【黒猫のウィズ 感想】SOUL BANKER Out of Control

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もし私に〇〇がなければ動けたかもしれない。こんな道筋も考えられたかもしれない。過去の選択はやり直せなくても、今の選択は変えられる。だから私は捨てることを選んだ。

「SOUL BANKER Out of Control」は「魔法使いと黒猫のウィズ」で開催されたイベントです。財産、能力、感情と思いつく限りなんでも預けることのできる銀行、幻想銀行ローカパーラが舞台となっています。何かを失ったからこそ見つけられる、成長することができることもある、そんなことを伝える作品でした。

貴方の目の前にある扉は何でしょうか。その扉を踏み出せない理由は何でしょうか。1つ先に踏み出すためのきっかけとなれば幸いです。

※スクリーンショットはいずれも株式会社コロプラに帰属するものであり、当記事はこれを侵害する意図で制作されたものではありません。

※イラストおよび写真はイメージです。

基本情報

あらすじ

「君」は、魔力を操る杖を盗んだ魔導士と対峙し、撃破する。しかし、その戦いの衝撃で開いた異界の歪みに吞み込まれ、「君」とウィズは幻想銀行ローカパーラに出現してしまう。

ローカパーラでは、封じられていた資産が解き放たれるという大事件が勃発していた。あの杖のせいに違いない。君たちは銀行員たちと協力し、資産の再封印に当たる。


「魔法使いと黒猫のウィズ」君の本より引用

世界観

ある異界(名称不明)の陰にある銀行。『財産のみならず、地位や能力、人望、人脈、技能に才能、記憶や感情に至るまで』何でも預かり、引き出すことができる。具体的には、「衝動的な殺意」といった感情、「王の素質」、はてには「正月」まで。12歳が頭取をしている、善悪不問の職場と常識の外にある場所である。

 

以下、ネタバレ注意です。

登場人物

ヴィレス・ニュナン

お客様を保管庫へ案内する役割。根は優しいが妙な発想が多い。

預け入れた感情は「殺意」、善人を見ると殺したくなるが、それ以外は興味ないため通行人を人質を取られて差し押さえされた。

ラシュリィ・ミスク

お客様を保管庫へ案内する役割。ツッコミ役だが常識人ではない。人間だるま落としを希望した。

預け入れた感情は「怒り、憎しみ、恨みなど」、妹を殺した奴が銀行に差し押さえられたことがきっかけで幻想銀行に就職した。

ルダン・カガルガ

幻想銀行の副頭取。資産や魔力の管理を担当している。銀行員で唯一の常識人で黒猫のウィズ屈指の苦労人。

元々は資産の取り立て業務を担当していた。

ヤーシャラージャ・ローカパーラ

幻想銀行の頭取。資産や資産魔法の承認業務を担当している。

預けた感情は「子供らしさ」で、抜けている側面もある。

サージュ・ソネガン

人事部に所属し、ヘッドハンティングを担当している。「差し押さえ」をすることで銀行員にすることができる。現在、差し押さえられたのはヴィレスのみ。

預けた感情は「正義感」。得物を擦り合わせる癖があるが、預けたものとは無関係だと思われる。

ティリルカ・ヴァーナキィ

資産の取り立て業務を担当するリニーダのお姉ちゃん。かつて「血の湖」を守る巫女であり、不老不死を企む勢力から資産を守っていた。

預けたものは〇〇。読み書きを覚えたのは銀行員になってからなのだとか。

リニーダ・ヴァーナキィ

資産の取り立て業務を担当するティリルカの妹。かつて「血の湖」を守る巫女であり、当時は姉によると甘えん坊だったらしい。

彼女は何も預けていない。彼女の持っている金庫<魂魄算盤ソウルアバカス>は、資産を封じる力を持っている。

用語集

資産からの魔力

幻想銀行では、預けた資産が定期的に魔力を生成している。その資産への想いが強いほど生産効率は高いとされる。

ルダンによると非常に有用なエネルギーで、お湯沸かしから危険物の封印まで全設備が魔力によって稼働している。そのため、暴走していると機能不全に陥り、全銀行員が駆り出されることとなる。

資産魔法

資産から生み出された魔力を用いた魔法。ヴァジュレイザーを媒介として発動する。内勤は汎用性重視で保管庫と繋がったものを、外勤は使用性重視で1つの資産魔法を内蔵したものと区別されている。

資産の魔法化には緻密な計算と調整、強い意志力の3つが必要となる。前2つはルダンが担当しているが、3つ目は銀行員の資質に委ねられる。

精霊魔法

黒猫の魔法使いらクエス・アリアスの魔法使いの用いる魔法。カードを媒体に「叡智の門」へ繋いで疑似的に呼び出すことで魔法を起動させている。

新たな精霊と契約するためには非常に濃密な魔力の淀み精霊の選択を狭める術の2つが必要となる。

ヴァジュレイザー

打ち合わせることで「門」となり資産魔法が発動する、2つ1組の武器。黒猫の魔法使いのカードと同じ仕組み。

ヴィレス&ラシュリィは2丁拳銃、サージュは2つに割った短剣、ティリルカ&リニーダは2本セットのナイフと、武器種は各々に任される。

元ネタはおそらくインド神話の武器ヴァジュラ。

ストーリーPickup

失われたウィズの知性

保管庫が暴走したきっかけは、クエス=アリアスの魔道具でした。魔杖の使い方を誤った強盗が保管庫内に歪みを生み、侵入してしまいます。ついでに巻き込まれた黒猫ウィズの「知性」を資産と認識して収容してしまいました。

