【デート・ア・ライブ_二次創作 紹介】愛する人の存在を示したくて~『死に芸精霊のデート・ア・ライブ』

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ふぁもにか作「死に芸精霊のデート・ア・ライブ」の二部「霜月コントラスト」は生きる意味を失った少女が全てを騙り、周りの手も借り価値を信じられるようになるまでの物語です。少女は自分自身にまで嘘を吐き、死んだ彼女の代わりとして世界に価値を示そうとしました。

一番大切な軸は変わらなくとも、それだけに固執する必要はない。2人の少女の物語からそう感じました。

第一部完結時点の感想記事
https://suzustory.com/2018/06/27/nizi-25/
注意事項:第一部と比較して明らかに残酷な描写が増加しています
目次

小説情報

小説データ

URL:https://syosetu.org/novel/150031/
作者:ふぁもにか
警告タグ:R-15, 残酷な描写
話数(2022/8/12):52話 291,772文字
UA(2022/8/12):87,942

あらすじ

段々とクリスマスの時期が近づく12月上旬。

 五河士道は、ラタトスク機関が今まで一切存在を認識できなかった精霊の存在を知る。

 ほんの2か月前に新人類教団という名の新興宗教を興し、天使の力で信者を次々増やすその精霊は、己を『霜月砂名』と名乗っていた。

 新興宗教の教祖に君臨する砂名は果たして、3年前に霜月志穂が殺してしまった張本人なのか、偽物なのか。真偽を確かめるため、精霊の砂名と接触し封印するために教団の集会に潜入した士道と志穂だったが……。

「さぁ、今日も楽しい世界征服を始めようか」

 砂名はとてつもない野心を抱えているようで――。

主要登場人物

霜月 志穂

人の生死を操る精霊〈垓瞳死神アズラエル〉の力を得た元人間。第一部にて封印され、士道たちの後輩として過ごしている。クラスメイトの豹変とかつて殺してしまった女性『霜月砂名』の噂を調べるため、教団に潜入する。

五河 士道

原作主人公。好感度の高い精霊とキスすることで力を封印できる高校2年生。12巻直後に移っているため攻略人数が7人(+志穂)に増えた。志穂の記憶を通して砂名のことを知っており、志穂の調査に同行する。

この少し前に精霊の力によって暴走していた。

霜月 砂名

物語開始時点で故人。大学生のとき帰るあてのなかった志穂を拾い、一緒に過ごすことでメンタルの回復を務めていた。漫画をよく読み、趣味は志穂たちに受け継がれている

約3年前志穂の顕現時の影響で死亡……

したはずが、今になって新人類教団を設立。世界征服を掲げている。

霜月 夢月

砂名の妹。死後3年経った後も毎日砂名のお墓に通っている姉想いの高校生

新砂名のことは知らない様子であった。

原作:デート・ア・ライブ

精霊と呼ばれる謎の生命体によって大災害が起こるようになった世界。五河士道には、好感度の高い精霊とキスすることで封印することができる能力を持っていた。1人の少女を助けるために五河士道がデートする物語。

原作に登場する精霊にはいずれも生命の樹(ユダヤ教)の守護天使の名前を冠している。なお志穂の〈垓瞳死神アズラエル〉はイスラム教における死を司る天使、○○の〈夢追咎人レミエル〉はユダヤ教における幻想を支配する天使を指している。

ストーリーPickup

以下、ネタバレ注意です。

守るための嘘

砂名さんは現時点で既に完成された人間性をしている。だけど、これから先も砂名さんが変わらずにいてくれるとは限らない。いつ、俺が愛した砂名さんが悪い方向に変わってしまうかわかったものじゃない。俺は、怖かった。怖くて仕方がなかった。いつまでも変わらない、最高の砂名さんのままでいてほしかった。だからこそ俺は、砂名さんが最高である内に、砂名さんを殺したんだ。

