【デート・ア・ライブ 二次創作】無知故の勇気が少女を救う

もしも人類の脅威に対話できるとしたら、大抵の日とはその事実を知らない者に責任を押し付けるだろう。しかし危険性を知ったうえで、なお少女に近づく者がいたならば。この記事は、サッドライプ作「デート・ア・ライブ 士道リバーション」の紹介である。

世界を転移するときの空間震は施設を壊し、精霊固有の能力は人の命を容易に奪う。30年前から現れ始めた天災のような少女『精霊』に、世界はシェルターや迎撃軍といった対応策を講じてきた。

一方、秘密結社<ラタトスク>は対話で精霊を無力化することを考えた。原作は<ラタトスク>の司令、五河琴里に拉致された五河士道が精霊とデートしていく物語だ。

この二次創作では士道本来の優しさを強調して書かれていた。精霊がどんなものかも知らず、バックアップをしてくれる組織もない。それでも目の前の少女を救うために彼は手を差し出していく。「サッドライプ」のアナグラム(Despair→sadripe)と反対の甘々の展開が印象に残った。

作品情報

小説データ

URL:https://syosetu.org/novel/26618/

作者:サッドライプ
警告タグ:
話数(2018/3/6現在):53話、251,255文字
UA(2018/3/6時点):1,007,839

原作:デート・ア・ライブ

特殊災害指定生命体である精霊。それは少女の形をしていた。五河士道は秘密結社<ラタトクス>の空中艦<フラクシナス>に拉致される。義理の妹である五河琴里に命令され、士道は精霊をデートでデレさせて、キスで封印することになった。

橘公司によるライトノベルである。2011年3月から富士見ファンタジア文庫で、既刊17巻+アンコール7巻(2017年末時点)刊行されている。2013年、2014年春にアニメ化、2015年夏に映画化した。

本編のタイトルは「精霊+英単語」で構成されている。精霊の姓名に必ず数字が入っているのが特徴で、セフィロトの樹の守護天使とリンクしている。

あらすじ

中二病を患った少年、五河士道はひとりの女の子と出会う。七罪は裏を読もうとするが、それでも士道は純粋な気持ちでデートを頼む。とある冬、嫉妬に駆られた少女はクリスマスプレゼントを贈る。ただ私を愛してくれるように、美九の願いを士道はファン全員のおかげだと否定する。

3年の夏、記憶喪失の精霊が重傷で見つかった。士道たちは彼女を美九の家で保護することに。そんなとき、独特の言葉遣いの相方は……士道の中二病に合致した。偶然2つに分裂した彼女たちは自分を殺させるために争う。

五河琴里は五河士道を無知の一般人だと考えていた。しかし士道を拉致したとき、余計なものが4人付いてきた。これは原作と攻略順が違った一つの物語。

原作の封印順……五河→十香→四糸乃→(五河→)八舞→美九→七罪
本作の封印順……五河→七罪→美九→八舞→四糸乃→十香

作品概要・紹介

純粋な思いで君を守る

空間震で壊されて一年、天宮市はとっくに再開発されていた。僅か一夜で摩天楼すらも元通りにする復興部隊、そして平穏という享楽に耽る愚鈍性。中二の士道は壮大っぽいことを考えては楽しんでいた。

伸ばしたぼさぼさの髪、どこかおどおどした雰囲気の少女、七罪が青年とぶつかったところに士道は遭遇する。自分の体へのコンプレックから七罪は疑い深かった。この子を見捨てたくない、行きずりの少女へ抱いた決心ゆえに士道は七罪を何度もデートに誘う

「二人で、美容院に行ってみようかなって。」
「――――。ふ、ふんっ。それはつまり私の髪の毛がもさもさしてて鬱陶しい―――――、」
「そんな風にっ、お前が自分のこと悪く言うのをもう聴きたくないッ!!」


第4話「七罪ランデヴーズ・シャトルラン」より引用

七罪が自分を下げ続けるのに対し、初めて士道が怒ったシーンである。自在に変身できる災厄だからこそ、七罪は元の姿との反応の違いを知っていた。しかし士道が一緒にいたいと思ったのは元の姿の七罪だった。

士道が精霊のことを知らない、七罪が原作ほど捻じれていなかったからこそ成り立ったデートである。信頼していいのか、現実の友情・恋愛模様でも起こりうる初々しさが印象に残る章であった。

