【百合ラノベ 感想】週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~

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羽田宇佐 /U35『週に一度クラスメイトを買う話』は5,000円で買う買われる不思議な関係を持った2人が、徐々に友達以上の独自の関係を築いていくまでを描いた百合ライトノベルです。

ゲームをしたり何かを食べさせたりするような可愛らしい内容から、足裏を舐めたり血を舐めたりする少しインモラルな命令まで。

友達の少ない宮城は、不定期に5,000円でスクールカースト上位の仙台に命令する契約を続けていました。

どちらからも終わらせられたはずの、けれど宮城の寂しがりな性格と仙台の律儀な性格が重なり合って生まれた不思議な関係は少しずつ形を変えて続いていきます。

本作は少しインモラルな関係の百合小説が読みたい、真の友達?を求めた少女たちの軌跡が見たい人におすすめします。

目次

「週に一度クラスメイトを買う話」あらすじ

気まぐれな女子高生の日常は、少しずつ変化していく。

 彼女――宮城は変だ。週に一回五千円で、私に命令する権利を買う。一緒にゲームしたり、お菓子を食べさせたり、気分次第で危ない命令も時々。秘密を共有し始めてもう半年経つけれど、彼女は「私たちは友達じゃない」なんて言う。ねぇ宮城、これが友情でないのなら、私たちはどういう関係なの?

 あの人――仙台さんでなければいけない理由は、今も別にない。私のふとした思い付きに彼女が乗った、ただそれだけ。だから私は、どんな命令も拒まない彼女を今日も試す。……次の春、もし別のクラスになったとしても彼女はこの関係を続けてくれるだろうか。今は、それがちょっとだけ気がかりだ。

(C)Usa Haneda, U35 2023

主要登場人物

宮城志緒理

身長:157cm、誕生日:9/25

紺色の肩にかかるくらいの髪の少女。

自分のことをほとんど話そうとせず、少数の友達(舞香・亜美)と交流するタイプの女子高生。

父子家庭で父親が家にほとんど帰ってこないため、生活がずぼらになりお金の使い道も適当になっていった。

ふとしたきっかけから5,000円で仙台を買う取引を思いつく。

孤独でも意に返さないようなそぶりを見せているが、寒がりで寂しがり。

仙台葉月

身長:163cm、誕生日:8/23

茶髪のロングヘアの少女。

クラス内では目立つ方でモテる一方、家では優秀な姉と比較されて居場所がない。

人に合わせることが得意で、世渡り上手なタイプの女子高生。

制服を校則の範囲で着崩していい加減に見せているが、根は真面目。

「週に一度クラスメイトを買う話」ストーリーPickup

以下ネタバレが含まれます。

ネジ10本外れた少女

スクールカースト上位にいても、更に上の少女(羽美奈)の欲求に応じなければならない。

読みたくもない本を買い、観たくもないドラマを鑑賞しないとかんしゃくを起こすから。

とある日、華美すぎるファッション雑誌を渋々買おうとして、財布を忘れたところから2人の関係は始まりました。

「返す。おつりもまとめて五千円、学校で返すから」

「……じゃあ、五千円分働いて」

 返す、あげるの欧州があらぬ方向へ飛んでいき、私は思わず足を止めた。

「え? 働く?」

「とりあえず、私の家まで来て」

『第2話 宮城は今日も私に五千円を渡す』

何事もなかったように5,000円を店員に差し出し、返そうとしても受け取ってくれない。

問答を繰り返せばその分働いてと言い、誰も連れたことのない家に案内する。

こいつは断固としてお金を受け取らないと思い着いていくと、何故かエロ漫画の朗読をするように頼まれた。

仙台にとっても読者にとっても宮城は頭のネジが数本外れた動きをしていました

仙台が金銭に困っていない点から依存せずに済んでいるにもかかわらず、第一話の時点で半年以上この関係が成り立っている。

周期や時間は不透明で、内容も適当なもの、だけど1回5,000円は絶対。

友達相手やただの買収相手にはできない、形容しがたい関係が2人の中に成り立っていました

インモラルなボーダー

本作は百合ライトノベルの中でもインモラルな関係が特色となっています。

試し読みできる範囲で足の裏を舐めさせるという、初級者お断りな展開が繰り広げられていました。

この行動をする前の半年間は、(エロ)本を読むだとか宿題をしてくれといった命令でした。

しかし一度たがを外せば、人は突き進んでいってしまいます。

足の指を噛んでみたり、血を吸ってみたりと徐々に仙台としかできない命令に進展していき、表現しがたい謎の興奮を覚えるのでした。

宮城のインモラルな命令で共通しているのは、仙台の嫌な顔を見たいというものです。

ただ、宮城たちが覚える快感にはもっと相手の表情を見ていたいという、嗜虐的感情だけではないものが含まれていました。

嫌われるためのポップコーン

3年生になればクラスも違ってきて、関係性を変えざるを得なくなる。

友達ではない関係なのに情が移ってしまっていると感じた宮城は、突飛な方法で関係を引きはがそうとします。

ポップコーンと仙台が嫌いな炭酸を仙台にぶちまけたのです。

慰謝料として汚れたブラウスを彼女にあげて、これ以上来るきっかけを与えないように怒らせる手段でした。

しかし宮城の行動には甘さが目立ちます。

  • 寂しさから、素直に来なくていいという意思を伝えない
  • 取り返しがつくように、インモラルな関係に反してただの嫌がらせに留める
  • 律儀な性格を知っていながら、ブラウスを渡すという借りを作っている

仙台が忙しくなることが動機ですが、宮城は暗に関係を続けたいと思っていたのでしょう。

案の定後日仙台に呼び止められ、5,000円の関係はよりを戻しました。

塾の日には呼び出さないなど環境に適応させて、内容も体へのキスや(実質)添い寝といった過激なものになっていきます。

縮められない5センチ

 彼女は命令に逆らわない。五センチに満たない距離なんてあっという間に縮められるし、目は閉じられないなら閉じなくたっていい。

 顔を少し傾けて。

 ――本当に触れていいのか、自信がなくなる。

 キスをしたら仙台さんがこの部屋に来なくなってしまうかもなんてことが頭に浮かんで、彼女の肩を押した。

「ごめん。今日はもう帰って」

『第9話 仙台さんが気づいていたってかまわない』

唇を触ったり首筋を触ったりしてみるなど、3年生になって関係性は進みました。

セックスは絶対に嫌だ、最初の取り決めを破りかねないキスを仙台は受け入れています。

しかし、宮城には変化を受け止める勇気がありませんでした。

一方的に5,000円を渡して拒絶する姿勢には初々しさを感じます。

最終的に別日、宮城の命令と仙台の手ほどきによって新たな一歩を踏み出しました

「週に一度クラスメイトを買う話」まとめ:お金から始まった真なる関係

羽田宇佐 /U35『週に一度クラスメイトを買う話』は5,000円で買う買われる不思議な関係を持った2人が、徐々に友達以上の独自の関係を築いていくまでを描いた百合ライトノベルです。

どちらからも終わらせられたはずの、けれど宮城の寂しがりな性格と仙台の律儀な性格が重なり合って生まれた不思議な関係は少しずつ形を変えて続いていきます。

本作は少しインモラルな関係の百合小説が読みたい、真の友達?を求めた少女たちの軌跡が見たい人におすすめします。

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