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【葵依幸 勇者殺しの花嫁 感想】強大で理不尽な敵を前にして
葵依幸/Enji『勇者殺しの花嫁』は生きるために異端審問官を続ける主人公が信頼できる友を託されるまでを描いたファンタジーラノベです。
上層部が腐っていると知りながら、修道女のアリシアは異端審問官として神の命令を遂行します。
しかし、魔族との出会いや勇者の本質を知り、果たして上層部の願い通り勇者を殺すべきか悩んでいきます。
本作の魅力は神を信じるという仮面を被った主人公の本音や理不尽な敵の描写にあると考えます。
絶望的な強さの敵を前に、敵だった人と共闘する展開が好きな人におすすめの作品です。
勇者殺しの花嫁 I – 血溜まりの英雄 –
posted with ヨメレバ
葵依幸/Enji ホビージャパン 2023年12月28日
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目次
『勇者殺しの花嫁』小説情報
あらすじ
魔王が討たれて間もない頃。“神々の花嫁”兼異端審問官であるアリシアに暗殺指令が届く。
https://firecross.jp/hjbunko/product/1786
標的は“神々の加護”を持つ勇者・シオン。暗殺が不可能だとされる勇者を殺す方法はただ一つ。
それは勇者から愛されること! アリシアは任務のためシオンに近づくが、やがてその正体が同い年の少女だと気付き――
「女相手になにしろって言うんですか!? 」
アリシアが女子の攻略法を探る中、都市が魔王軍の残党に襲撃され大ピンチに!? 本格バトルも満載の二人の少女の物語、開幕!
主要登場人物
アリシア・スノーウェル
七大枢機卿の一席『昼行灯のサラマンリウス』の部下。
信託(上司の命令)に従い、異端審問官としてエルシオンに近づく。
エルシオン
伝説の傭兵である『鮮血のヴァイス』の弟子。
フードを被った中世的な見た目だが、魔王を討って勇者となった実力者。
『勇者殺しの花嫁』ストーリーPickup
神様なんて存在しない
この世に神様なんてものは存在しない。
教会の語るそれは、民衆を操り、支配する為に生み出された空想上の存在。
古代も仮定にもそんなものは存在せず、所詮は教会が生み出した錯覚でしかない。
それでも、ヒトは、自らが体験した出来事を真実だと錯覚してしまう。
たとえ其れがペテン師たちの造り出した虚構であったとしても、「…………」私は、荷台に乗せられた商品には為りたくは無かった。
第1章
勇者たちが住まうのは、魔族との争いの最前線であり治安の悪い土地でした。
修道女アリシアは神々の祝福を口では願って、心の底では神を信じていません。
神の言葉は腐った上層部の要求であり、キセキは秘匿された技術である。
知っていても少女は家畜扱いを受けるより、命令通りに異端審問官として抹殺する道を選びました。
勇者楽園計画
昼行灯のサラマンリウスがアリシアに求めていたのは、勇者の暗殺……というより籠絡でした。
シスターに純血を捧げさせるのかと否定していたアリシアですが、上司の命令に逆らえず動いています。
寄り付けない雰囲気を漂わせて、日常的に人と接しないエルシオン。看病という名目で肌を見るまでアリシアは気づきませんでした。
エルシオンはアリシアと大して年の変わらない女性です。
上司のサラマンリウス、師匠のヴァイスは知っており、親友関係になることをアリシアに期待していました。
表紙挿絵に書かれていたため読者は知っている場面、しかしアリシア視点の描写では性別が分かるようなものはありません。
実際この出来事を機に仲は深まっており、師匠らが期待したように勇者と聖女が手を結ぶ始まりになりました。
枢機卿殺しとの対面
巷で起きていた枢機卿殺し、犯人はエルシオンの師匠のヴァイスでした。
地位を認めていない女性で、魔王の次には教会へ牙をむくかもしれない。
エルシオンは教会にとって邪魔な存在であり、暗殺対象でした。
異端審問官のアリシアも当初は暗殺を目当てに近づいており、ヴァイスの加護とサラマンリウスの指示変更がなければ殺すつもりで構えています。
片や大切な義娘を殺させないため、片や異端審問官としての役職に囚われ2人は対峙します。
「あ、あの……、」「見損なったよ師匠‼ 僕にならともかく、こんなか弱いシスターにまで手を上げるだなんて‼」「買い被りだ、お前と違って俺は女も好きだし美味そうなメスをみりゃ昂るのが英雄だ」「ぢっ……‼」
あ、いや、…………ええー……???
怒りでシオンの周りが熱を持ったように揺らめいたように見えたのは決して気のせいではなかった。魔族と戦っていた時以上の気迫に圧倒されそうになる。
第6章
一方的な勝負を終わらせたのは弟子のエルシオンでした。
ムードもへったくれのない勢いで怒り、なあなあで和解させます。
今後のことを考えると、ここで決着させなかったのは名采配でしょう。
本シリーズは魔族との戦いを描きつつアリシアの変化をつづる物語であり、どちらが勝っても人類の損失になってしまいます。
エルシオンが身近な人を守る性格だと示す意味も含まれていて、次の本番に向けた大切なシーンでした。
魔族との差――前提から違う
本作の魔族は非常に強大な存在で、人類は不意打ちでしか倒せません。
青年期に太刀打ちできず幼少期の魔族を潰して喜ぶ傭兵の存在も、人類と魔族の実力差を痛感させられます。
当然魔族側も力の差を分かっており、エルシオンらが倒した魔王も侵略という名の共存を目指していました。
『本気を出せば一年足らずで人類を殲滅できる』1巻のラスボスの発言は伊達ではありません。
実際ヴァイス、アリシア、エルシオンの3人がかりでも真正面から彼に立ち向かうのは困難を極めました。
奥の手を使っても致命傷にならない、圧倒的で不平等な差が神の不在を証明しているように感じました。
まとめ:『血溜まりの蛮勇』と『破滅思考』
勇者殺しの花嫁 I – 血溜まりの英雄 –
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葵依幸/Enji ホビージャパン 2023年12月28日
葵依幸/Enji『勇者殺しの花嫁』は生きるために異端審問官を続ける主人公が信頼できる友を託されるまでを描いたファンタジーラノベです。
エルシオンらは『血溜まりの蛮勇』というスキルを持っており、血で濡れるほど強くなる性質を持っていました。
強大な魔族にもみられる性質で、使い過ぎると魔族に堕ちる危険性を秘めています。
アリシアの『破滅思考』は対象を破壊するほど強化する術式で、暗殺が目的の異端審問官として異端の力を学んでいました。
強大な敵を前にして人に忌避される力を互いに明かし、少女たちは真の共闘を果たしました。
絶望的な強さの敵を前に、敵だった人と共闘する展開が好きな人におすすめの作品です。
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