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【一次小説紹介】『みんな異世界転生するもんだから……』
古来より人類は不死を望んでいました。始皇帝は辰砂(水銀)を飲み、竹取物語では不老不死の秘薬が霊峰の元となっています。錬金術エリクサーを経て、現代でも先端科学の研究として投資されています。
しかし、死なないことは望ましいことなのでしょうか。K-Knot作『みんな異世界転生するもんだから……』は人が転生を望んだ果てを描いています。最期に残された人は何を思うのか、そしてこの罪はいつ祓われるのか、路の末を見ていきましょう。
目次
小説情報
小説データ
URL:https://syosetu.org/novel/96585/
作者:K-Knot
警告タグ:R-15, 憑依 ,残酷な描写
話数(2022/2/18): 1話 10,618文字
UA(2022/2/18):6,697
あらすじ
21世紀に入って数十年、脳科学者は遂に転生を証明した。価値を失った人々にとってリセットボタンは魅力的で、次々と世界から羽ばたいていった。身内を追うようにどんどん去って行って……
世界に独りが残された。
ストーリーPickup
以下、ネタバレを含みます。
やり直したい
「もしやり直せるのならば」、と考える人は少なくありませんでした。特に近未来の世界では簡単な仕事をロボットが担い、することが失せていたのです。更に、転生には痛みも苦しみもないと伝えられました。
先端の人が真っ先に押し、身近な人が絶望したこの世を思い後を追う。何度か繰り返した後に名のある富豪が死に、これだけ贅沢な人でも選ぶのだと後押しされました。
精神学者によって『転生病』と付けられた頃には、歯止めをかけるものは残っていませんでした。
誰もいない世界
最期の一人は22歳の男性でした。タロという犬と数か月間ともに暮らしていました。そんな状況になってもロボットのおかげでインフラは保たれている、終末世界らしからぬ光景ではありました。
しかし、新たな食糧も作られなければ病気の治療もしてくれません。ロボットには必要のないものだからいらない、中途半端に残された跡が妙なリアリティを感じさせてくれます。
やりたいことを全てやってみて、人の目があってできなかったことに挑戦して、転生した人たちのことを馬鹿にして、全部に飽きた。『(社会的)孤独のリスクは、(肥満や薬物乱用といった)危険因子に匹敵する』(Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., Baker, M., Harris, T., & Stephenson, D. (2015). ,Perspectives on Psychological Science, 10, 227-237.)と言われますが、これ以上広げようのないと大きなリスクとなるでしょう。
確かに世界は綺麗でした。去る者たちは街を荒らすことなく朽ちて、人知れない所に死体を残しています。自然も徐々に戻ってきて、ハズレの転生より余程充実した環境でしょう。でも、孤独がスイッチを踏むように突き付けてくるのです。
まとめ:二度目があったとして
何をすべきだったのかは分からないが、失敗したという事だけは分かる。あの雲の向こうの光は確実な死を自分にもたらすだろう。
自分はどの世界からここにいるのだろう。何を期待されているのだろう。推測を図ったときには時間切れでした。
彼は次にどんな世界に行くのでしょうか。そして、何時転生の呪いは解かれるのでしょうか。謎が残されたまま、彼はかつての人のように未練を残して去っていきました。
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