紹介のために変身前の七罪を掲載しておく。なお、このリンクはAmazonへと繋がっている。

ただ貴方に振り向いて欲しい

信じてもらおうとひたむきに突き進む前の章と違い、こちらは少女のために一つの願いを妨げる。歌手「宵待月乃」としての誇りを取り戻す物語となる。

ふとしたきっかけで、士道は宵待月乃(本名:誘宵美九)のコンサートに行くことになった。しかし彼女のコンサートは、偽のスキャンダルのせいで空席だらけ。仕打ちの恐れから、声の出し方すら忘れてしまっていた。

そんな美九の絶望の顔を見た士道は、美九へ頑張れと叫ぶ。コンサートに来ていたファンも応援に加わったことで、美九の歌声は復活した。原作のトラウマは祓われたのだ。

誘宵美九は復活のきっかけとなった人物、”五河士道”の名を心に刻む。彼がいなければファンも動いてくれなかった。そんな思いから五河士道への依存が深まっていった

しかし七罪も黙ってはいなかった。七罪(変身後)が士道に抱きついた光景を見せたことで、嫉妬と敗北感から部屋に閉じこもってしまった。だからこそ精霊の力を受け入れてしまい、士道を虜にすることを決意する

そんな予感―――――殆ど確信が、士道の足を蹴らせた。
舞台袖に掛け込み、そこから闇雲に走って出口を目指す。『あららー、だーりん照れ屋さんなので逃げちゃいましたー。みなさん協力して捕まえて欲しいですー』
『『『『『『『いいよーーっ!!』』』』』』』
『ありがとうございますー。乱暴なまねして怪我させちゃダメですよー。本当は私が行きたいんですけど手加減できなかったら怖いので行けないんですからぁ』


第8話「美九ヒュプノシス」より引用、『そんな予感』は『二度と帰ることができない予感』のこと

その結果が上の文章である。美九はメディアや民衆を歌で洗脳し、金と一流の舞台を手に入れた。さらに士道に特製の洗脳ソングとチケットを送り付ける。

士道に洗脳は効かなかったけれど、代わりに頭痛が発生する。それでも美九のためと我慢して聴いていた。美九の洗脳がわざとだと知った士道は裏切られたと感じ、会場から逃げ出した

唯一Despairの名前に相応しい話である。美九は士道に依存していても、今の士道の意思はどうでもいい。士道は美九のためと耐えていた結果、会場から逃亡する。洗脳された人々は己を放棄し士道を探す。七罪が無事でなければ誰もが損をした章であった。

原作で四糸乃や琴里が洗脳されていたように、美九の歌声は機械越しでも精霊相手に通用する。しかし七罪が”宵待月乃”の歌を聞いていなかった理由は単純明解。嫉妬と士道を傷つけた怒りからとことん嫌っていたからである。

進化し続けるあとがき欄

あとがき欄に何か書くとすると、次回予告や評価への感謝が多い。ただ、ときどきネタに走る筆者もいる。サッドライプはその一人だ。第一話のあとがきは次回予告と補足と普通だった。だが彼は……弾けた

13,14話、捨て子の士道と十香の馴れ初めを掌編で描く。鳶一やら実妹やら義妹が解放を願う一方、士道は十香にすがりつく。

21話では鳶一と十香の立場を入れ替え、士道の二番目の精霊を鳶一にしてみる。変態かつ絶滅天使しそうな鳶一なので、話の展開が難しく封印。

28話ではデュエルモンスターズの精霊とクロスオーバーする。相手を封殺するデッキを使用する精霊相手に、士道は相手を縛らないリスペクトデュエルで戦うことにまる。

このようにまえがきやあとがきで楽しませてくれる作者は珍しく、本作はメタ発言も含めた作品である

まとめ

七罪から攻略したときの変化と、無茶する士道が見られる本作。デート・ア・ライブ原作の二次創作作品と比べ、七罪や美九といった原作中盤組に焦点が当たった作品である。時折『さあ病気いくぞー。』と病気を自嘲すること、行間が広いことは気になる。しかし、原作を知らない人でも理解できる話の構成と描写は評価できる。

総じて、ネタに走ることを許容できるライトノベル好きにおすすめの作品であった。

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