【遊戯王Arc-V 二次創作】人形が少女へとなった1つの出会い

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うた野による「沢渡さんの取り巻き+1」の紹介記事となります。病気で学校に通えなかった少女が憑依し、かませ犬キャラとして知られる沢渡シンゴに心を奪われたコメディです。転生と憑依の違いから生まれる、体を奪った罪悪感や他の人格を許せない苛立ちがしっかりと描かれています。

平凡な実力の少女たちが何を願って戦うのか。少し変わった転生小説を読みたい人にオススメです。

小説情報

小説データ

URL:https://syosetu.org/novel/38507/

作者:うた野
警告タグ:オリ主、転生、憑依
話数(2018/3/12):39話、488,841文字
UA(2018/3/12):204,659

主要登場人物

久守詠歌

沢渡シンゴを敬愛する黒髪の少女。行動原理の多くが沢渡さんに依存しており、彼の有無で性格が変わる。

人形に由来するカテゴリである。【マドルチェ】と【シャドール】の混合デッキを扱う。

逢歌

融合次元版の詠歌、詠歌のことを私と呼んでいる。逢歌の体を奪った罪悪感を抱えているが、第二の人生を謳歌している詠歌を毛嫌いしている。

【霊獣】カテゴリを取り扱う。

本来の人格はいじめによって自殺した。

沢渡 シンゴ

ナルシストが強く入った男性で、詠歌が敬愛する主。原作の勝率は2割以下と異様に低く、本作中でも1勝であった。

小物臭が漂い、周囲から詠歌がどうして取り巻きになっているのか疑われている。自己中心的な部分はあるが、詠歌のことを気にしている。

【帝】【妖仙獣】【魔界劇団】と対戦相手のメタデッキを取り扱う。実力の高さと運の良さは確かだが、なぜか勝率には結びつかない不遇の人物。

ストーリーPICKUP

以下ネタバレ注意です。

方舟は人形へ

あるところに病に侵された少女がいました。4人を看取った後、彼女も孤独のまま亡くなります。自分の命を捨て去ろうとした少女がいました。代わりに生きてくれるならばと、4人の少女は体を差し出します。魂を方舟が運び、2重人格が生まれました。

本作は転生ではなく憑依を主軸とした二次創作です。2つの違いとして元の人格が存在することが挙げられます。

詠歌の元の人格は両親を交通事故で亡くしました。誰も気にしなかったタイミングで自殺を図りましたが、勝手に憑依して遊んでいる詠歌を嫌っています。詠歌の事故によって表に出た際には、彼女の痕跡を潰すように自分の周りを壊そうとしていました。

逢歌の元の人格は学校でいじめられていました。いなくなりたかった彼女は誰かが憑依した後も表に出てきません。逢歌にとってストレスの元となり、詠歌を嫌うきっかけになりました。

もしも出会いを通して「生きていたい」と思ったとき、どちらの人格を生かすべきなのでしょうか。

人形は少女へ変わる

かつての久守詠歌の記憶はありませんでした。かつて教えてもらった召喚方法を扱い、憧れていた女王様のように振舞います。でも榊遊勝のエンタメデュエルを見たことをきっかけに、作られた世界のモブであることを認識してしまいました。

詠歌による沢渡への第一印象は『偉そうで、傲慢で自分勝手な嫌な男』です。要人警護の顧客として出会った彼を、嫌々守ります。そして警護の度に無駄な努力を続ける彼を見続けました。

沢渡の意志を作り物にしたくない。初めて自分の意志で選び、沢渡に従うことを命題としました。

くすんでしまった少女は人形へ

赤馬零児の記憶処理。原作で平然と行われた犯罪で、覚悟とためらいの無さを視聴者に示したシーンでした。本作では、詠歌の人格を取り戻すきっかけとなってしまします。

彼女が最初に行ったことは沢渡シンゴの非難でした。最大の汚点として二度と近づかないように警告します。

本来の詠歌は沢渡の強みを見ず、憑依した詠歌は沢渡の弱みを無視して。対する沢渡も付き従ってくれる詠歌だけですべてを判断して。互いに本心をさらけ出すきっかけの無さが一時的な決別を招きました。

「間違った道に進むのを許せない」 沢渡は我儘に詠歌の感情を鑑みて、久守詠歌に決闘を申し込みました。沢渡にとって本作唯一の勝利となる闘いで、定められた物語から逸脱する彼の意志を感じるものとなっています。

2つの意志は1つの人格に

スタンダード次元のイベントが終わり、沢渡たちはランサーズとして別の次元に向かう。「生きていたい」と思う魂は2つあっても体は1つしかない。詠歌は次元の狭間で本来の詠歌と対面します。

どちらが生きるべきか。混ざったカテゴリのデッキは2つに分かれ、己の全てを賭けたカードゲームが幕を開けました。Unknownは身体を譲る覚悟を以て、本来の詠歌へ激励を送っています。沢渡によって人形から少女へなったように詠歌を導く。奇しくも沢渡さんの取り巻きらしい、自己中心的で彼女を思った最期でした。

「確かにあなたは自分で命を断ったのかもしれない。病室で生涯を終えた私のように、本来なら死に行く魂なのかもしれない! でもっ、私があなたの体を借りて作り上げたものは、出会えた人たちは! あなたが歩むかもしれなかった、あなたの未来なんだ! 一度欲しいと願ったなら、その我が儘を貫きなさい! 子供らしく駄々を捏ねろ! 泣いてしまいそうなら、笑って、その笑顔をいつか本当にして見せなさい!」

まとめ

うた野による「沢渡さんの取り巻き+1」の紹介記事となります。病気で学校に通えなかった少女が憑依し、かませ犬キャラとして知られる沢渡シンゴに心を奪われたコメディです。

最初は嫌っていた少年沢渡。彼の無駄な努力を見ているうちに惹かれ、いずれ付き従うようになりました。人形を少女にしてもらえたように1人の自殺志願者へ「生きたい」と思わせ、夢のように消えていきます。名もなき少女の意志は、物語の流れを変えずとも少年少女の心に残り続けるものでした。

少し変わった転生小説を読みたい人へオススメできる作品でした。

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