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勘違いに勘違いが重なって【ポケモン 二次創作】
I・Bによる「とあるプラズマ団員の日記」の紹介記事です。慈善企業と勘違いしてテロ組織に就職した24歳が、子どもたちとの旅を通して世界を揺るがす騒動に巻き込まれていくコメディ作品です。見事なまでの登場人物の勘違いが魅力となっていました。
勝手に勘違いされる無口系主人公が好きな人やコメディ系の勘違いが好きな人にオススメです。
目次
小説情報
小説データ
URL:https://syosetu.org/novel/6342/
作者:I・B
警告タグ:オリ主
話数(2022/10/27):17話 111,950文字
UA(2022/10/27):530,274
あらすじ
就職難民からようやくのところで脱却したナナシ・イル。その就職先は「プラズマ団」だった。その言動からゲーチスに過剰に評価され、イルはあれよあれよという間に昇進していく。そのせいで2人の英雄と出会い、世界を揺るがす異変に巻き込まれていく。
就職を機に付けた日記から、世間とちょっとずれた女性が彼らと関わっていく光景を見つめる物語。
主要登場人物
ナナシ・イル
血色の長い髪と翡翠の瞳の女性。24歳だが10歳前後に間違われるほど小柄な体型をしている。ブラックシティで生まれて、政経学部を卒業した。
面接に何度も落ちて就職難になっているとき、「プラズマ団」の広告を発見。社長ゲーチスに認められたことで念願の入社を果たした。
現在は任務として、子供たちに混ざってジムを攻略している。
トウヤ
カノコタウン出身の少年。ミネズミ狩りをしていたイルと遭遇して一目惚れし、一緒に旅をする。
イルを同年代と思っており、彼女が寂しくないようにと同じ部屋で寝ている。
N
プラズマ団の王様。ジム巡りの半ばイルらに出会う。トウヤと争いイルに惹かれるうちに、プラズマ団の理想が果たして正しいのか悩んでいった。
本作ではゲーチスの実の息子。名前の由来は[Name]-[a me]。
ゲーチス
プラズマ団の創始者。イルを自分の器に納まらない存在として心酔している。
妻を化け物に殺された恨みからプラズマ団を創った。
アカギ
ギンガ団のボスでイルの旧友。「やぶれたせかい」で夢潰えてから、彼女にギラティナを託そうと待っていた。
〇〇〇〇〇
レベル88の伝説のポケモン。レベルが高すぎて誰も制御できず、「やりのはしら」を壊した。
原作情報
原作は2010年に発売されたニンテンドーDS専用ソフト「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」。売上本数は全世界で1500万本以上の大ヒット作品である。2010年ゲームソフト年間売上において、2位と3位を記録した。
(参考:http://gcompass.sp.land.to/rank/2010.html)
イッシュ地方が舞台になっているように「多様性」を重視した作品で、様々な人種が登場する。伝説のポケモンであるゼクロムとレシラムは「理想」と「現実」を象徴しており、ポケモンを解放しようとする英雄とポケモンとの共存を望む英雄の対比を描いていた。
ストーリーPickup
以下、ネタバレ注意です。
勘違い回答集
本作の特長は、前半部の会話のズレです。「勘違い」が根幹にある作品でも、特に物語の流れに支障がなく気楽にみられました。
勘違いやポエムによってすれ違った部分を3つ厳選しました。
ポケモンとは?
「さて、単刀直入にお尋ねしましょう。貴女にとって、ポケモンとは?」
「ただ、在るものと存知ます」
第一話より、会話文のみ抽出(原典ママ)
面接官ゲーチスによるイルへの問答です。哲学的な問いへ、彼女は会社の理念を肯定すると断じました。一見無難な回答ですが、彼女たちの手にかかれば大問題になります。
ゲーチスにとってプラズマ団は慈善団体なんかでなく侵略組織でした。会社理念のために扱う、すなわち世界征服のために死に絶えても気にしないということです。
面白い玩具としてゲーチスは彼女を採用しました。
査察官の本性
「貴女には引き続き剪定をお願いしたい。その道中に賢者の影があり、それすらも足らないと思われましたら――」
「私が、処分を」
「――ええ、お願いします」
第3話「春の月 友人を見直すまで」より引用。N視点、イルとゲーチスの会話
Nにとってイルはトウヤの相棒です。でも父親ゲーチスと繋がっており、幹部を切り崩すかの確認を取っていました。なぜ彼女は2人と関係を持っているのか、知るために立ちはだかることを選択します。
イルにとっては賢者の処遇まで含め、取り留めのない状況報告です。相も変わらず我が道を進んでいました。
叛逆のきっかけ
「ここで、終わるのか――? ……っ」
頭を抱えた瞬間。本部より、メッセージが送られてくる。そこに書かれた言葉を見て、彼は凍り付いた。
『他に認められずとも、私が認めよう。この組織に於いて、貴殿は必要な存在である』
第7話「夏の月 強さを考えるまで」より引用。とあるプラズマ団員の視点より
「若い」だけで認められなかった青年へ送った激励。ゲーチス経由らしいが、まさか謀反のきっかけになるとは考えなかったでしょう。
彼にとって幸か不幸か、プラズマ団は数か月後に潰れています。
親子の絆と3体の龍
勘違いは溝を広げるだけでなく、思わぬ関係を紡ぐこともありました。ギラティナの暴走によってイルが方舟にとらわれたことで、Nとトウヤが共に戦うことになります。
またゲーチスが味方をしてくれる、珍しい二次創作でした。伝説の龍キュレムを引き連れた彼と、二対の龍を従えた2人。3人の絆によって龍は真の姿を示してくれました。
それでもイルは平常運転なあたりが、本作の勘違いを象徴していると感じています。
まとめ:就職先が潰れて
I・Bによる「とあるプラズマ団員の日記」の紹介記事でした。
約1年を通して、少年2人は成長し恋をしました。渦中にいたイルは何が変わったのでしょうか。旅をして、友人関係が増え、謎のポエマーとして勘違いをされ、被害者になった。作中では書かれていませんでしたが、私は「次の世代を支え育てた経験」ではないかと考えました。
最後までゲーチス以外がイルの年齢を知ることはありません。言動で、姿形で、経歴で。本作は勘違いによって物語が回っていました。
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