本記事は魔法使いと黒猫のウィズのエピソード「双翼のロストエデンⅡ WWMF」の感想記事である。お人好しの魔王アルドベリクとからかい好きの天使ルシエラが送る、決めつけられた運命をぶん殴る物語である。アルドベリク達男性陣がかっこいいと思う方、ルシエラの台詞に笑える方、WWMFの正体が気になる方に向けた作品であると感じた。
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前作の感想記事

基本情報
あらすじ
魔界フェスティバルの最中、アルドベリクとルシエラの前に突如現れた「君」とウィズ、そして2人の人間の子供。
魔界と天界を舞台に宿命の対決が始まる。
「魔法使いと黒猫のウィズ」君の本より引用
世界観
魔界
魔王および数多の種族の魔物が暮らす異界。もともとは1つだった異界が7つに分断されている。いくつかの国に分割して治められており、国ごとに魔王がいる。平和的な解決のために王侯会議を定期的に開催しているが、自由気ままな気質のため集まりは悪い。
天界
聖王および数々の天使が暮らす異界。もともとは魔界と1つであったが、敵対関係にある。今の聖王は魔王の1人(堕天使)の姉のミカエラ。規律に厳しく天界至上主義が多数派だが、中には臆病な天使もいる。
死界
108の異界の亡くなった人がやってくる地点。死喰に人生を食べてもらうことで、まっさらな魂を他の異界に送り出していく。ヴぇレフキナなど死界生まれの場合、怨嗟でどろどろに煮詰まったような海から生まれたシステムとして生まれている。
皇界、魔界、聖界、冥界、天界、死界、時界の7つのこと。元々は1つの異界、神界であったがとある騒動の結果分裂した。初期の頃から7異界以外とも行き来する手段が備わっている。
- 皇世:7異界の頂点。大天使が統べており、今代はシャロン。
- 魔界:種々の魔族が暮らす異界。王侯会議と呼ばれる合議制。古来からの召喚術が残されている。
- 聖界:星々にまつわる神と、神に仕える聖女が過ごす異界。トップはエークノームと呼ばれる聖域。他の世界には伝道師が移動して教えを説いている。
- 冥界:滞在人を閉じ込める収容所で、死神を介して他の異界にも赴く。イークワルが親から受け継いだ。
- 天界:天使が治める異界で、魔界と闘争する関係。聖王ミカエラがトップを務めている。
- 死界:いわゆる死後の世界。”死喰”というシステムが魂を浄化することで輪廻転生を行っている。今回の件の担当者はヴェレフキナ。
- 時界:時間の管理を任されている……とされているが、セティエしか登場していない影の薄い異界。
主要登場人物
アルドベリク・ゴドー
魔界の魔王の1人。屈指のお人よしで生真面目な性格。ルシエラをはじめ周りにからかわれながらも愛されている。信頼されていることも分かっており、人付き合いは良好である。現在の居候は、天使(ルシエラ)、養子(リュディガー、リザ)、友人?(黒猫の魔法使いたち)。
魔王らしく残忍で容赦のしない側面もあるが、それは被害者しか知らない。
ルシエラ・フオル
天界出身の天使なのだが、天界時代は幽閉されていたため天界を知らない。現在はアルドベリク宅にて居候中。結婚しようか。長年アルさんと2人で時を繰り返してきたため、ジェネティスに対するメタとして役割を持つ。
アルドベリク(アルさん)とは深い因縁がある。
ミカエラ・セラフィム
天界の聖王で前聖王の娘。ルシエラが封印されていることを知っていたが、生死の輪廻を繰り返さないために黙認していた。イザークとは継続的に連絡を取り合っており、ジェネティスの件では協力して討伐することを約束する。
イザーク・セラフィム
魔界のとある国の魔王。ミカエラの弟。500年前、天界との均衡を保つために堕天し、騒動後も魔界を治めている。輪廻を変化させるためにルシエラをアルドベリクと邂逅させた。
ヴェレフキナ・アマン
死界に暮らしており、問題のある魂を回収するお仕事をしている。関西弁なことと短パンなことに命かけとる。ジェネティスの一件が魂の禁忌に触れていたことから、相互不干渉を破って魔界に訪れる。常に一緒にいるシミラルは彼が自分の魂を2つに分けて作った造形物。
ストーリーPickup
以下、ネタバレ注意です。
WWMF=ワクワク魔界フェスティバルとは?
