怪盗アヤツグ僵尸捕物帳は「魔法使いと黒猫のウィズ」にて2021年10月に開催されたイベントである。異世界から来た気分屋が後天的に能力を得る、異世界転移のテンプレの1つを用いたクロスオーバーのミニイベントだった。未完結の作品であってもクロスオーバーを行う点、今後も続編を出すことを開示した点など、黒猫内では何かと先駆的な試みであった。
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基本情報
あらすじ
異界の歪みに吞まれ神都に流れ着いたアヤツグは、何者かに愛用の十手銃を奪われてしまう。
窮地のアヤツグに手を差し伸べたのは、キョンシーにまつわる都市伝説を調査していたヴィッキーと今久留主だった。
奪われた”お宝”を取り返すため、アヤツグは怪盗になる決意をする。武器のない彼の味方になるのは、女義賊、少年探偵、そしてサイトキシンXによって目覚めた己の能力だった!
「魔法使いと黒猫のウィズ」君の本より引用
世界観
神都ピカレスク
列強国が複数支配している神都が舞台。方や戦争をなくすべく、方や今日を生き延びるため、方や復讐を果たすため、主人公らは怪盗となった。彼らは盗むことで事件を解決しながら、ついでに世界は救われていく。
神都シエンタウンのモデルは第一次世界大戦の上海(の水郷)だと考えられる。ピカレスク(小説)は小悪党を主人公とした悪者小説のこと。
八百八町あやかし捕物帳
味噌をなめるあやかし”みそなめ”やドM ”深い闇”といった困った存在、八百万の神様が暮らしている和の国が舞台。問題を起こしたあやかしを退治して金を稼ぐ、気分屋アヤツグを主人公に、明るく貧乏な暮らしを描いている。
初登場時、アヤツグが〇魂(少年ジャンプ)に似ていると噂をされた。2年後の2020年末まさかのコラボが行われタッグカードに。
八百八町は江戸中の町々のことである。
主要登場人物
アヤツグ・アシハラ
普段は十手銃であやかしを撃つお仕事。極度の気分屋であり、銃弾も気分に作用されるため退治できるかも気分次第。借金を常に抱えており、部下への給料も滞納気味である。
ヴィッキー・ワン
普段は役者をしている功夫使い。西洋諸国に奪われた祖国(E王朝)のお宝を取り返すため、義賊を働いている。怪盗としての名は桃花と読む。
桃の花言葉の1つ「天下無敵」を体現する無能力の実力者。
今久留主好介
見た目12、13歳の少年探偵。超が付くほどの変態であるが、助平由来の推理能力は本物である。今回は気分で珍しく中立を破り、怪盗として協力する。
瓜二つ(中の人も同じ)の人物が種族:吸血鬼であり、ハロウィンに相応しい選出ではあった。
用語集
十手銃
アヤツグ愛用の一品。大事なのは中身の赤い宝石”妖結晶”であり、彼はこれに気力をつぎ込むことで弾を撃つことができる。
サイトキシンX
甘い匂いのするガスで、お香のように吸引する。人に吸わせると大半は死亡するが、適応できた一部は能力を持てるという一品。能力は個々人の願いに従う。
都市伝説
大半はサイトキシンXの能力者が起こした騒動のこと。「異界(=黒猫の魔法使いの異界)に繋がる更衣室」という本物も発見されている。
ストーリーPickup
キョンシーとは
本作のキョンシーは、E王朝にまつわる都市伝説で動く死体である。両足を揃えて跳ぶ。血を吸うという逸話もあり、西洋の吸血鬼などと比較されホッピングヴァンパイアとも呼ばれる。死体洗い中に殺されることで数を増やすとされている。
彼らが跳んだあとには微かに甘い匂いがするらしいが……
現実の都市伝説はWikipediaを参照。
死に化粧をする前に、遺体を洗って清める行為。……ではなく、おそらく被検体を処理する作業のこと。軍施設や病院に実在する都市伝説である。どちらにしても、報酬は高い。
神都では金銭が乏しい人も多く、遺体が正式に処理されることが少ないため生まれたとされる。しかし、葬儀屋たちも斡旋先を知らないらしい。
怪盗”気分屋”の能力
アヤツグは異界を飛ぶときの事故でサイトキシンXを吸ってしまった。三途の川を渡りかけ(身内の鬼に岩を投げられ追い払われた)、後天的に能力を身につけた。メタ的にいえば、十手銃を失った代わりである。
何かを感じているときに手を握ることで能力は発動するため、いらないタイミングで出てしまうこともある。
気ままに生きたいという欲望が反映されたためか多彩な能力を持つ。しかし、使い勝手は良いとはいえない。
- やる気……風が渦巻き嵐を生み出すが、主戦力としては力不足。なぜか焼きそばのにおいがする
- 怒り ……動物(野良猫)を引き寄せる
- 悲しみ……肌がきれいになる
- 緊張 ……足音が<やべえ音>に変わる
- 助平 ……まわりを<助平>な気分にする
- 幸せ ……<お嬢様>になる※見た目ではなくオーラが変わる
- 感謝 ……ありがたい力が湧く
緊急時に芽生えた”感謝”を除いて、ろくに戦闘できるものではない。ただ、ものは使い方次第であり、作中では聞き込みや監視の排除に活用されている。副次的な作用だが、本音にしたがって発現するため、感情を伝える方法としても利用できる。
今回の能力
正体はネタバレになるため伏せるが、今回のボス(名無し)も能力持ちである。その名も「格下を操る能力」。彼は生まれつき虐げられた立場であり、国が列強に支配されたことでさらに差別されるようになった。そのため、上に立ちたいという思いから芽生えたと予想される。
- 自分の意思を対象に流し込むことで、身体を動かす
- 細かく操作できる数は2体まで
- 大まかな操作であれば無制限
- 操る相手の生死を問わない
- 格下とみるトリガーは自分で決めることができる
- 意志力によっては効果が薄れる(そのため、犯人は死体を用いていた)
……とてもじゃないが雑魚の能力ではない。トリガーは対象にとって価値があろうがなかろうが関係ない。こじつけさえ間に合えば、だれでも操作できると思われる力である。ついでに怪人自体のスペックが超人じみているため、一般人相手には無双できる能力である。
とはいえ、これが物語である以上犯人の敗北は必至である。おそらく対象が人体に限られるため、人の盾が尽きてしまえば……
まとめ:一時限りの
アヤツグの能力はハロウィンの一夜にして消滅した。元の異界に戻るため、真の都市伝説を経由して彼はこの街を去った。
当作品は、黒猫のウィズとして「後天的であれば」一時的に別世界の能力を身につけることができるという一例となった。武器を得た前例はいくつか(X BANKER、喰牙RIZEなど)あるが、肉体に宿す例は珍しい。異世界転移ではよくあることではあるが、黒猫のウィズの世界観を広げていくにあたり先駆的な試みであったのではないかと思われる。
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