失われた光と繋がる軌跡【ガルパン 二次創作紹介】

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作品にはいずれ終わりが来ます。二次創作の中には、作者によって閉じられた続きを書き足すものもあります。

本記事ではNarrenfreiheit作、「光ささぬ暗闇の底で」の紹介記事です。悪戯で視覚を失った少女の気持ちを引き継ぎたい少女の思いを描いた物語になっています。原作人物の扱いから賛否両論な小説ですが、原作のafter storyの1つとして紹介します。

記事の作成現在、ifストーリーを連載しており完結済みになっていませんが、今回は本筋の方のみを取り上げます。

目次

小説情報

小説データ

URL:https://syosetu.org/novel//110017/
作者:Narrenfreiheit(おそらく「自由な道化師」という意味)
警告タグ:R-15、ガールズラブ(+アンチヘイト、オリ主)
話数(2018/6/14):15話(本編)+17話(if)250,242文字
UA(2018/6/14):46,719

あらすじ

原作の翌年、黒森峰の隊長となった逸見エリカだったが、先代隊長と違い信頼が得られなかった。彼女を嫌った部員の「戦車内に火薬を仕掛ける」という犯行により、逸見エリカの視線は永遠に失われてしまう。

かつてライバルであった「西住みほ」に誘われて同居することに。彼女たちの優しさによって暗闇の中に彼女たちの光が灯されるが、光は徐々に逸見エリカの前から姿を消していった。

12年後が経った。盲目にも慣れてしまった。趣味になった本を借りるのも苦労しない。図書館で「みほ」と名乗る少女と出会ったことで、2人の運命は変化していく。

登場人物

逸見エリカ
本作の視点人物1。黒森峰の部長になったが部員の反抗により失明。自殺を企てるも失敗した。西住みほに誘われていっしょに暮らすことになる。

西住みほ
戦車道の優勝校、大洗女子学園の主将。「友達」として逸見エリカに暮らすことを提案した。

武部沙織
大洗女子学園3年、西住みほのチームの通信主。大洗から去っていくチームメイトを見送る。
12年後は結婚して、逸見エリカを残して自身も大洗から離れた。

西住まほ
黒森峰の元主将でみほの姉。卒業後も戦車道の道を進んでいる。
12年後のとある事件をきっかけにして引退する。

東美帆
12年後に出会った逸見エリカに一目ぼれした少女。エリカへの愛が重い。

原作:ガールズ&パンツァー

アクサス制作のオリジナルテレビアニメ。戦車の腕を競い合う『戦車道』という武道がたしなまれている日本を舞台にしています。

全国大会で優勝しなければ廃校となる。生徒会は、転校したての高校2年生『西住みほ』にすべてを託しました。人も戦車も足りないなか新時代の作戦と信頼を武器に彼女たちが戦っていきます。

本作の舞台は町おこしの成功例として有名です。大洗町は茨城県に実在する小さな町でした。作品中のモデルの再現率が高い点、大洗町が積極的にタイアップした点、地元民が観光業に慣れていた点から観光客は増えていきました。

ストーリーPickup

以下、ネタバレ注意です。

  • 逸見エリカ→エリカ
  • 西住まほ→まほ
  • 西住みほ→みほ
  • 武部沙織→沙織
  • 東美帆→美帆

この先は上のように省略して書いていきます。

出来心の反抗

菓子を格納庫で食べている、規律の違反をエリカが叱ったのが原因でした。彼女らは、練習試合の出場禁止の腹いせに炸薬を戦車に仕掛けます。軽い気持ちの行為がどれだけの代償を負わせるかを知らずに。

基本的に『戦車道』では、破壊した建築物に支援金を払い、人の被害が出ないことを前提にしています。故に外からの影響で中の人が怪我をしないよう、炸薬は調節されていました。彼女たちの犯行が原因でエリカは失明したのは間違いないでしょう。

