【東方Project二次創作紹介】魔理沙のはじめての文通

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本記事はふーてんもどき様作「東方千年探 ~魔理沙のはじめての文通~」の紹介記事です。千年の時を越えた文通交換によって、手紙を待っているときの感情、自分が何を為したいのかを知っていきます。知らないが故の失敗と成長を見たい方、普通の少女が足掻いて成し遂げる姿を見たい方におすすめです。

目次

小説情報

小説データ

URL:https://syosetu.org/novel/229781/
作者:ふーてんもどき
警告タグ:オリ主(追加)
話数(2021/11/29):30話、215,220文字
UA(2021/11/29):13,892

あらすじ

霧雨魔理沙は無縁塚でメッセージボトルを拾った。海から山へ、未来から過去へメッセージは流れ着いた。魔理沙は冗談のつもりで返信を書き、無縁塚にボトルを返す。数日後、中身が別のものに変わっていた。千年後から辿り着いた言葉を交わすうち、やりたいことが芽生えていく。

結ばれた縁が飽き性な家出娘の日常を色鮮やかに変えていく。

主要登場人物

※作者も述べていますが、原作で記されていない部分が多く独自解釈が含まれています。

霧雨魔理沙

本作の主人公兼語り部の少女(作者推定14~16歳)。5年前に家出をして、魔法の森で一人暮らしをしている。大の蒐集家で家の中はガラクタで埋まっている。家族から月一で手紙が送られてくるが、既読無視で棚の奥にしまわれている。

千年後からの文通をきっかけに物語は進んでいく。

八柳誠四郎

コールドスリープで一人生き延びてしまった青年。灰の空に墨の海のそばで暮らしており、他の生存者を探してあらゆる手段でメッセージを送っていた。その中の1つがメッセージボトルで、奇妙な縁を通して千年前の魔理沙に行き着いた。

本作で唯一、作者が生み出したキャラクターである。

森近霖之助

古道具屋「香霖堂」の店主。かつて霧雨父に師事していた。見た目は若い男性だが、人間と妖怪のハーフで霧雨父より年上。無縁塚にもよく足を運んでおり、黒歴史の公開を危惧した魔理沙に突撃される。

その後も、ミニ八卦炉の改造、ガラス瓶の鑑定などを行っている。

パチュリー・ノーレッジ

紅魔館の図書館に引きこもっている魔法使いの先輩(100歳以上)。相変わらず本は盗難されている。

本作では魔理沙に、魔法の原理の教育、ミニ八卦炉の改良の協力、お仕事の依頼などをしている。

風見幽香

一面ひまわりが咲き誇る「太陽の畑」に住む種族不明の妖怪。幼いころ魔理沙を妖怪から助け、その後もちょくちょく親交がある。魔理沙の必殺技「マスタースパーク」の元ネタでもあり、魔理沙にとっての憧れである。

本作ではひまわりの花弁(押し花用)の供給、相談役などに徹した。

霧雨一家

父親、母親、兄、妹(魔理沙)の4人家族。原作では父親の存在しか明記されていない。

父親は魔理沙が魔法を習うことに反対している。裏に魔理沙が平穏に嫁になることを望んでおり、家出後も仕送りを文屋経由で送り続けていた。(しかし、魔理沙には全く手を付けられていない)愛煙家だったが、結婚する際に断煙した。

母親は昔から心肺が弱い。返信がないながらも毎月初日に魔理沙に手紙を送り続けた。魔理沙を応援しており、魔法を習い続けることを認めている。

兄は父親から霧雨商店を継いだ。魔理沙と年が離れており、昔からものをあげていた。妹のことを心配して、母親の手紙に書き加えている。

用語集

無縁塚

弔う縁者のいない死者のための墓のこと。幻想郷の場合、結界の隙間を通ってきた「外の世界のもの」が落ちる場所。大半がガラクタで危険な場所なため、好んで来るのは蒐集しゅうしゅう家くらいである。

ガラス瓶

何かを詰めて長期保存することを目的としたガラス製の容器。つまり、何の変哲もないガラス瓶である。不思議な縁を通して千年の時を渡って手紙を届ける。

ミニ八卦炉

 希少なヒヒイロカネをふんだんに使った魔道具で、あらゆるエネルギーの変換を可能にする。魔理沙が家出したとき霖之助がプレゼントした一品で、山を吹き飛ばす火力からとろ火まで火力調節が可能な便利なアイテム。

 本作ではついでで付けられた空気清浄機機能にも出番がある。

間欠泉センター

地底で間欠泉を管理するセンター。とある事件をきっかけに、核融合発電の研究・管理のために建てられた。技術顧問にパチュリー、研究員に河童が携わっている。

放射線についても詳しく、願いを叶えたい魔理沙が情報収集もかねて働くことになる。

原作:東方Project

忘れ去られた存在が集まった場所、幻想郷にて繰り広げられる日常と異変を描いた作品である。Windows版東方Projectの第一作「東方紅魔郷」は2002年に弾幕シューティングゲームとして販売された。