元々魔界は気性の荒い魔物が多い。戦うことを抑えるために企てられた王侯会議にとって、疑似的ないさかいが必要であった。そのために作られた計画が「ワクワク魔界フェスティバル」である。3回目である今回はゴドー領で開催されることとなった。命名はキルティ家の令嬢(聖サタニック女学院所属)であり、ネーミングセンスは作中でも否定されている。
内容は遊園地やら出店やら、各領土ごとに名産品を持ち合うイベントであり、万博博覧会がモデルとなっていると考えられる。まかたんというヤギがマスコットをしており、この異界に来たばかりのリザにとってお気に入りとなった。
数年後のⅢでも第三回ワクワク魔界フェスティバルは跡地として残されている。対して、初回のワクワク魔界フェスティバル跡地が廃墟となっていることも示されており、こちらの世界でも跡地の利用は難儀しているようであった。
余談:万国博覧会
通称万博。かつては時の支配者たちが戦利品を展示することによって自らの権威を誇示する手段であった。現代では平和の象徴として、また文化を披露する手段として用いられている。
最大規模となる登録博は5年に1回の開催で、近年ではハノーヴァー(2000、独)→愛知(2005)→上海(2010)→ミラノ(2015)→ドバイ(2021)→大阪(2025)と続く。
参考:万国博覧会とは?(外務省)
怪物に変わる呪い
リュディとリザは海と空の異界から、黒猫の魔法使いに引っ付くようにしてやってきた。予言の通り人が怪物となって世界は滅びの時を待つだけの状況から、希望を託すために飛ばされた。(帰ってこれるように異界の位置を指し占める石を渡している)
お人好しの天使と魔王によって2人は養われるようになった。このとき、「竜を拾ってくるのとは訳が違う」(アルドベリク)といった発言が飛び出しており、後々にも「竜は飼っていたから殺すのは複雑だった」(リュディ、ぽっかみ2)「ドラゴンチキンレースをするたびに首を折る」(SatanicChord)といった事態から竜の希少性は相当低いらしい。
ロストエデンシリーズのテーマとして「運命に抗う」が挙げられると予想される。Ⅰではアルドベリクとルシエラが輪廻から解放され、Ⅱではリュディとリザの世界の終末の予言をぶっ壊しに向かう。とはいえ、先ず解決しなければならないことも子供たちと一緒にやってきてしまった。
ジェネティス
ロストエデンシリーズのテーマが「運命に抗う」こととすれば、シリーズトップの難敵がジェネティスである。人の魂を自分のものに勝手に書き換えて乗っ取るという、起源(genesis)の名に相応しい増殖をみせる。また、ジェネティスは実体がなく、憑依速度も尋常なものではない。結果、
- 書き換える時間がかかるような、複雑な人生を歩んでいる方
- ジェネティスをまとめてボコボコにするための火力のある方々
- おびき寄せるための大量の人質
- 関係者以外誰も来ない敷地
- 自分たちが影響を受けないためのバリア
- ジェネティスと対象を分離するためのバク
といった難題を突破しないと、封印できない生命体と化している。
幸いなことに手札は揃っていた。こちらには何度も人生を繰り返してきたアルドベリクとルシエラがおり、魂にバリアを張ることができるヴェレフキナたちがバク(厳密にはトート=タピーロという神獣)を依り代に来てくれていた。人質もギブン兵という増殖する兵団で賄え、天界の協力もあり場所も見つけることができた。火力は言うまでもなく、ここにジェネティス討伐隊が結成された。
最悪の<可能性>
作戦通りルシエラを餌にジェネティスを陽動することはできた。が、ジェネティスの作戦とルシエラの暴走は想像以上のものだった。微細に意識を残すことでルシエラに寄生し、ルシエラの人生の中で危険なものを顕現させる。<マッド・ルシエラ> かつての思い出の場所で殺しあう、死に際にともにいることを願った愛の末路があった。
彼女は宿命をやり直す、2人だけの世界をやり直すことを望んでいた。アルドベリクはもしもの際の心中を誓うが、彼女は殺すことを望んでいなかった。結果、ルシエラの両翼を犠牲に彼女は助けられたが……
メインストーリー最終章にて、このときアルドベリクを殺めてしまった彼女の末路が描かれた。リュディとリザもまとめて屠り、誰も理解者になることなく独りになってしまった。その姿を〇〇〇〇〇に救われ、彼女は再び出会うために、世界の管理者の破壊に協力することとなる。
まとめ:予言を蹴っ飛ばす
ジェネティスを倒した一行は、次に2人の異界へ旅に出た。何も出来なかったかつてと違い、滅びの予言を蹴っ飛ばすと宣言できるほどに子供たちは成長していた。無事に討伐した一行は、天使の一声(と子供たちの強い希望)でようやく魔族らしいことを実行する。
本作品は、お人好しの魔王アルドベリクとからかい好きの天使ルシエラが送る、決めつけられた運命をぶん殴る物語である。アルドベリク達男性陣がかっこいいと思う方、ルシエラの台詞に笑える方、WWMFの正体が気になる方に向けた作品であると感じた。
成長したリュディとリザのエピソード

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