作中でエリカは謝罪や慰謝料を拒否しています。しかし、内部装甲が破壊される量の炸薬を仕掛けたこと、名指しで狙った計画性の高さ、目的用途以外の炸薬の使用など、民事ではなく刑事裁判の領域です。こののちに両親が示談に納得したかわかりません。ただ日大アメフト部の危険タックル騒動(2018/5/6)の影響を考えると、彼女たちや高校がマスメディアからバッシングを受けることが予想されます。

見えない繋がり

失明してからしばらく経ってからも、エリカは自分を責めるばかりの生活を送っていました。ある日ライバルであるみほがエリカへ1つの”お願い”をするために病院を訪れます。負い目から来た感情だと即決するエリカでしたが、みほの「そのためなら私、黒森にだって戻ってもいい」(第2話より引用)という言葉に揺さぶられました。

みほたちには友達だからで助けられる関係がありました。大洗の戦車道を変えて全国を制覇しています。一方のエリカはまほを追うことに執着して、今ある黒森峰の戦車道を維持することだけを考えていました。維持しようとした結果、ほころびから瓦解していきます。かつてエリカが否定したみほの優しさが2人の明暗を分けました。2年前に差し出された手を、エリカはふたたび掴みます。

名前が同じという偶然

第4話から突然12年後に移ります。みほの失踪からメンバーは徐々に大洗を離れていきました。誰もいなくなっていたとしてもエリカはみほが帰ってくるのを待ち続けます。

2人にとって人生を変える出会いがありました。本を読もうと思った日、図書館の入口でエリカは美帆とぶつかります。美帆に聞かれて見えないことを告白すると、手助けをしたいと言われました。このときは慣れているからと断ると、「また今度」と残して帰っていきました。

美帆にとって戦車道は憧れで、エリカは理想の女性でした。性的にエリカを好む美帆と共に暮らしていくうち、エリカの心も安らいでいきました。みほの帰りを望んでいることは変わらずとも、学園艦に居続ける執着は薄れてゆきます。

出会ってから1月経ち新学期が近づいてきたころ、エリカは美帆に陸に行こうと誘われました。エリカは悩んだ末に12年ぶりに地に降りることを選択します。12年前にみほはエリカに同じように誘っています。当時は友達と楽しんでもらうことを選んでおり、みほの最期に立ち会っていません。今度は行く選択をしたことによって未来は変わるのか、本人たちの思いとは逆に心配になってくるシーンでした。

流儀を受け継ぐ覚悟

美帆を守ってエリカは自動車に轢かれました。愛するエリカがいなくなったことをきっかけに美帆は変わってしまいます。エスカレータで行ける強豪校の大洗ではなく、敢えて元強豪校の黒森峰に進みました。徹底的に規律を鍛え古典的な戦車道に拘っている姿勢は、エリカの無念を引き継ぐためのものでした。付けられたあだ名は『鬼の隊長』、劣化西住流(元々、まほの戦車道をエリカが引き継いだため)と言われてもエリカが間違っていないことを証明しようとします。

美帆の思いは強く目的や過程もはっきりしていました。しかし土台が勘違いだということを知りません。3歳のころ美帆は誰に助けられたのか、エリカの思い人が誰だったのか。これらを知ったとき、拠り所を失った美帆が何を選ぶのかが注目になります。

まとめ:片思いの軌跡

美帆のエリカに対する執着が凄まじいと感じた一作でした。墓前でエリカとみほのツーショット写真を破き、みほの部分を灰にする行為は相当常識から外れています。エリカが生きているときには恋心だったので、成長してからもエリカに対する思いは強まっていたようです。

この作品は、第一部でみほ、第二部でエリカがなくなる珍しい二次創作です。第三部で美帆も心を砕かれていることからも、人によって許容できないかもしれません。しかしいなくなる理由、いなくなってから残された者の気持ちは納得できるものでした。『人がいなくなった先に何が残るのか』という問いに困っている人におすすめの作品です。

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