人をまとめるのに必要な素質は何なのだろうか。とあるマネージャーは導くため「明確な判断基準を設けていること」だと述べた。別のリーダーは支えるため「周りからの信頼を得ること」だと考えた。そして、ある覇王の答えは「下の世代に継承し続けること」であった。
「SOUL BANKER」は「魔法使いと黒猫のウィズ」で開催されたイベントです。財産、能力、感情と思いつく限りなんでも預けることのできる銀行、幻想銀行ローカパーラが舞台となっています。目の前の扉を開ける選択をするか、もってないという素質が鍵となった物語でした。
貴方の目の前にある扉は何でしょうか。その扉を踏み出せない理由は何でしょうか。1つ先に踏み出すためのきっかけとなれば幸いです。
※スクリーンショットはいずれも株式会社コロプラに帰属するものであり、当記事はこれを侵害する意図で制作されたものではありません。
※イラストおよび写真はイメージです。
基本情報
あらすじ
穏やかな暮らしを送っていた弱小貴族の跡取り息子ネーグの前に、銀行員の男女――ヴィレスとラシュリィが現れる。
彼らの話では、ネーグはさる顧客の資産の相続人に指名されたという。
いぶかるネーグが案内されたのは、幻想銀行ローカパーラ――財産のみならず、地位や能力、人望、人脈、技能に才能、記憶や感情に至るまで、あらゆるものを預けられる摩訶不思議な銀行だった。
「魔法使いと黒猫のウィズ」君の本より引用
世界観:幻想銀行ローカパーラ
ある異界(名称不明)の陰にある銀行。『財産のみならず、地位や能力、人望、人脈、技能に才能、記憶や感情に至るまで』何でも預かり、引き出すことができる。具体的には、「衝動的な殺意」といった感情、「王の素質」、はてには「正月」まで。12歳が頭取をしている、善悪不問の職場と常識の外にある場所である。
以下、ネタバレ注意です。
主要登場人物
ネーグ・コスキント
弱小貴族コスキント家の御曹司。一族の出世は考えておらず、今を維持することを重んじている。ある日、銀行員を名乗る男ヴィレス・ニュナンに殺し屋から助けられ、選択を迫られる。
今作の主人公枠。
ヴィレス・ニュナン
幻想銀行の銀行員。引き出しに来たお客様の案内を担当する。ブロッコリー=木という説を確かめたいらしい。
預け入れた感情は「殺意」、お人好しを見るとつい殺したくなってしまう性分だった。
ラシュリィ・ミスク
幻想銀行の銀行員。引き出しに来たお客様の案内を担当する。ヴィレスのツッコミ役。
預け入れた感情は「怒り、憎しみ、恨みなど」、妹をとあるサイコパスに殺されている。
ルダン・カガルガ
幻想銀行の副頭取で、魔力や資産の管理を担当している。問題児集団の銀行員に振り回される苦労人。若白髪。かつては先代ヤーシャラージャとともに資産の取り立て業務を担当していた。
感情を預けていない人の1人。ヤーシャラージャに「感情を預ければ頭取になれた」と言われるくらい優秀な銀行員。
ヤーシャラージャ・ローカパーラ
幻想銀行の頭取で御年12歳。見た目だけとか、記憶を受け継いでいるとか、早熟種族とかではなく、正真正銘の少女である。「ラージャ」と男性名詞なのは、先代(父)から引き継いでいるため。
預け入れたのは「子供らしさ」。休日になる度に引き出しており、ゴールデンウイーク2021版では幼い彼女が描かれている。「よこざんしょー」は忘れない。
用語集
資産からの魔力
幻想銀行では、預けた資産が定期的に魔力を生成している。その資産への想いが強いほど生産効率は高いとされる。
ルダンによると非常に有用なエネルギーで、お湯沸かしから危険物の封印まで全設備が魔力によって稼働している。赤字になるとお茶が薄くなり、白湯になる。
保管庫への道程
簡単に侵入されないように、毎回ランダムに変化する不思議のダンジョン方式となっている。”聖域”はジャングル、氷河、火口と極地が多く、魔物もときどき発生する。世界から途絶した空間で、ジャングルでは閉じ込められた人々が集落を形成していた。
銀行員は迷わず辿り着ける。
資産魔法
資産から生み出された魔力を用いた魔法。ヴァジュレイザーを媒介として発動する。内勤は汎用性重視で保管庫と繋がったものを、外勤は使用性重視で1つの資産魔法を内蔵したものと区別されている。
