトップにいなければならない。姫路白雪のイカサマも、偽物だった彩園寺更紗との共犯関係だって活用する。
じゃあ、世界を騙す嘘を始めよう。
キャラクター紹介
- 篠原緋呂斗:英明学園2年の7つ星(偽)。ポーカーフェイスと機転で学力を補っている。
- 彩園寺更紗:桜花学園2年の6つ星。影武者で本名は朱羽莉奈。篠原に負けられると詰むので、パーカーを被ってまで篠原邸を訪れる。
- 姫路白雪:桜花学園⇒英明学園2年の4つ星。支援組織《カンパニー》のリーダーを務める。学校でもメイド姿は崩さない。
- 秋月乃愛:英明学園3年の6つ星で学園内最強候補。見た目と性格から”小悪魔”という通称を持つ。
- 加賀谷:《カンパニー》の電子機器担当。数々のイカサマアビリティを作って篠原を支援している。酔っ払い。
ライアー・ライアー5話「勝ち目と蒼い目」の展開と6つの補足
アニメで描写されていなかった背景、疑問視される展開を中心に補足していきます。
この項目内の挿絵は全て、©2023 久追遥希/KADOKAWA/ライアー・ライアー製作委員会のものを使用しています。また彩園寺更紗(朱羽莉奈)については、アニメ化する範囲で本物の彩園寺更紗は登場しないため、彩園寺表記で統一します。
《演習》不等辺三角関係
姫路が申請した不等辺三角関係はトランプの戦争を複雑化した《演習》です。
- 手札は互いに10枚で、ターンごとに1枚場に出していく
- 内訳は王1・女王1・王子1・騎士2or1・暗殺者2or1・平民3or5
- 勝敗関係は上図のようになっており、勝者が2枚を獲得札にする
- 引き分けの場合、次のターンの勝者がまとめて獲得札に加える
- 片方の手札が無くなった時点で終了し、残りの手札は獲得札に加える
- 終了時点で持ち点が多いプレイヤーが勝者となる
- 最初から場に1枚キャリーオーバーされており、合計21枚となっている(引き分け防止)
リアルタイムで覚えるにはこの時点で複雑なルールです。ここから平民の特殊能力が加わっていきます。
※姫路白雪の手札がSet A、篠原緋呂斗の手札がSet B
相手が平民か暗殺者を出したときにしか、特殊能力は発動しません。しかし、ゲームをひっくり返すほどのトンデモスキルがそろっています。【爆発的成長】は最大で10枚増やせ、【トロイの木馬】は相手の獲得札を半分奪えます。
姫路白雪が本気で勝つつもりならば、これらのカードを【簡易抽出】やアビリティで消してくることでしょう。篠原らも消されることを前提にして作戦を立てていました。
湯上り彩園寺
彩園寺家には20時の門限があります。篠原に呼ばれた時点で門限外だったため、泊っていくことになりました。
このシーンのどうでもいい変更として、25時半過ぎから23時過ぎへ変わっています。少しだけ健康的な生活になって安心しました。
寂しいから一緒に寝てあげる。彩園寺なりに篠原を気遣っているようにも聞こえます。
「……いつもはどうやって寝てるんだよ、お嬢様」
「そりゃもちろん、使用人が部屋を出てから大きなぬいぐ――こほん。あ、あたしは我慢強いのよ。今日はちょっと、MPが足りないだけだわ」
『第三章 ”小悪魔”の策略』より引用
本物は誘拐されたと嘘を吐き、彩園寺家の代表として振る舞い続けなければならない。味方がほとんどいない世界に放り込まれて、寂しいお嬢様なのでした。
アビリティカードの裏にあった出来事
《学園島》ではアビリティを買うこともできます。正規のものから非正規のものまで、専用の業者がいるほどです。彩園寺が渡したアビリティ《ピンチヒッター》は個人が作った珍しい部類に入ります。
この《ピンチヒッター》、アニメと原作では渡され方が全く違います。本来は2人きりでカップル専用の店まで行き、恋人のフリをしてまで手に入れた店主イチオシのアビリティなのです。原作2巻で1割ほど割かれたデート部分は丸々カットです。
原作の大まかな流れは下のtipsに記しておきました。まとめるとピンチヒッターのアビリティカードは姫路に贈られたものです。アビリティを活かすためには、姫路が使わなければなりません。
「つまり、平たく言えば”行われている最中の《決闘》を乗っ取れるアビリティ”ということですね。……確かにこれは凄いことですよご主人様。《カンパニー》にもアビリティ特化のメンバーはいますが、外から《決闘》に鑑賞できるアビリティを――それも違法ではなく合法の範囲内で――作り上げられた例はこれまで一つもありません。おすすめというのも頷けます」
『第二章 闘争と逃走』より引用
