リアル過ぎる中間管理職入門? 『チェイサーゲーム』感想

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松山洋 / 松島幸太朗による『チェイサーゲーム』は中間管理職に昇進した主人公が、世間や周りとのずれを知りながら成熟していく物語です。

知っているからできるリアルな仕事風景とエンターテイメントとしての分かりやすく過剰な描写。2つがしっかりと組み合わされることで、読みやすさを実現していました。

コラムだけでも面白いと思える作品で、ゲーム会社だけに問わず他の会社風景を知りたい方へオススメの漫画だと考えています。

読みどころ3選

  • ゲームに関わりたいではなくゲームに携わりたい想いの強さ
  • 中間管理職になって初めて気づく先任者の支え
  • 実在の会社勤めだからできる充実のコラム

 

目次

漫画情報

あらすじ

「おっ俺がシニアに昇進!?」

ゲーム開発会社サイバーコネクトツーの3Dアニメクリエイター。新堂龍也30歳。入社9年目にして、中間管理職のプレイングマネージャーに昇進を果たす。しかし、龍也を待ち受けていたのは、仕事報告を嘘つく年上の部下の上田や、やる気はあるが仕事の遅い新人社員の久井田、合理的に仕事を進めることしか考えない魚川といった、ひと癖もふた癖もあるメンバーばかり。試練続きの毎日ではあるが、ユーザーの笑顔のため日々ゲームを作り続ける!!

―「それでも俺は――ゲームの力を信じたい
だって俺は―― ゲームクリエイターだから」

https://booklive.jp/product/index/title_id/648829/vol_no/001より引用

主要人物

新堂龍也

入社して9年目(30歳)の3Dアニメクリエイター。先任者幸田の早期退職によってチームをまとめる管理職に昇進した。トラブルを繰り返すうちに成長していく。

高校時代から制作しているようにゲームへの想いは人一倍強く、世間のゲーム好きと一線を画している。

鷹城勇希

龍也の幼馴染でゲーム作りの親友。かつてサイバーコネクトツーに所属(2005~2010)していたが独立した。現在はスマホゲームで収益1300億を挙げる大企業ブレインテックのワンマントップとなっている。

過去と真意は彼が主人公となる第二部(3~4巻)で明かされる。

久井田みちる

キャラクター動作といった特殊効果ビジュアルエフェクトを担当する女性。専門学校に2年通った後に入社した21歳の新人。

頑張り屋だが相対的な技術に劣っている。2年後の1か月前に退職した。

上田和範

3Dキャラクターのモーションを担当する40歳の先輩社員。仕事量が追いついておらず、進捗管理に先任者も苦労していた。

魚川貴央

カットインされるムービー、シネマティックに携わる。23歳の新人だが、高校生の頃から独学でゲームを作っていた。

非常に高性能で入社前から数々の伝説を残した。原作者曰く「採用結果を出す前に入社後に手掛けるゲーム作品の心配をした男」 2年後はシニアになった。

穴井昭廣

龍也らが所属するアニメ班のトップ。技術を磨くため専門学校で教員をしながら、生徒の面接に同行していた。社長松山に出会ったことでサイバーコネクトツーへ入社する。

松山洋

サイバーコネクトツーの社長。ハイライトがなく眼光がとても強い。初登場の時点から念能力オーラをまとっているラスボス

会社HPの写真を見た限り、本物の社長=原作者は人間しています。

ストーリーPickup

サイバーコネクトツーとは

『.hack』や『ナルティメット』のシリーズを制作した、実在する福岡のゲーム会社です。

最近だと『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル R』(2022年9月)や『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』(2021年10月)に携わっています。

“もっと面白いものを”
“もっと斬新なものを”
“もっと楽しませるものを”


ごあいさつより引用

全工程を担当しているだけでなく、企画を出版社に持ち込むことで制作に取り組む企画提案型を全作品で取ってきたことが特長です。

技術以上に熱意を重要視している会社でした。

最初の洗礼

龍也へ課せられた最初の洗礼は納期遅れでした。常習犯の上田を見逃したこと、嘘を吐いて徹夜で完成したことにしたことを咎められます。

『自分の作業もやる』『部下のスケジュールも管理する』 『両方』やらなくっちゃあならないってのが『シニア』のつらいところだな


第二話 助けてと言えないクリエイターより

松山社長が龍也のあごを右手で持ち上げたシーンより。コラムによると、スタッフに向けて本当に発言したそうです。

この件以来、自分なりの引っ張っていくやり方を模索していくようになりました。

社長の発言の元ネタ……「任務は遂行する」「部下も守る」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「幹部」のつらいところだな(ブローノ・ブチャラティ、ジョジョの奇妙な冒険 第5部)

言わない優しさ

仕事に間に合いそうもない同僚(久井田)がいて、自分(魚川)ならば期限に間に合わせられると思ったとき、あなたはどうしますか?

4話はこれを問いてきました。

反省を活かして龍也は上司穴井に事前に相談しています。魚川に指摘されているように、また期限ギリギリになっていました。

最終的に有能な魚川は、メンツを守ること、仕上げること『両方』をやってのけます。無事に久井田が完成させている所を見て、彼は無言でデータをゴミ箱に落としました。

効率的にと口では言いながら、非効率的にチームのことを慮る姿勢に惹かれたシーンでした。

トラックに負けない想い

本作屈指の迷シーンは外伝にあります。

主人公の上司穴井はかつて、採用側の思いを知るために面接の同席を行っていました。偶然出会った松山社長の言葉と眼光の強さに惚れ、その日の内に退職届と履歴書を作り上げるのです。

穴井の想いは並大抵ではありませんでした。バイクで会社に向かう道中トラックに轢かれても止まりません。頭から血を流しながら、血が付いた履歴書を社長へ差し出しました。

意気に対し松山社長も驚くことなくオーラと人を殺せそうな笑顔で快諾しました。

想いの強さがキーワードとなっている、本作ならではのツッコミどころだと考えています。

オチ……穴井は入社する前に入院した

まとめ

松山洋 / 松島幸太朗による『チェイサーゲーム』は中間管理職に昇進した主人公が、世間や周りとのずれを知りながら成熟していく物語です。

知っているからできるリアルな仕事風景とエンターテイメントとしての分かりやすく過剰な描写。2つがしっかりと組み合わされることで、読みやすさを実現していました。

コラムだけでも面白いと思える作品で、ゲーム会社だけに問わず他の会社風景を知りたい方へ薦められる漫画だと考えています。

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