本作は、魔神ルルベルの伏線の一部を回収した点以外はコメディよりの作品である。「音を暴力にする」仕組みを違う異界に広げようとするラスボスに対しても、演奏で解決して円満になるというスタンスの変化は生じなかった。また、別異界からの使者であるリレイの性格と格好も無事に戻っており、平和な終わり方だといえた。そこまで用語が複雑じゃないこともあり、なんか読みたいものが見つからないってときに流す読み方を筆者はお勧めする。
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基本情報
あらすじ
ワクワク魔界ロックフェスの開催責任者になった邪神ルルベルは、音楽の講師として「気持ちが音に、音が力になる」異界の鶴音リレイを魔界に召喚する。
ところが、堕天魔神ザラジュラムが持ってきた「呪いのギター」が暴発し、聖サタニック女学院は、ヤンキーが跋扈する魔界の教育困難校になってしまった。
「気持ちが音に、音が暴力になる」世界でちょっぴり(当社比)邪悪になったリレイが鋼のメンタルで、巨悪を討つ!
「魔法使いと黒猫のウィズ」君の本より引用
世界観
聖サタニック女学院
魔王や数多くの魔物が住み着く異界、”魔界”にある女学院。邪神ルルベルらによって作られた。異世界から迷い込んだニンゲンは捕虜扱い。校歌は黒猫のウィズ屈指の迷曲。
FairyChord
現実の東京に非常に近い、音をテーマとした異界が舞台である。特徴は「気持ちが音になり、音が力になる」こと。人が発する音を食らう悪魔の暴走を止めるべく、リレイたちは気持ちを武器にして戦っていた。こちらのテーマソングはまとも。
主要登場人物
鶴音リレイ
音を力にして戦う女子高生。普段はギターを銃に変えて戦っている。音楽で人の気持ちを揺さぶることもでき、魔界基準だと精神干渉系の魔法の使い手。普段から扱っているギターボーカルを担当。
ルルベル
アラサー(アラウンド30世紀)の邪神。魔族の衝動(憎悪、嫉妬、殺意など)から生まれ強力な力を身に宿しているが、本人はうまく使いこなせていない。アイドルレッスンでかじったベースを担当。
ザラジュラム
「若気の至り」をつかさどる魔神。世界の法則を歪めることができる能力を持っているが、本人はうまく使いこなせていない。モテたくて音楽に費やした若気でドラムを習得。
用語
異界
108個に分けられた、法則の違った世界のこと。とある存在を封印した結果であり本来は決して交わらなかった(例外あり)。メインストーリーの結果、距離が縮まり、部分的な交流が為されている。
ピュア(お賽銭)
バーチャルなアイドル活動で貯められるもの。YouTubeの投げ銭と同じ。消費することで願いが叶えられる。プレイヤーも『アイドルシスターズ Trinity!!!』にて実際に寄付できる。
魔法陣
過去黒猫氏を手違いで召喚したときのもの。メインストーリーにて異界の境目が揺らいだため、ガチャができるようになってしまった。ただし、特定の人物を呼び出せるほど精度は高くなく、FairyChordの異界で妖精失踪事件を引き起こしてた。
呪いのギター
今回の原因の魔道具。すべてを邪悪に染め上げる作用の他、封印から解かれる際の爆発でルルベルの魂を4つに分けた。
ストーリーPickup
呪いのギター(1-1)
呪いのギターを「岩に刺さっていれば安全」と主張するザラジュラムに対し、ルルベルはすぐに抜こうとする。このように言われたことの反対をしようとする効果を、カリギュラ効果と呼ぶ。争った結果、ギターは岩から抜けてしまい、封印は解かれることとなった。
喧嘩している中でも、自分の責任を1/3、相手の責任を2/3と意見が合っているあたりからも、腐れ縁なことが読み取れた。
呪いから逃れたギターは、音を暴力にする空間を作り出し、学園をヤンキーあふれる文字通りの教育困難校に染め上げた。モブに分身を分け与え、本体もリレイを勝負に負けた相手の頭を殴る邪悪にしようとするが……
逆にリレイに従えられることに。口調とか服装とか中途半端にヤンチャにした結果の敗北である。この後、呪いのギターは弦が切れた相棒に代わりこき使われることとなる。
「他言厳禁」とか「絶対にやらないで」とかの形でセールスライティングにも用いられるテクニック。元ネタはローマ皇帝のカリギュラ。
チキンレース
4つに分かれたルルベルを追う最中に繰り広げられたレースである。このような世紀末世界ではどれだけシュールで危険な戦いが行われることがままある。慣例に従い、このシナリオにおいてもドラゴンチキンレースが繰り広げられた。
ルールは
1.選手はドラゴン(2m以上)の背に飛び乗り、丁度いいタイミングでブレーキを切ることで止める。
2.飛距離が足りないと、聖水プール(ルルベルらにとって猛毒)に落下する。
3.飛距離を稼ぎすると、魔族も降りられなくなる高さ+ドラゴンの今日のご飯行。
4. 外部からの妨害(ドラゴンへの魔力付与)あり。
おそらく一番突っ込みたいところは、『ドラゴンのブレーキ』についてだろう。
女2人(リレイとルルベルβ)の争いにケチをつけるのは野暮なのだが、それでも突っ込みたかった。
観客の説明によると、ブレーキはドラゴンの首のことらしい。ドラゴン達もまた命がけだった。動物愛護法に文句なく引っかかる遊びであり、彼女らは禁じられたものをやりたがる年頃なのかもしれない。
幸いなことに治癒魔法の使い手と飛行能力者がいたことで、2人と2竜の命は救われた。こんな感じに死にそうで死なないのがこのシリーズのお約束といえる。
ただ一人だけの為に
ベルゼバブ(分裂したルルベルα、ルルベルβ、ルルベルγ)とSatanicChord(リレイ、ルルベル本体、ザラジュラム)の対バンがライブハウスで開かれる。
一曲目から力量の差は明らかで、空気も一方的に傾き本能をたぎらせていく。黒猫の魔法使いへの挑戦状ともとれる「猫のドクロ」の演出もあり、大勢が決そうとしていた。
ベルゼバブへリレイ達は「校歌」で勝負に出る。アレンジしているとはいえ、黒猫屈指の迷曲は観客たちには響かない。でも、聖女と作った思い出を知っているルルベルたちへ、大きな衝撃を与えることに成功する。そして、唯一影響のないルルベルαの違和感が強まっていった。
まとめ:異音の協力
本作は、ルルベルの伏線の一部を回収した点以外はコメディよりの作品である。「音を暴力にする」仕組みを違う異界に広げようとするラスボスに対しても、演奏で解決して円満になるというスタンスの変化は生じなかった。また、リレイの性格と格好も無事に戻っており、平和なストーリーであるといえた。そこまで用語が複雑じゃないこともあり、なんか読みたいものが見つからないってときに流す読み方を筆者はお勧めする。
余談エピソードより……同じ「きのこ」と認識していも世界が変われば意味合いが変わってきてしまう。異界の交流が進んでいることが示唆されているが、ニュアンスの違いによって大惨事にならないか心配である。※リレイ宅に持って行った「きのこ」が増殖した結果、家の中に魔界ができかけた。
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