少女を守るためならば命を賭ける、男士道。なぜかカルト宗教の教祖として拷問ショーを開いていた砂名へ犯人として誘拐され、殺害理由を問われたときにはアドリブで上のように供述しました。

全て砂名の記憶がないことを逆手に取った噓八百です。士道は志穂の記録でしか彼女を知らず、ストーカー気質でもありません。周囲の問題児(精霊や職員)たちからの知識や経験がふんだんに込まれていました。

以前、別の感想記事で「人を救うための嘘はあるのか」という問いかけをしました。後に記憶を取り戻すためにデートすることを含め、決して吐かれる側の不利益にさせないことで成り立つのかと結論付けました。

今と昔の砂名のズレ

3年前志穂の事故によって亡くなった砂名は、日常を謳歌しているサブカル好きの大学生でした。その後の志穂の性格は彼女に大きく影響されています。一方、新人類教団を率いる砂名は本気で世界征服を企て、障害となる者の拷問も躊躇わない女性でした。

果たして記憶を失っただけでこうまで変わるのでしょうか。

きっかけは3か月前でした。「何者にかに殺された」という記憶と謎の力だけ持って復活しました。なぜ居場所を奪われなければいけなかったのか、記憶に残って欲しかった。喪失感が復讐へ駆り立てました。

この時点ではそれっぽい話。しかし、結末まで読んでから振り返ると印象が変わってきます。

隣にいた人がいなくなったとき、人は生きるため過去から目を離そうとします。お墓や仏壇に跡を残しても、いつかは祈ることすらなくなるでしょう。ただ、少女は忘却を拒絶しました。謎の死を遂げた一番偉大な人が、世界の記憶に残り続けることを祈っていました。二千年近く人の記録に残り続けた宗教人に倣い、教祖として世界に価値を示す策を思いつきました。

暴走した彼女は簡単には止められそうにありませんでしたが、幸いなことに士道たちは問題児の心を整えることに長けていました。

あらゆるものが嫌いで

以下、改めて終盤のネタバレ注意です。

少女、霜月夢唯は世界の全てを嫌っていました。そこに理由はなく、自分が異常だと勘づいていました。独り見てくれていた姉砂名に告白することができ、彼女が唯一人だけの拠り所でした。

夢唯は負の方面の発想力に富み過ぎていたのだと思われます。霜月を「シモ付き」と解釈してみたり、桜の花弁を視界の障害物だと思ってしまったり、接する人の問題点しか感じなかったり。彼女を救うのに必要なのは曲解してでも良い方向に見方を変えられるアドリブの持ち主でした。

苗字を「霜+肉月=霜降り肉」に置き換えてみる、名前の漢字が嫌いならば「ムイムイ」とカタカナであだ名を付けてみる。

霜月砂名はその点に秀でていました。何も考えてなさそうに見えるくらい、世界を綺麗に捉えることができていました。

その後、唯一の存在価値はあっけなく失われ、唯一の夢によって現世に再誕することになります。

「……この命は、すべてお姉ちゃんのために」

まとめ:夢に過ぎないとしても

「……はぁ、そんなくだらないことで警報を使わないでほしいのです。ああもう、仕方ないです。信じてあげるですから、そのわざとらしい涙の演技をやめるですよ。みっともない」

この作品はハッピーエンドで終わる物語です。闘争はプールサイドに留まり、被害は何もかも隠滅されました。夢のような状態で、ふと振り返ったら忘れてしまっているのかもしれません。

それでも、砂名の未練であったと思われる志穂と夢唯、2人の妹同士の繋がりができたことはまぎれのない実績だと考えています。

ふぁもにか作「死に芸精霊のデート・ア・ライブ」の二部「霜月コントラスト」は生きる意味を失った少女が全てを騙り、周りの手も借り価値を信じられるようになるまでの物語でした。少女は自分自身にまで嘘を吐き、死んだ彼女の代わりとして世界に価値を示そうとしました。

一番大切な軸は変わらなくとも、それだけに固執する必要はない。2人の少女の物語からそう感じました。

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