使うには資産魔法ごとに異なった資質が必要である。
ヴァジュレイザー
2つ1組の武器。一時的にぶつけることで資産魔法が発動する。2つセットの理由は資産魔法の負担を分散するためで、縁の深さが不可欠である。
元ネタはおそらくインド神話の武器ヴァジュラ。
ストーリーPickup
覇王ディオスの死
覇王ディオスは圧倒的な武力とカリスマを兼ね備えていました。そして4大貴族をねじ伏せたことで、王国を創り出します。しかし、老いには勝てず彼は自から命を絶ちました。
弱小貴族として興味を持たないネーグへ、友レンディは大騒ぎです。話しているうちに更けていったためレンディは「夜泊っていくか」と1コ貸しを作ろうとしますが、「歩いて帰る」と突っぱねました。このように、ネーグは騒動に乗じようとする熱意や、貸し借りする勇気に欠けた青年でした。
「もし必要であればレンディに助けを呼ぶ」といった約束が、このときのネーグの全力だったのかもしれません。経験を積んで、選択したネーグによって果たされることとなりました。
資産魔法と必要な隙間
資産魔法は万能の魔法ではありません。ルダンは幾度も予算管理と魔力効率化で慌ただしくしているし、使い過ぎるほど飲食の質が下がっていきます。
そして、誰にでも使えるものでもありません。おおよそ、魔法による変化で感情が揺さぶられないかが重要だと予想されます。
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- 資産番号1047543:<電光石火>:妖精京の宝箱
- 資産番号0277924:<剛強無双>:古代の遺物で破壊兵器
- 資産番号1119621:<活火激発>:
- 資産番号0002265:<紫電一閃>:時の流れが歪む魔境
- 資産番号2998113:<屍山血河>:大いなる生命の力を与える血の泉
時間の流れを加速する<電光石火>は今の自分に執着しない人だけ扱える。
破壊力抜群の銃弾<剛強無双>の使い手は憎しみや怒りに揺さぶられない人に限られる。
刃が触れた個所の時間を劣化、もしくは固定できる刀<紫電一閃>は、秩序の乱れに無関心になれる持ち主にしか扱えない。
魔力を問答無用で取り立てる力、人間を超越した身体能力を与える力をもつ<屍山血河>は意識の暴走と妹の介護によって成り立っている。
覇王を継承する素質
覇王の力と相対したネーグ。素質を前にして、彼は『なんで俺を選んだ』と声を荒らげます。覇王の回答は己の欲に溺れず、後腐れなく次の世代に引き継げる『執着心の無さ』でした。
再び分裂しかけている国にとって、覇王の復活は好ましいことです。しかし、もしも覇王の力を受け継げば、ネーグは今や将来を失います。ヴィレス&ラシュリィの協力もあり、決断する資格を得られました。そして、ネーグは1つの道を選びます。
本シリーズでは、持たないゆえの価値を問いてきます。復讐心を無くせば怨敵に背中を預けることができ、子供らしさを預ければ若輩者でも頭取として業務ができるようになりました。決断ができるのであれば邪魔なものを片づければよい、そういった考えが浸透しています。
対して、ルダンのように「心の切り貼りが成長を妨げる」といった考え方もあります。それ故に、銀行員の精神の異端さが強調されていました。
まとめ:やれるだけやってやる
ネーグは現在を捨て、覇王を継承する道を選びました。かつてと違って、友レンディの協力を自ら頼めるようになり、成長した姿が描かれています。また、地の性格の良さは変わっておらず、後のエピソードでも、民の負担を少なく国を興すことを目的に担保を集めていました。
本作は「目の前の扉を開ける選択をするか」が鍵となった物語です。銀行員の至上命題は「選択を助け、それを支持する」ことであり、顧客は危機を乗り越えて選択を迫られます。選択の先にあるものを掴むため、『やれるだけやってやる』姿勢が大事なのだと思わされました。
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編集中……(2021.01.20)
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