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【ガルパ二次創作_紹介】決められた人生の外に
本記事は彩守 露水様作「びじょとやじゅう」の紹介記事です。後継ぎとして決められた教育を受ける少年が、笑顔を振りまく少女一行に絡まれ、やりたいことを見つけていくストーリーです。
毎日のルーティンに飽きてしまった人、無垢な少年が一歩を踏み出す姿が好きな方におすすめです。
目次
小説情報
小説データ
URL:https://syosetu.org/novel/144285/
作者:彩守 露水
警告タグ:オリ主
話数(2021/12/10):51話 261,443文字
UA(2021/12/10):74,155
あらすじ
祖師谷幸は祖師谷家の後継ぎとして徹底的な教育を受けていた。自由がなく決められた通りに進む日々。ある日、姉である優からテストの代理を頼まれた。優の姿で彼女の通う花咲川へ足を運んだことをきっかけに、笑顔を振りまく少女に絡まれ、ガールズバンドのキーボード担当になることに。
笑顔をテーマとしたガールズバンドと、”やじゅう”(ミッシェル)との生活から、幸が見つけ出した自由とは……
主要登場人物
祖師谷幸
本編時点で14歳、容姿が優と瓜二つの弟。学校に通っておらず、家庭教育のみで大学教育まで修了している。やりたいことを見つけることを課題に、2週間の時を家族に与えられる。ただし、優の姿(女装)で。
祖師谷優
花咲川学園1A所属(香澄、沙綾、たえ、りみ、イヴ、はぐみが在籍)弟が英才教育を一手に担ってくれたこともあり、気軽に過ごせている。幸の女装を推進したきっかけは、赤点回避の代理であった。
奥沢美咲
花咲川学園1C(他に有咲、こころが在籍)ピンクの熊(ミッシェル)の着ぐるみの中の人。ハロー、ハッピーワールド!では、着ぐるみ姿でDJを動かしている。
ハロハピ屈指の常識人。こころ、薫、はぐみにはミッシェルと美咲で別人として扱われている。幸がかつての自分と似ていたこと、優の依頼もあり積極的にアプローチする。後にそれが恋心だと……
松原花音
花咲川学園2年、口癖がふえぇな青髪先輩。ハロー、ハッピーワールド!ではドラムを担当する。
ハロハピ内では良き理解者で、美咲や幸のメンタルをサポートしてくれる。趣味として、カフェ巡りと水族館を紹介した。弱点は方向音痴。
山吹沙綾
花咲川学園1A、Poppin’Partyではドラムを担当している。実家が「やまぶきベーカリー」という(高すぎる棚がネタにされる)パン屋で、看板娘としてよくレジに立っている。彼女は幸にとって最初に出会った女子高生で、その後もパロハピほどではないが面倒を見ている。
用語集
ハロー、ハッピーワールド!
世界を笑顔にすることを夢見る5人組+1のバンドユニット。「こころが音楽をイメージして、それを美咲がまとめる」という独特な手法でオリジナル曲を作っており、明るい曲調に定評のある。
Poppin’Party
星のもとに集った5人で作ったバンドユニット。Bang Dreamにおいて基幹となる主人公率いるグループで、彼女たちの活躍や出会いまでの軌跡はアニメやゲーム内でも語られている。
弦巻財閥
こころの実家で超がつくレベルの大金持ち。リムジン移動、四六時中黒服が手回しをしている、誕生日パーティーに総理大臣が出席、電子マネーが「弦巻家」と表示される、豪華客船の貸し切り……と伝説は数知れない。珠洲島有栖(オンゲキ)、白鳥天葉(Re-ステージ)といった他作品の大金持ちと比較しても、破格の規模を誇っている。
原作:BanG Dream! ガールズバンドパーティ
ブシロードのアプリケーションゲームでCraft Eggが開発したリズムゲームのことを指す。ガールズバンドの結成を目指す少女たちの成長を描いた青春バンドストーリー「BanG Dream!」をベースとしている。完成度の高いLive2Dの演出、全フルボイス設定、カバー楽曲の豊富さ、時系列の変化による掛け合いの変化など広い魅力を備えたコンテンツである。
主要メンバーが高校一年生であった「シーズン1」が終わり、現在は一学年成長した「シーズン2」の物語が進められている。ただし、本小説はシーズン1の時期を取り上げたものなので、今と反応が違ったキャラクターも現れる。
参考:本小説で取り上げられたイベントストーリー
- 怪盗ハロハッピーと豪華客船(2017/04/13~ 28~32話)
- ハッピーサマーバケイション!(2017/07/31~ 34話)
- はじめての!?ウィンタースポーツ(2018/02/10~ 39話 青空カレー部分)
