この記事には広告が含まれます。
【RTA_二次創作紹介】SAOメインメニュー縛りRTA【後編】
RTAにおいてタイムは正義である。どれだけ醜いプレイングだろうが、バグだろうが利用できるものは利用する。ただ、現実の人にとってはどう映っているだろうか。
本記事はアルシャ様作、「SAOメインメニュー縛りRTA」の紹介記事です。倫理観を彼方に投げ捨てた主人公が、メインメニューを縛った状態で目標タイムを達成するために奮闘します。前編ではRTA部分について、後編ではストーリーパートについて紹介していきます。
本作はRTA小説としての不問律を図らずとも示しました。なぜ評判の良かった小説が非難されたのか、見ていきましょう。
https://suzustory.com/2022/01/26/nizi-35/
RTA小説のまとめ記事です。
https://suzustory.com/2021/12/26/nizi-33/
目次
小説情報
小説データ
URL:https://syosetu.org/novel/206196/
作者:アルシャ
警告タグ:オリ主, 神様転生, 残酷な描写
話数(2022/01/20):46話、197,517文字
UA(2021/01/20):460,470
あらすじ
メインメニューを縛る。これ1つでソードスキルが使えなくなり、アイテムも取り出せず、レベルアップボーナスを割り振れなくなり、ぼっちを強要される。
到底デスゲームないでふざけて行うレギュレーションではない。しかし、ヒャッカは社会倫理や常識を捨てることで記録に向かって走っていく。
主人公はタイムを縮めるためならなんだってやります。
主要登場人物
ヒャッカ
身長130㎝、推定15歳の少年。15歳の平均身長は168.8㎝(参照先:令和2年度学校保健統計)であり、生育不良であることが伺える。何時治療が打ち切られるか分からず、生きて脱出する保証がないため、自分の命を顧みることはない。
容姿は端麗だが、身長ゆえに恋愛対象に見られることはない。
サツキ
本作オリジナルの人物。ヒャッカが助けた多数の中の1人。黒初ロングで清楚系な大和撫子なお姉さん。現実に許嫁のいるお嬢様。
本名はさつきゆり。かつて弟がいた。
キリト
原作主人公。茅場の暗躍を止めようと行動する様は勇者のよう。原作で茅場の正体を突き止めたこともあり、直観力は随一。女たらしの才能もあり、共に過ごしているとほぼ全員惚れる。
ヒャッカに最も疑いを持っている人物。アルゴへの調査依頼だけでなく、同じ武器を入手するための狩り、ヒャッカのストーカー、キバオウとの対人戦用の特訓など、ヒャッカ対策を尽くした。
アルゴ
アインクラッド屈指の情報屋かつ、縛り発覚ランキング2位。当初はモンスターから救ったヒャッカを英雄と呼んでいた。懇意のキリトによって調査を行い、怪しいところを洗い出した。
ストーリーPickup
以下、ネタバレ注意です。
想定外の愛され方
「ヒー君は私の可愛い弟です」
(中略)
「私の大切な家族に手を出すなら、誰であろうと容赦いたしません、全勢力を以て叩き潰して差し上げます」
「第7話 キバオウ」より引用
どこにいるのかな、いつもはオー君が来てくれた。なら私から探しに行かないとね。
オー君のせいで私は苦しい思いをした。でもオー君は私を飢餓から救ってくれた。
オー君を思うだけで私の心は憎しみと愛情に満たされる。
今度はオー君を私が監禁してあの地獄を味あわせてあげたい。
またオー君に監禁されて、もっとひどい目にあいたい。
「第32話 ヤンデル」より引用。オー君=お馬鹿百階位=ヒャッカ
邪魔されたくない走者にとっても、時間が残っていないと感じているヒャッカにとっても、恋心を抱かれるとは思っていませんでした。方や弟の容姿にそっくりだったから、方や秘めていたものが開花してしまったから。計算外の事態に彼らは悩まされます。
RTAにおいてミスは付き物です。失敗しないことが理想なのですが、どうやってミスに気付いて取り戻すかも大切です。本作では好感度の高さに勘づかなくとも、なんやかんやで助けられています。何度も繰り返してきた戦闘や序盤の知識は豊富で、走る度に変わっていく友好や恋愛の知識は疎いという、RTA走者らしい姿は好評に映っていました。
問題児_神
弊記事の登場人物で敢えて書かなかった人物がいます。RTAを強要した神です。そして、それこそが本作の評価が反転した要因です。
神
初見は美少女のボクっ娘。実態は自分の利益だけを追求する傲慢と意地悪さを兼ね備えた幽霊。RTAを見たいから、SAOの世界に行きたいと望む人を幽閉し、記憶操作(運命改変)を施し強制的に走らせていた。
また、彼女は裏道を決して許さない。ゲームが開発されない可能性、参加しない可能性、途中で茅場を発見する可能性……彼女が求めるのは原作に準拠したゴールだけであり、見つけ次第悉く潰した。さらに、リセットの任意発動を施して、走者を意図的に邪魔をした。
何故、走者はメインメニューを縛っていたのでしょうか。リセットの任意発動が「右手の人差し指と中指を突き出して、合わせながら縦に振る」(最終話 終わり! より引用)動作で、メインメニューを開く動作と被っていたからでした。つまり、使えなかったからなのです。
何故、走者は一睡もせずに活動できたのでしょうか。(ゲーム内で)最強になりたいと希望する走者へ、(現実の肉体が)強固になるように改造したからでした。自分の都合の良いように解釈する神の精神が垣間見えました。
何故、走者は走り続けていたのでしょうか。まず、精神の摩耗を魂の保護で防ぎます。次に、家族や友人との縁を改変でして、走る以外の選択を無くしました。最後に、神への怒りを、クリアの褒美に書き換えました。
RTAを見るために数多くの人を幽閉し、RTAを強要する。あまりにも胸糞悪いキャラクターで、スカッとするようなエピソードもありません。自分から走って楽しむ趣旨とすれ違ったのが、批評の原因ではないかと考えます。
まとめ:相性の悪さ
本作はRTAでよく感じられる、NPCへの容赦の無さや速さへの執着がみられた作品です。また、ストーリーとしても不快感や不信感といった感情移入がしやすい作品です。スペックは確かに高いのです。
ただ、組み合わせが問題でした。重なり合ったことで、不快な人が突然出てきて、全てをもぎ取っていく作品となってしまいました。
それでも、RTA小説としての面白さは確かで、作者が書きたいものを描いていることは伝わってきました。故に、作品としての性質とストーリーを分けて、記録としました。
コメント