「カラスの教科書」、ちょっと気になる特性7選。

黒く艶がある姿がゴミの近くにいる。カラスを見たことがない人はそういないでしょう。でも、カラスがどんな特性を持っているか知っているでしょうか。

松原始さんの「カラスの教科書」では、カラスの特性について面白く簡単に説明されています。今回はその一部を、7点ほどピックアップして紹介していきます。

表紙にもあるデフォルメのカラスによって、絵でも表現されている点が好印象でした。

カラスの教科書 [ 松原始 ]

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感想(14件)

カラス→あくまで総称

日本に生息する『カラス』は大方「ハシブトガラス」か「ハシボソガラス」の2種類となります。ハシブトガラスは森林出身の都市部在住、ハシボソガラスは人里出身の河川付近にいる方です。

在住位置や鳴き声(「カア、カア」がハシブト、「ガー」がハシボソ)でも区別は可能なのですが、筆者はさらに明瞭な区別方法を挿絵付きで描いていました。

確実に見分けがつくのは鳴くときの姿勢である。ハシブトガラスは体を水平にし、頭を前に突き出し、尻尾をヒョイヒョイと振るようにして鳴く。一方、ハシボソガラスは胸をふくらませてグッと顎を引き、うつむいた姿勢から一気に頭を降り上げて「ゴアー!」と絞り出すように鳴く。


「カラスの教科書」pp.35より引用

ここで注意する点が『カラス』という種がいないという点でしょうか。スズメの和名はスズメで、カモメの和名はカモメです。

しかし『カラス』はスズメ目カラス科カラス属に属する総称のことを指しています。またハシブトガラスとかハシボソガラスとかワタリガラスとか『~ガラス』はいても『~カラス』はいないのです。

同様のことは『ハト』にも言えます。彼らもハト目ハト科の総称で『~バト』はいても『~ハト』はいません。

カラスがうるさい→地声が大きい

ハシブトガラスは山間部の森林に住んでいた主です。当時の縄張りは直径1 km以上と広大で、縄張りの中に入ってくる輩にまで声を届かせる必要がありました。本書のデータによると1.5 km先まで聞こえるようです。

1.5km先で「郊外深夜の騒音(30dB)」くらいの音が聞こえたと仮定します。このとき1.5km離れた際の空気の減衰63.5dBを足すと、およそ90dBという結果に。5メートル先で聞くとなると、ピアノ近くや電車内部くらいの騒音(約80dB)になります。

昔の名残で地声が大きいからうるさい、という結論になります。

嗅覚→ない

カラスを含めほとんどの鳥類は嗅覚を活用していません。彼らは視覚で餌を探しています。なので、匂いで鳥除けをすることは不可能です。

この誤解が生まれたきっかけはコンドルと考えられます。コンドルは死肉を主食としており嗅覚で死肉を捜索しています。カラスの多くも死肉も食べることから、コンドルと同じく嗅覚が発達しているという誤解が生まれたと考えられます。

人間の顔の識別→できる

カラスは人の顔を認識できるから賢い、そのような噂を聞いたことがあるかもしれません。

草山太一准教授(検索当時)が博士論文として提出した「ヒトを刺激とした視覚認知研究」(2005)や科研への経費申請時の概要など、実験下で人の顔を認知できるということは既に報告されています。

しかし都市部に在住するカラスが、そこまで人を見ているとは限りません。とはいえ危険人物は覚えているらしく、因縁があれば警戒してきます。

黄色が苦手→苦手で”は”ない

結論から述べるとカラスは黄色に苦手意識をもっていません。しかしゴミ袋の色を黄色透明にすると、カラスが寄ってこなくなります。ではなぜカラスは黄色のゴミ袋を避けたのでしょうか。

答えは単純で、中身が見えないから破らないのです。「食べ物が見える袋」と「何が入っているかわからない袋」があれば、普通安全そうな「食べ物が見える袋」から破ります。危険物の恐れがある後者を破らなくとも生きていける訳ですから。

なお全ての袋を見えなくするとカラスは手当たり次第に突き破ります。カラスは栄養をほとんど貯蓄できないので、死に物狂いで探すしかなくなるのです。結局カラスの被害を抑制するには、網や壁を使って物理的に防ぐしかないということです。

急に攻撃してくる→段階を踏んだ最終手段

突然辺りを飛行して攻撃してくるカラス。実は威嚇しても無視されたから実力行使に出ているだけです。

ハシブトガラスの場合、先ず鳴く間隔を短くします。(カア、カア→カアカアカア)それでもだめならば「ガララララ」としゃがれた声で威嚇し、さらに無視された結果が実力行使です。大体気のせいですが、カアカアカアカア自分に向かって鳴いてくる場合は私たちが威嚇されています

実力行使に出ても大概周囲を飛び回るだけです。突進してぶつかることはカラスにとっても危険で、空を飛べる優位も捕まってしまえば意味がありません。なので、カラスで怪我する場合の大半は向こうの事故ということになります。むしろカラスを避けて電柱に当たる方が危険です。カラスに威嚇されている場合は前方を注意してゆっくりと迂回することをおすすめします。

何故黒いのか→全然わかりません。

カラスの種類は大概黒いです。しかし何故黒いか未だに分かっていないとのこと。

一方カラスの艶の原因は構造色によるものです。羽毛の表面のケラチン層が散乱、反射させるシステムとなっています。金属光沢と似ていますが、仕組みは異なります(金属光沢は入射光の角振動数がプラズマ振動数以下になったときに起こる分極が原因

ここで筆者ではなく私の考察を一つ。カラスの捕食者のワシなどもカラスと同じ視覚で餌を見つけるタイプです。そのときに夜間は黒くて見えないというのは大きな利点となります。また光の不規則な散乱は一時的な鳥除けになるので時間稼ぎ程度にはなります。以上の理由から、天敵の猛禽類から隠れるためと予測しました。

まとめ:意外と可愛い一面も

一度カラスを観察してみると、今まで分からなかった性質も見えてきます。脂っこいものが好きだったり、落ち着くためにサッカーボールの上に乗っかったり、電線からぶら下がったり……。

カラスだからと先入観を持たずに少し眺めてみたら、楽しい時間になるでしょう。

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