ピンチヒッターは《決闘》の外から使用することができます。進行中の《決闘》の参加者1人と交代できるアビリティです。ただし、交代するプレイヤーの許可が必要となります。
イカサマに通じている姫路が褒めるほどの珍しさです。一般流通もしていないので奇襲性能にも優れています。とはいえ使い道を探すとなると難しい性能です。
負けることで真価を発揮するアビリティでもあれば話は変わりますが、合法アビリティにはそのようなものはありません。
- 彩園寺、ブロンドの髪と清楚なワンピース姿に変装
- 篠原、それでも一瞬で正体に気付く
- 加賀谷、万が一に備えて駆り出される
- 篠原、リリィ(彩園寺)と恋人繋ぎを求められる
- リリィ、恋人繋ぎのつもりがただの握手
- カップル、休日に3時間以上店内に滞在
- 姫路、ご主人様と莉奈の両方へ嫉妬
- 篠原・彩園寺から姫路へのプレゼント
デートイベント、ピンチヒッターの説明、姫路への受け渡し。ここまでをアニメは全て省いています。伏線を消した分を軌道修正できるのか、いささか心配です。
負けてはならない《演習》
人気を払った放課後の特別棟。ルートも選んだのにもかかわらず、秋月乃愛は観客としてきました。
観客1名は放っておいて始まった不等辺三角関係。姫路の手は予想通りにみえて、想定外のスタートを切りました。相性差の詰めの甘さ、大逆転が可能な【トロイの木馬】の放置、単体最強の【無敗の勇者】の使用。違和感を覚えた篠原は手掛かりを探します。
《演習》不等辺三角関係については原作に忠実です。篠原は後出しじゃんけんで負けを選択していき、姫路の獲得札は溜まっていきます。
嘘で彩られた作品の中で、互いに信頼しているからこその行為。2人の答えは、協力しないと成し得ない『互いに負けない』選択肢でした。
アビリティ《密偵》
アニメでもきちんと説明されていましたが、密偵は凶悪な効果を持った違法アビリティです。端末を介する情報を抜き取るだけでなく、発信機として盗聴・盗撮もできてしまいます。
秋月が使った密偵にはもう2つ効果があります。
1つは破壊衝動という違法アビリティとリンクしている点です。起動すれば、星獲得システムから抹消=退学させる極悪なアビリティです。違法アビリティですが、秋月は黒幕の手を借りて実装しました。
もう1つは所持者が敗北したときに発生する効果です。強制的に密偵を勝者へ受け渡します。秋月乃愛のプランAは、篠原に勝たせ、密偵を篠原の端末に仕込むことでした。
全てが終わる前に、秋月乃愛は次のプランへ駒を進めます。
秋月乃愛の本音とプランB
秋月乃愛は英明学園で屈指の実力者です。3人しかいない6つ星の一角です。年度末までは、次の英明学園を引っ張っていく人材として期待されていました。
7つ星がいきなり生まれて、首席の人気をかっさらっていきました。学内アンケートで首席を取る生徒の予想は次のようになっています。
- 篠原緋呂斗/7つ星:91.3%
- 秋月乃愛/6つ星:4.1%
- 榎本進司/6つ星:2.3%
1ヶ月足らずで大半のシェアを奪われてしまいました。戦ってみたい相手としても選ばれていません。努力が泡となった少女は、黒幕に魂を売りました。
堂々と違法アビリティを使ってでも《決闘》に勝つ。秋月乃愛のたがはもう外れていました。
まとめ:どうしてデートを消したのか
5話の流れや補足点は次のようになっています。
- 表面的に引き分けの可能性を消した《演習》
- 彩園寺は寂しがり屋
- 彩園寺とのデートイベントが全てカット
- 姫路へ渡すはずのアビリティ《ピンチヒッター》をベッド越しに受け取る
- 《ピンチヒッター》は対象の代わりに負けることができる
- 『互いに負けない』選択肢を取れる信頼性
- 《密偵》は勝者に自動的に受け渡される
- 秋月乃愛はもう引き下がれない
この時点で秋月乃愛の末路を決するのに十分な情報が、原作では提供されています。それも原作1巻で用いたようなペテンではなく、協力者と探し出したアビリティによってです。
誰と組むべきなのか。原作2巻は協力者の重要性を教えてくれました。
未だに《ピンチヒッター》の行方が出てないこと、作画が徐々に乱れている雰囲気が心配です。それでも原作の面白さを魅せるため、次回以降も原作片手に補足していきます。
アニメ『ライアー・ライアー6話』の謎解きとキャラクター分析:イカサマvs違法
ライトノベル出身のアニメ『ライアー・ライアー』を、補足しつつ感想を書いていくシリーズの6回目です。 アニメ第6話「宝と闇」は、協力者を選ぶ重要性を教えてくれる...
コメント