原作未視聴勢による『HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――』紹介

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変化を起こすには、恐れずに最初の一歩を踏み出すということです。そうでなければ、変化を起こすことはできません。


Rosa “Lee” Louise McCauley Parks 公民権運動活動家

わたしは変わりたい。三鈴がそう思ったきっかけは失恋でした。未来から来たというミスズとの出会い、生涯の友との出会いを胸に少女は見違えていきます。

本記事は伊勢ネキセ著「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」の感想、紹介記事です。サブキャラクター三鈴の視点から主要人物を支える姿を描いた作品でした。ここでは、変わっていく側面、変わってはいけなかった側面に触れていきます。

人は何をきっかけに変わっていくのでしょうか。

小説情報

あらすじ

平凡で物静かな中学生活を送っていた三鈴のもとに、ある日、未来からやってきた自分、ミスズが現れる。彼女は、これから三鈴が出会うとても大切な二人を助けるために過去に来たと言う。ミスズと出会ったことで、どんどん感情を開放し魅力的な少女へと成長していく三鈴。やがて高校に進学した彼女はそこで運命の二人、直実と瑠璃に出会う。ようやく出会った二人を救うために三鈴が起こした奇跡。それは――

伊勢ネキセ著「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」(2019) 背表紙より引用

主要人物

勘解由小路かでのこうじ三鈴

本作の語り部(主人公)。元々は引っ込み事案で周りに合わせて生きるような人物だったが、ミスズらとの出会いで変わっていった。ミスズに能力を与えられて以降、ナオミの亡霊を消すお仕事をしていた。

生涯の友達直実や瑠璃とは学級は違ったものの共通の図書委員となり、2人の関係を取り持とうと奮闘する。実は直実の特訓光景を目撃している。

勘解由小路は京都市内の地名の1つで、平安京にあった。勘解由使が変化したものとされる。現在では下立売通の一部として消失している。

日本の苗字では漢字5文字と最長である。
参考:「勘解由小路」…この名字、読めますか? 漢字で書いて日本一長い名字のひとつ…平安京にあった通りの名前が由来です

カタガキ ナオミ
2037年の未来からやってきた堅書直実を名乗る人物。直実の先生として恋愛、能力の両方から支援していた。何かに絶望したかのように死んだ目をしている。
数百回にも及ぶ失敗の際、見えないが存在してしまっている亡霊を生み出してしまった。三鈴らが消してくれたおかげで過去にやってきた。
勘解由小路ミスズ
2037年からやってきた未来の三鈴。初対面時、余りにも容姿と雰囲気が違っていたため、本人に別人だと否定された。三鈴との契約で亡霊狩りの代わりに変化する手助けをする。
普段の容姿は子ぎつね。

ストーリーPickup

以下、内容のネタバレを含みます。

変わるきっかけ

かつての三鈴は気づくこともなく恋をして失恋をした、他人の杓子で生きてきた少女でした。謎の狐面集団、自称未来から来た自分、<亡霊>と呼ばれる目が死んでいる男、ある日非日常が彼女を襲いました。

彼女にとって大きな変化は、未来の自分ミスズによってもたらされました。未来からやってくる<亡霊>を排除することで、恋人を助けようとする堅書ナオミを無事に過去へ送り届けたい。彼女の願いを叶える代わりに、三鈴は1つの願いを伝えます。

「わたしは変わりたい。自分を変えたいんです。そのための手伝いをしてください。それが条件です」


「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」p.34より引用

ミスズはその願いと顛末を知っていました。故に快諾し、その日から2人の関係が始まりました。

会いたかった人たち

並大抵ならぬ努力する一行瑠璃と自分の筋を通しきる堅書直実、2人は完璧な人間じゃなくても埋め合える理想的な関係でした。そして理想の2人に正面から向き合うことが、三鈴の変わる原動力となっていました。

容姿を変えて、口調を変えて、行動を変えて。徐々に改まっていった結果、高校に通う頃には別人のような扱いになっていました。

だから、焦らないで、そして諦めないで、頑張ってほしい。ほんの少し前まで同じような境遇だった自分が偉そうに言えることではないかもしれないけれど。


「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」p.72より引用

ナオミが来る前、接点のなかった2人。入学式から頭角を現していた瑠璃に対し、クラスに埋もれて他人に話しかけられないでいた直実。

ミスズのお願いが終わり、ナオミが過去にやってきたことで関係は一変しました。直実は瑠璃を守るために早朝から特訓を重ねるようになり、恋愛マニュアルに従って接近していきます。三鈴の生活もまた変わりました。お役御免となった力を使って朝から直実を観察するようになります。

芽生えつつある心を奥底に隠しながら。

変わってはならなかったもの

違和感が明かされ、ナオミとミスズ、それぞれの真の目的が明かされる。その行方はここには記しません。原作と大きく乖離したことがあるとすれば、瑠璃を取り戻されたナオミと三鈴の会話でしょう。

ルリを取り戻すために瑠璃を攫ったこと。それは直実を直実たらしめるものを失ってしまいました。

「ある日目覚めたとき、そばにいる堅書君が堅書君じゃなくなってしまっていたら、瑠璃はどうしたらいいの? 世界中探しても、あなたはここに一人しかいないのに!」


「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」p.205より引用

三鈴は冒頭と比べて激変しました。真実に向き合って救いに行くことも、躊躇わずにナオミと対面できることも、半年前の彼女にはできなかったでしょう。でも、誰かを思って動く性質とか、親友を慮って身を引いたこととか根本は変わっていませんでした。

ナオミは相方を護るために過去に行く術を探り、倫理に外れてでも彼女を救うことを選びました。人一倍張り切る性分は一夜漬けで古本を再生したり、ナオミに褒めてもらうために陰で努力していたり、元々備えていたものです。ただ、三鈴が言ったようにルリが見ている自分を忘れていました

まとめ:世界で初めての失恋

本記事は伊勢ネキセ著「HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする――」の感想、紹介記事です。サブキャラクター三鈴の視点から主要人物を支える姿を描いた作品でした。ここでは、変わっていく側面、変わってはいけなかった側面に触れていきました

一行瑠璃と堅書直実、2人は組み合わさることで最良に近づきます。最初から結末を知っても尚彼らを救うと決めた少女は、当然のように失恋しました。でも勝手に過ぎ去っていた1つ目の恋と違って、2つ目の恋は破れた感触が伴っていました。

不思議な力はもうなく、未来はもう決まっていません。この先何が来るか分からない中、少女は「幸せになること」を願いました。

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