次の世代へ受け継ぐ、1つの回答例

※本記事は下の記事の後編です。ただし、前編を読まなくても支障がでないように作っています。参考書籍に何が書いてあったのか、物語として読みたい方などは下記事からどうぞ。

「私は、居場所が欲しかった。だからマネージャーになったの。野球部のマネージャーになって、そこに居場所を作ろうと思ったんだ」 ...

型を作り、人を一時的にはめ込むことによって、効率の良い習得と自由への飛躍ができる。型を作ることによって成し得た組織の成長について、岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」では斎藤孝「天才がどんどん生まれてくる組織」が参考文献として挙げられています。

型があるからより短期で継承することができ、不死身の概念になることができる。白土三平の「サスケ」や音楽家の斎藤秀雄が例に挙げられていました。

『型にはめる』教育へ非難が集中して自由や個人が尊重されている現代だからこそ、型の役割と誤解を招きそうな点について紹介していきます。

先人の知恵を真似る

最初の一歩を踏み出すとき、誰の助けを借りずにできる人はごく少数です。基本的には先人が行ったことをできるようになってから、ようやく自分独自の流れを組み込めるようになっていきます。

これは開発者や研究者でも変わりません。研究成果をまとめるGoogle Scholarでも『巨人の肩の上に立つ』という言葉が引用されています。先人の積み重ねた発見やデータを継承する大切さを思い、かつての哲学者が記した発言です。

”真似をする”ことを恥ずかしいと思っている人もいるかもしれませんが、無から開拓されていることなんて滅多にありません。パソコンの規格、文章構造、料理のレシピといった引用先を書かないことすらありました。真似をすることは既にありふれた手法で、周りは些細なことを気にせずに使っています。

型にはめる育成

「型にはめる」とは特徴的なものを一般化、規格化することを指しています。

私たちは、生まれながら周囲に当てはめられた”国籍””障碍”などや、後天的に追加される”学歴””職業””経済状態”といった様々なレッテルを貼り付けられています。日頃レッテルに苦しめられているからこそ、レッテルに囚われない個々人を尊重する教育が重視されていました。一方で「型にはめる」教育は『個性が殺される』とか『教育者の怠慢』とか『弱みを重点的に見て強みを棄てる教育』だの散々な悪評を見かけます。

しかし、欠点を知ってもなお「型にはめる」教育は必要でしょう。教わる側に最初の一歩を踏み出してもらう際、最も効率の良い手段だからです。教わった瞬間、生徒はこれが何を意味しているのかを知りません。自分で使って初めて型の意味や大切さを知ることになります。

『1+1=2』という10進数の足し算を例にします。このような文字の定義においては、理由を知る必要は殆どありません。理由を尋ねるより、式という型を利用してどのように発展してさせるのかが重要になってきます。

型を壊すという本当の意味

型を壊すといっても元となる型を知っているか否かで意味が大きく変わります。

型を調べずに壊した型は大概が2つに分かれます。1つがとっくに周囲が知って利用していた既知、もう1つが地雷原のように使うために必要な労力が多く割に合わない無知の部分です。投資で万馬券を買うような奇跡を起こすか、長くの苦行を耐えられるような人にしかお勧めできない手法といえます。成功率が低いから成功者がメディア映えしているだけなのです。

一方で型を知っていて壊す手法は、上と比べて現実的であり、多くの成功者が実践している手法といえます。一般的に型に定められた相手は決まった動きをしています。実践するときに教科書通りの行動しか取れない人がどれだけ役立つでしょうか。ゲームの弱いコンピュータ相手ならば快勝できても、対面して上手くいくとは限りません。だから、型の上で時勢に応じた新たな動きを作ることが求められます。

型はあくまでも土台に過ぎません。しかし、土台であるから上で羽ばたくには安定したものが必要になるのです。

型を作るために

では、型を作るためには何が必要なのでしょうか。何故受け継ぎたいのか、Whyの観点を定めることも1つの回答例になりますが、ここでは岩崎夏美なりの回答例を紹介します。

彼らの回答は変化を見つめることでした。目的としている市場は人の想像よりも早く回っています。終身雇用、暴力による教育、天皇第一主義、長年に渡る同品種の大量生産……数十年前のあたりまえはもはや非常識になりつつあります。ならば、時代が移ったことによって需要も変わっているはずです。最初に変化を掴み、今何が欠けているかを探しました。

不満点を解決する、次に来ると考えられるものを見出すのが第2段階です。第2段階で見つかったならば、自分だけができる主観的な状況から誰にでもできる客観的な条件に落とし込むことが求められます。おそらく素直に最後まで行けることは稀でしょう。何かが立ちはだかったときには、1回立ち止まってノートに記録しておくことをお勧めします。今使わないと思っても次に見る人にとって意味がないとは限りませんから。

まとめ:次世代へのパス

2回に渡って岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」を取り上げてきました。また、後編では一部を抜き出して型の意味と引き継ぐための準備について書いています。

  • 最初の一歩を踏み出すため、先人の知恵を借りる
  • 自由に動ける土台をつくるため、一度型を受け入れる
  • 型に甘えて思考を止めないように、型の上で羽ばたく
  • 次の世代へ効率よく意義を伝えるため、新しい型を生み出す

本書では大きな望みを持てなかった夢が、小さな願いから野球部を再建していくところが一番の見どころだと感じました。前作で取り上げた人の負の部分に着目しない点、今作の夢が持つ1つへの執着心。マネージャーにとって必要な要素を起点として廃校寸前の野球部から甲子園へ進出する本シリーズは、運動部に所属していた人にとっては余計に夢物語に映るかもしれません。目標へ向かうマネージャーたちが見たい、マネージャーに必要なものを小難しい本を見ることなく知りたい、という人に薦められる作品でした。

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