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【僕らの春は稲妻のように 感想】夏を待てないフルスロットル青春
鏡遊/藤真拓哉「僕らの春は稲妻のように」は目まぐるしい速度で許婚関係を進めようとする、少年少女の青春物語です。
親に決められた10人の許婚でなく、自分で選んだ11人目灰瀬譲で。目的のため、少女白河白亜は健全な関係を深めようとしています。
相手宅への交流、遠方までのデート、お泊りはいいけどキス以上はダメ。白亜の将来は何処に向かおうとしているのでしょうか。
アクセル全開の青春模様が好きな人におすすめのライトノベルでした。
目次
「僕らの春は稲妻のように」小説情報
作者情報
作者の鏡遊はフリーのシナリオライターとして知られています。
アダルトゲームブランドminoriの企画・原案・シナリオの他、「天色*アイルノーツ」(ゆずソフト)「約束の夏、まほろばの夢」(ういんどみる)といった会社にも寄稿していました。
ライトノベル分野にも2007年から掲載しており、代表作は「剣神の継承者」(MF文庫J、12巻、コミカライズあり)、「僕のカノジョ先生」(MF文庫J、9巻、コミカライズあり)あたりです。
あらすじ
出会って即プロポーズ! 婚前旅行も今すぐに! 「でも、キスはおあずけだからね」
白河白亜。中2、名家の長女、中学生ばなれしたスタイルで可愛い。そして僕・灰瀬譲に出会って即プロポーズしてきた変な女の子。
僕らの春は稲妻のように【電子特典付き】
白亜の恋愛は本人曰く、“猛スピード”。一緒に学校をサボリ、僕の家に上がり込み、その次にはご両親にも挨拶。あっという間に僕らの関係は進んで――だけど僕は、白亜のことを何も知らないのかもしれない。
ハシャぐ白亜の笑顔、時折見せる陰のある表情、そして結婚するまでキスは禁止。その理由を僕は知らない。
「キスしたら許嫁のお話はおしまい。私のキスは特別だからね」
許嫁として始まった関係だけど、好きになってもいいですか?
主要登場人物
灰瀬譲
シングルマザーの家系かと思っていたら、父親が貴族階級だった少年。
小学5年生のときに交通事故で臨死体験をしており、死ななければと積極的に挑戦する。
白河白亜
桁違いのお金持ち白亜家の長女。中学2年生で170cm超と年齢より大人びている。
10人目の許婚と解約したいともめていたときに灰瀬と再会する。
紅坂緋那
有名レストランの娘で白亜の親友。
家はお金持ちだが、家庭の方針で奨学生として通っている。
「僕らの春は稲妻のように」ストーリーPickup
貴族の仲間入りをして
蒸発していたと思われていた父親との出会いは唐突でした。
高飛車で時代錯誤な人かと思っていたら、天条寺貴晴は想像以上にまともな人で2人を囲うことを選んでいます。
とんとん拍子で引越が進み、灰瀬の住居はタワーマンションの42階に、学校は貴族が集う私立学園へ変わりました。
元々が2LDKの古いアパート、ごく普通の公立中学校だったと考えると相当な差です。
例え電車で30分程度だとしても、中学二年生にとって相当なストレスを感じるでしょう。死ぬまで友達でいるわけではない、達観して素直に応じるあたりに彼の人間性が伺えました。
猛スピードに巻き込まれて
「わたしね、嘘は嫌いなの」
お姉さんは、にっこりと笑い、ショールを翻しながら僕の前に身体を寄せてきて――
「ちょっと、わたしと結婚してみない?」
プロローグ
170㎝以上のモデル体型、色素の薄いサラサラとした長髪をしたお嬢様と出会って3分も経っていません。
許婚との離縁トラブルに巻き込まれて、「人前で(騒ぐのが)みっともない」と突っ込んだだけで許婚扱いされてしまいました。
物語として当然のごとく、彼女白河白亜は転校先のクラスメイトでした。
屋上で再会して早々、授業をさぼってコンビニに連れ出されます。アイスを箱単位で購入し、放送室で灰瀬からのプレゼントと称して配ってしまいました。
他にも灰瀬の情報を合法的な手段で入手したり、再会した日に灰瀬宅にお邪魔したりしています。
出会って早々互いの家に訪れ合って、外面の関係は急速に進展していきました。
貴方のことを知りたくて
常に灰瀬は白亜のペースに巻き込まれていました。思いついたままに動く少女へ、時折反撃をしてみせてもし返されています。
だから1ヶ月経っても灰瀬は白亜のことをよく知りませんでした。
白亜のことをもっと知るため、白亜しか部員のいない放送部に入部すると委員長に宣言します。委員長や白亜も意図を察していました。
2人になったことでだらけきった空間だった放送部に、部活らしい行動が加わります。
数年間横浜から出なかった白亜が、体に負担をかけてまで外に出ようと灰瀬の手を引っ張りました。
この後も白亜が中心になって物事を起こすのには変わりません。しかし、灰瀬は白亜の突風のような表面でなく、真相に着目するようになっていきました。
やれることを全て
- 心臓付近の手術痕
- 学校に来る頻度が不定期
- 彼女の部屋が病室みたいに清潔に管理されている
- 許婚ができたとたん突発的に行動
- 多重人格ができるくらいの不安・焦燥
白河白亜への伏線は分かりやすいくらいに貼られていました。
先天性の心臓病を患っていて、残された年月はわずか6年。中学2年生に告げられたにしては短い期間です。
だからこそ18歳というギリギリで迎えられそうな結婚式というイベントに、白亜は並々ならぬ熱量を入れていました。
初めてのキスは結婚式でしたい。
大人っぽい外見と裏腹に、少女はロマンティックな夢に生きる希望を託していました。
「僕らの春は稲妻のように」まとめ:最高のエンディングのために
鏡遊/藤真拓哉「僕らの春は稲妻のように」は目まぐるしい速度で許婚関係を進めようとする、少年少女の青春物語です。
相手宅への交流、遠方までのデート、お泊りはいいけどキス以上はダメ。
本作は最初と最後で言葉の意味が変わって伝わるようになっています。病弱だと特徴を端的に記すのではなく、言葉への想いで感じさせてくるのは新鮮でした。
アクセル全開の青春模様が好きな人におすすめのライトノベルです。
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