- シーズン1_メインストーリー(41~43話)
- 夏の宵、水面たゆたう 詩と花(2019/08/20~ 閑話)
- 私模様テクスチャー(2020/03/08~ 閑話)
ストーリーPickup
以下、ネタバレ注意です。
欲少なき少年
祖師谷幸に夢はありませんでした。家柄を守るため、専属の家庭教師によって学問を学ぶ日々。人と関わる経験がない代わりに、中学二年で大学生程度の学力を得ていました。
祖師谷優は自由でした。弟がすべての負担を背負っていたためです。弟に外を知って欲しい、術を幾つも考えていました。
優が父親に懇願して得られた期間は2週間。どう使うか悩んだ末に、テストの代弁を思い出したのでした。
優としての出会い
優に頼まれ、幸は優の格好で花咲川に向かうことになりました。安定しないスカートと、以前会った時に逃げ出したため顔を合わせにくい人。テストの点数をほどほどに調整することに意識を背けていました。
『最も大きな危険は勝利の瞬間にある』(ナポレオン・ボナパルト)
姉からの任務を達成する直前に遭ったのは、太陽でした。
「何て言うのかしら……笑顔じゃないだけじゃないの、笑顔の反対なの! あたしたちが笑わせてあげないといけない。この子は笑顔の反対なの!」
こころの言葉は難解だった。優はおろか、付き合いの短くない花音でさえも、その思いを受け止め切れていない。唯一、ある事情からその解読に慣れている美咲だけが、なんとかニュアンスだけを掬う事が出来た。
第5話「地上の太陽」より
自宅に帰る直前に弦巻家に誘拐される幸。弦巻家で行われた緊急特別ライブをきっかけに、「世界を笑顔にするバンド」ハロー、ハッピーワールド!(ハロハピ)のキーボードとして彼の役割が生まれました。
周りの人に手を借りて、知らない世界を教えてもらう日々が続きます。「羊毛フェルト」「ファミレス」「カフェ巡り」……本の向こうの世界が幸の目の前に広がっていました。連日の新たな発見を聞いている優にとっても、大変好ましい状況でした。
客船の事件と怪盗
おおよそ原作通りに続く今作ですが、一か所展開が離れます。美咲とお泊りをした翌朝7時、美咲宅にこころ達が来襲しました。フネに乗る、と軽々しくこころは言いましたが、目的地にあったのは豪華客船でした。
黒服(こころ専属の執事)によって怪盗ハロハッピー役をお願いされた薫が演技してくれている裏で、彼女らがお姫様役の花音を攫う。そんな計画は、暗闇に怯えてものを掴んだ幸によって崩されました。花音が幸のお着換えに積極的だったおかげで助かった彼女らは、こころを楽しませるために計画の修正を図ります。
原作では「美咲が花音へ告白するけど下手」(イベント星3美咲特訓前)というシーンが挟まります。普段は否定しないこころ・はぐみが文句を言う貴重なシーンなのですが、今回はなぜか姫が2人いたので泣きの一回が許されました。
一度は諦めようとするも、嫉妬と対抗心から幸に想いを伝えることに。一度目とは比べ物にならない迫真の演技で、思わず手を取る彼も絵になりました。脈なしではない、ハロハピと暮らして勇気を得た先輩として、動くことで得られるものを見せたのでした。
魔法の言葉
最初の一歩は、一部の人を除いて緊張するものです。それも、多くの人に観られているとなればなおさらでした。
6人目として幸を壇上に上げることを決めたハロハピ一同。しかし、最初の舞台が大きいことを彼女らは失念していました。それに気づいた美咲によって、急遽病院でのイベントが立てられます。それでも、箱入りの少年にとって耐えられる圧力ではなく、開始直前に衝動で逃げ出してしまいました。
自問する。目の前で一人の少女が悲しみに暮れて涙を流しているというのに、ただ見ているだけなのか。世界を笑顔にするのではなかったのか。
39話「魔法の言葉」より
決して論理的ではなく、でも目の前の悲しみは笑顔に変えるように行動する。このとき、幸は初めて『ハロハピらしく』少女を助けました。
まとめ:幸としての出発
本作は父親が幸に許した、たった2週間の出来事です。もっとハロハピを続けたい、幸が伝えたメッセージは周りの協力もあって実ります。そして、美咲との関係も協力者から新たなものへ移り変わるのでした。
幸の一人称視点(感情)が物語の進みによって増えていく点、初期には珍しかった美咲が自分から動いて後輩を導いている姿が印象的でした。毎日のルーティンに飽きてしまった人、無垢な少年が一歩を踏み出す姿が好きな方に勧められる物語だと考えています。
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