神主(原作製作者)が二次創作を黙認しており、ゆっくり動画の目印やMMD、アレンジ楽曲など二次創作の規模が大きい作品ともいえる。明らかとなっていない情報も多く、二次創作者が独自解釈をふんだんに盛り込めるのも特徴で、その結果原作になかった設定が当然のように流行ることもある。

近年アプリゲームとして、公式二次創作がソーシャルゲーム業界にも進出した。

ストーリーPickup

以下、ネタバレ注意です。※イラストはイメージです。

千年ずれたメッセージ

未知を知るきっかけは、千年離れた先からの手紙でした。魔理沙にとっては人工栄養食(スナックバー)や流線型の車といった未知の技術を、誠四郎にとってはひまわりやキノコといった未知の自然を知らず興味を持っていました。

魔理沙は誠四郎にできるだけ大きな花(ひまわり)を見せたいと幽香のもとに足を運び、戦いの描写を浮かれ気分で報告しています。描写されていませんが、誠四郎も貴重な物資から興味を持ってもらえそうなものを選んでいたのでしょう。

孤独に暮らしている中で新たなものに興味を持ち、明日を生きる希望を得られた二人。特に魔理沙にとっては、行き詰ったテーマ探しだけでなく連絡を送りあうことに大きな意味がありました。

滅んだ世界

誠四郎は未来の情景を希望的に映るように送っていました。魔理沙も薄々感づいていながらも、敢えて触れずに幻想郷の自然豊かさを教えていました。薄氷の嘘は縁を伝って時を渡った幻想郷の管理者によって崩れ去りました。

西暦3000年は生命が生きるには過酷すぎる環境でした。スモッグによって空は灰色に淀み、海は黒色に染まった無機質な色彩。有害物質と強力な放射線によって防護服なしではひとたまりもなく、四六時中身にまとわなくてはなりません。百年以上のコールドスリープの後、独りで生きてきた誠四郎の命も無くなりかけていました。

「私が、私の魔法で、あいつを必ず救ってやる。そんで誰にも文句は言わせない!」(15話より引用)

冒頭でやりたいことを失っていた魔理沙が、やりたいことを見つけた瞬間でした。一介の少女が世界を救う、無謀な挑戦だと分かっていても彼女は進むことを選びました。この後、手紙の内容も自然の素晴らしさから研究の進展に移り変わっていきます。

しかし、難解な挑戦だけあり糸口すら見つからず日々は流れていきます。彼を救う鍵は、頼まれごとの日雇いバイトと御守りのミニ八卦炉にありました。

届いて欲しい思い

ミニ八卦炉は放射線も吸収してエネルギー砲に変換することができました。また、空気清浄機能によって有害物質を取り除くことも期待できます。一筋の光明が見え、魔理沙の研究もより一層念が入っていきました。

しかし、朗報もあれば訃報もあります。死期を悟った誠四郎が連絡する気をなくし、縁が途絶えたのです。僅かな手掛かりを求め続けた結果、魔理沙は心の体調を崩してしまいます。最終的に行ってきたことが無駄だったと慟哭するまでに至ってしまいます。

さらに、追い打ちをかけるように母親からの連絡も途絶します。実際は火事で倒れたからですが、知らない魔理沙にとってはそれも自分の不甲斐なさが理由だと自嘲します。

復活したきっかけは、手癖の悪さで盗ってきた新聞でした。理由を知ったとたん周りを見ていなかったこと、自分だけで解決しようとしすぎていたことに気づき、魔理沙は5年間離れていた実家へ急行しました。やり切りたいことを母親に報告するために……

まとめ:貫いたゆえの結末

「ここで行かなきゃ私は後悔する。一度、深いとこまで関わっちまったんだ。とことんまでやらなきゃ気が済まないんだよ。私は私のために、未来がどんなもんかを、誠四郎が生きてきた世界がどうなっているのかをこの目で確かめたい」

誠四郎を助けられないと受け入れた魔理沙。それでも、未来に行くことを選択します。先に進む足掛けにするため、そして青空を見せるため。皆からの応援とお助けアイテムを得て、彼女は時を渡りました。

本作は魔理沙にとっては挫折と成長の物語です。誠四郎の命を救うことも、犠牲なく青空を見せることも叶いませんでした。でもやり遂げた結果、家族との仲を取り戻し、魔法で何をしたいかの方向性をつかむことはできました。

普通の少女の足掻く姿が見たい方、失敗の先にある成長を見たい方にすすめられる二次創作でした。

 


二次創作紹介のまとめです。

https://suzustory.com/2018/02/18/nizi-13/

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