米澤穂信「氷菓」 失われたタイトルの意味

今回は米澤穂信作「氷菓」の紹介記事になります。<古典部>シリーズの第一作であり、2012年秋にアニメ化されました。自称省エネ主義の折木奉太郎が、古典部で事件を解決していく流れになっています。次巻以降と比べると、主軸の事件以外にも紹介のための小さな推理があったりします。

登場人物

折木奉太郎

高校入学早々、姉の意思により「古典部」に入ることになった省エネ主義者。その思想から、里志に灰色と評されている。1年B組所属。

一方で、推理力および状況補完能力は非常に高く、この作品の推理の大半を担当している。このことから、えるには信頼足る人物とされ、摩耶花にはヘン呼ばわりされていた。

なお、成績は350人中175位と中央値である。神山高校は一応進学校であり試験勉強もほどほどにしている。当人曰く、順位を動かそうとする志向がないだけである。

俺は別に活力を嫌っているわけではない。ただ単に面倒で、浪費としか思えないからそれらに興味を持たないだけなのだ。(p.8)

福部里志

男の中では背が低い奉太郎の旧友。飄々とした独特の物言いであり、嘘に禍根を残さない主義を掲げている。古典部の他に、手芸部や総務委員会にも属している。

好きなことについてはとことん調べるが、学業含め興味のないことは積極的に無視する傾向にある。興味に裏付けられた豊富なデータ量を持っているが、データベースだと自嘲し回答を控えている。

「社会的に必要なら技と体だけは貸し出す用意があるよ。そしてそれは、ホータローもそんなに変わらないだろう? 灰色のホータローは、旗振り人が『総員薔薇色!』って手旗を振っても、薔薇色にはならない」
そこで一息置いて、やや落ち着いた口調で、
「僕が貶める時には、君は無色だって言うよ」(p.134)

千反田える

女学生ともとれる古風な容姿に反する、活発な印象を与える巨大な瞳の持主。好奇心の化身とも取れる程興味に対する情熱が強い。また、一度芸術科目であっただけの奉太郎を覚えているなど記憶力や把握力が高い。

成績も高いのだが(350人中6位)、少々頭が固い部分もあり融通が利かない。それ故に、奉太郎を動かすことのできる貴重な人物になりえている。

「本当に折木さんには驚かされます。折木さんの頭の中には、わたしも興味あります」
嵐の夜、街外れの館(もちろんゴシック調の洋館)の地下室で俺の開頭手術をする千反田が想像されて、恐かった。(p.67)

この際、彼女が嗅いだ微かな臭いが解決の元になっており、上記の他に嗅覚も異常なことが伺われる。

伊原摩耶花

漫画研究部所属の図書当番。小学校時代から変わらぬ童顔に対し、毒舌を携帯している。奉太郎と里志とは義務教育時代からの付き合いであり、特に奉太郎とは小中とクラスが同じだったことから縁は深い。借本の謎を解決したのち、古典部には里志の後を追って所属している。

一種の完璧主義者で、成績も良好。奉太郎の策に気付くのも早く、えるに対して機転は効く。漫研と兼部していることもあり、古典部の文集「氷菓」と業者を結ぶ役割を担っている。

「……そうだな、面白い。少し考えてみるか」
傍らで伊原が里志に言う。
「ふくちゃん、折木って頭良かったっけ?」
「あんまり。でも、こういう役に立たないことだと時々役に立つんだ」
お前ら、言いたい放題だな。(p.61)

引用文献

米澤穂信「氷菓」(2001)、角川文庫

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