その結果、資産の一部が流出。外勤の社員も呼び戻す臨時体制が敷かれる事態となりました。お人好しの黒猫の魔法使いも自ら志願し、客員として守られながらも手を貸します。

頭の固さと正義感

一行が最初に出会った銀行員は人事部のサージュでした。正義感を預けた彼は、首を刈ることや人質を取ることに容赦ない、裏稼業に染まった男性です。対する資産は、<電光石火>による攻撃速度と<正義感>による防御力を兼ね備えており、撤退を余儀なくされます。

サージュが<正義感>を捨てた理由は汚職でした。かつて警察官であった彼は、街を守るため何時ものように捜査を行っていました。しかし、とある事件が上層部によって揉み消されてしまいます。その後、戦火に染まる街で、警察は仕事をせず悪人が奮起する光景を彼は目の当たりにしました。悪人と共に動けない、正義感の高すぎた彼へ向けられた手が一つ。

資産の倒し方は至極単純なものでした。サージュの正義感は「守るもの」「倒すもの」に二極化しています。故に、守るものが自分を襲うことを想定できなかったのです。

本章では、「頑固さを失ったおかげで行動できるようになった」ことが主題となっています。

変わり果てたものと変わったもの

次に出会った姉妹は、取り立て業務を担当するティリルカ&リニーダでした。闇が見えない姉ティリルカと、対する資産は、<血の泉>を取り込んだことで血が出るごとに分裂する難敵でした。

彼女たちが預けたのは感情ではありません。

かつて、2人は<血の泉>を守る巫女でした。あるとき、血の泉の効能不老不死の噂を耳にした軍に襲撃され、ティリルカは大怪我を負ってしまいます。そして、禁忌だと知ってもなおリニーダはティリルカを血の泉に沈めてしまいます。その結果、出来上がったのが残忍で血を追い求めるティリルカでした。絶望に暮れる彼女へ、差し伸べる手が一つ。

彼女たちは「異常性を預けた結果、姉妹ともにあること」を手にしました。それでも、やってしまったことは拭いきれず、甘えん坊だった妹のリニーダは姉から自立していきます。

サージュに道を示したのが前頭取であれば、リニーダに可能性を差し伸べたのは現副頭取のルダンでした。「あるがままを尊重する」ために元に戻したルダンの姿勢、銀行員がなぜ銀行員でいようとするのか、解釈が深まった場面でした。

衝動的な殺意と本質的な日常

次にやってきた資産は、「殺意」と「復讐心」を備えた魔物でした。黒猫の魔法使いという殺したくなる存在をひたすら追い掛け回す、厄介な代物です。

きっかけは単純でした。「周りの誰もから好かれている聖人を殺したらどうかるか」が気になった、ヴィレスにとってはよくある衝動でした。いつもと違ったのは本当に殺めてしまったことで、姉のラシュリィは復讐の為に犯人を捜していました。捜索の果てにルダンから、ヴィレスが差し押さえられて銀行の資産になったことを告げられます。そして、少しでも早く完済するための手段として、共に戦う道を伝えられたのでした。

2人は感情を預けたことで、背中を預け合い、魔法を共に発動する関係に変化することができました。事件を忘れたわけでなく、借金が終われば消える関係なのですが、今の縁の強さがあるからこそ銀行員としてやっていけるのです。

まとめ:失って得られたもの

黒猫の魔法使いは、叡智を授ける師匠を失い、精霊魔法を一時的に封じられた結果、常識外の行為を成し遂げました。

  • ヴィレス:「殺意」を預けた結果、衝動なく過ごせる職場と人に出会えた
  • ラシュリィ:「復讐心」を預けた結果、復讐の早期決着を果たせる可能性を得た
  • ヤーシャラージャ:「子供らしさ」を預けた結果、頭取として判断ができるようになった
  • サージュ:「正義感」を預けた結果、街を助ける術を得た
  • ティリルカ:「衝動」を抑えた結果、妹と共に生き続けられた
  • リニーダ:「失った後悔」があるからこそ、成長し自立した

本作の登場人物は(過去を明かされていない一名を除いて)大なり小なり何かを失ったことをきっかけに、選択肢の先に進んでいます。

ヴィレスに討たれた筈が今も暗躍している男ローケーシャ、先代ヤーシャラージャやルダンの過去、ヴィレス&ラシュリィの因縁の決着といった未解決要素が数多く残っているシリーズとなっています。しかし、運営の方針転換の末に続編が危ぶまれている状況です。折角力を入れた周年イベントですから、完結することを願っております。

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